DTMは毎日やる方が継続しやすいのか
DTM(音楽制作)を毎日継続すれば、かなりの曲数に・・・
単純に考えるとそうなりますが、一方で
「(毎日ではなく)週何回かの頻度でやる方が、気持ちが適度にリフレッシュされて継続しやすいのかもしれない・・・」
という考えも起こってきます。
そこで、今回はDTM(音楽制作)を毎日やるメリット/デメリット、デメリットを克服する方法について考えてみたいと思います。
こんな方には特に参考になるところがあるかもしれません。
- DTM(音楽制作)の最適なペースを考えたい
- DTM(音楽制作)をなかなか継続できない
- DTM(音楽制作)のモチベーションの保ち方を知りたい
1.毎日やるメリット
以下2点が挙げられます。
- 思い出すハードルが小さくなる
- 親しみが沸く
1-1.思い出すハードルが小さくなる
毎日やる場合、昨日の制作状況を覚えていたり、操作も手慣れていたりするので、あえて(力んで)思い出す必要のあることが少なく、毎回の作業ハードル(作業実行に対する心理的抵抗/葛藤感)が下がります。
これに対して、例えば前の作業から1週間も間が空いてしまうと、前回作業を力んで思い出すことも多くなります。
メモがあるとよいですが、記憶が比較的新鮮な間に作業再開できる「毎日スタイル」に比べると、やはり毎回の作業ハードルは高くなるように思います。
1-2.親しみが沸く
親しみの対象には色々ありますが、主だっては曲、ソフト、習慣に対する親しみが湧くと思います。
人によってはDTM(音楽制作)中のコーヒーや、ヘッドフォンの感触などといった、作業に直接関係しない要素に対しても親しみが湧いたりするかもしれません。
ともあれ、何かしら作業に関係/付随する要素に対して親しみが湧くと、作業自体も楽しくなってきます。
楽しくなってくるともう、継続する「ノリ」のようなものが醸成されてくるので、どんどん継続しやすくなってくるかと思います。
2.毎日やるデメリット
以下2点が挙げられます。
- 義務感が出る
- 行き詰まると苦痛
2-1.義務感が出る
義務感がまったく悪いわけではありません。
例えば、朝、多少の眠気があっても、
「一日を始めなければ」
という義務感で決まった時間に起きるわけですから(もちろん、すっきり起きられるような睡眠が大切(理想)ですが)・・・
ただ、あまりに強く「縛られている」ように感じると、やはりモチベーションが下がってくると思います。
DTM(音楽制作)の時間を前にして、
「またこの時間か・・・」
と、ネガティヴな感情を抱いてしまったり・・・
次の話とも関連がありますが、制作作業が停滞気味になっていると、こうした心理状況に陥りやすいように思います。
2-2.行き詰まると苦痛
どんなに好きな曲、作りたい曲であっても、なかなか仕上がらないと嫌になることもあります。
また、毎日やると決めたのに、
- 肝心の曲のアイデアが浮かんでこない
- 作業内容が浮かばない(何をすればよいかわからない)
といった状況になれば、作業のしようがなくてモヤモヤする時間を過ごしてしまう羽目になることもあるでしょう。
こうした中、
「それでも毎日」
となると、やはり苦痛に感じてしまうかもしれません。
3.デメリットを克服する方法
ここまでで、メリット、デメリットを2つずつ挙げてきました。
人によって合う、合わないはあるので、メリットの方が大きい、デメリットの方が大きい、それぞれあると思います。
しかし、デメリットを克服すれば、メリットを活かせる状況も作り出せますから、ここでデメリットを克服する方法を考えてみたいと思います。
デメリットを克服するには、作業ハードル(作業実行に対する心理的抵抗/葛藤感)を下げることが有効です。
そのための方法としては、主に以下4点挙げられます。
- タスクを分割する
- 一つ一つに集中する
- 完成を急がない
- (番外)異なるフェーズの制作を並行させる
3-1.タスクを分割する
曲の作り始めから完成まで、やることは膨大ですから、
特に曲の構成すら固まっていない初期段階では、
- 「どこからどう進めていけばよいのか」
- 「なかなかゴールが見えてこない」
などといった思いを抱いてしまい、毎回の作業に着手しづらくなる状況に陥りやすいです。
また、初期段階以外でも、
例えば時間のかかるミックス(ミキシング)のフェーズでは、トライ&エラーの作業が多くなりますから、
気が遠くなって毎回の作業ハードルが上がってしまうこともあるかと思います。
次の3-2でも説明しますが、基本的には一つ一つの作業(タスク)に集中していくのがストレス軽減になりますから、
集中できるレベルにまでタスクを分割するのが効果的と考えられます。
例えば、ミックス(ミキシング)作業時に、各トラックの音量バランスを決める場合。
このタスクを
「音量バランス決め」
と大きくとらえたままだと、
「あぁ、きっとすんなりいかないから、色々試さないとなぁ・・・」
と、やる前から気持ちが重たくなってしまうかもしれません。
しかし、これを例えば
- 試す条件候補の選定
- 各選定条件試行
- 各選定条件判断
- 最終判断
と分割すれば、これら一つ一つのタスクはそれほど大きなものではないですから、作業ハードルは大幅に下がるはずです。
なお、「各選定条件判断」や「最終判断」の結果によっては
「もっと他の条件を試す必要があるのではないか」
と気づくこともあるでしょう。
ですが、そうした場合もあくまで「小さなタスク」ベースで考え、また新たな「試す条件候補の選定」というタスクから始めればよいのです。
全体としてやることは変わりませんが、作業見通しが立つ分、楽になると思います。
3-2.一つ一つに集中する
音楽には色んな要素がありますので、制作途中で音を聴いて確認したりすると、色んなことが気になってしまうものです。
例えば、リズムを確認している間に楽器の音色が気になったり・・・
確認中に気になったことを随時メモするぐらいはよいですが、
基本的には作業の途中でやることをあれこれ切り替えない方が疲れなくて済みます(ストレス軽減)。
上の例でいえば、
「リズムの確認をやると決めたら、リズムの確認に集中する」
といったように、一つ一つに集中するのが原則です。
もちろん例外はあり、ここで取り上げた「リズムと音色」の例でいえば、
「音色を決めないとリズムの確認をしても意味がない(音色によって適正リズムが変わる)」
といったことに気付いた場合には、
すでにリズムの確認を始めてしまっていたとしても、優先順位を変えて音色決めの作業に切り替えた方がよいでしょう。
その場合、元々やろうとしていたリズムの確認は一旦忘れて、音色決めの作業に集中することが大切です。
必ずしも初めから全ての作業工程を想定し切れないDTM(音楽制作)作業では、このような想定外の事態に見舞われて当初の作業予定が狂うこともしばしばですが、
うまく気持ちを切り替えられれば、結局「一つ一つに集中」の原則を保てます。
(私も心がけていますが、まだまだ想定外の事態には弱いですね・・・)
3-3.完成を急がない
ミクロ視点では「曲を作るからには完成度にこだわりたい」と思いつつ、
マクロ視点では「なるべく多くの曲を作りたい」という欲求がありますから、
両視点のうち、マクロ視点に意識が行き過ぎると、どうしても完成を急ぎがちになってしまいます。
しかし、完成を急ぐ気持ちがあると、作業が進まないときにモヤモヤしたり、作業が雑になったりするデメリットがあります。
締切などがあると、どうしてもこうした気持ちにとらわれてしまいがちですが、そのような場合でも意識を向けるのはあくまで、
「必要な作業をやる」
ということ。
「限られた時間でできることを見定めて全力でやる」
スタンスが大切だと思います。
現在の私は、(外的な制約としての)締切のない制作ばかりで、追い詰められるほどの焦燥感に駆られることもないのですが、
「これぐらいの時期には出したいなぁ」
という(内的な制約としての)締切を意識し過ぎると「完成を急ぐ気持ち」が湧いてきてしまいます。
そうしたときには、先2つに挙げた「タスクを分割する」、「一つ一つに集中する」に立ち返って、目先の作業にフォーカスするようにしています(時間感覚も考慮に入れながら)。
3-4.(番外)異なるフェーズの制作を並行させる
DTM(音楽制作)はいくつかのフェーズに分かれ、フェーズごとに作業内容の特色(取り組みやすさなど)が異なります。
分け方や順序は、時と場合と人によって異なると思いますが、一例としては以下のように考えられるかと思います。
- アイデア出し(一人セッション含む)
- 曲設計(音配置含む)
- 音作り
- 演奏調整(ピッチ/リズム修正など含む)
- ミックス/マスタリング
上記5つのフェーズに対する特色(私個人の見解)は以下の通りです。
- アイデア出し(一人セッション含む):最も気楽
- 曲設計(音配置含む):そこそこ気楽
- 音作り:プリセットを物色したり、色々設定をいじってみたりして、変化を楽しめる要素がある
- 演奏調整(ピッチ/リズム修正など含む):ハマれば楽しいが、総じて進捗の割に時間を食うので疲れる
- ミックス/マスタリング:ハマれば楽しいが、総じて進捗の割に時間を食うので疲れる
異なるフェーズの制作を並行させると、行き詰まりによるモチベーション停滞といったデメリットを軽減することも期待できます。
例えば、細かな部分の確認(モニタリング)を繰り返すような、演奏調整やミックス/マスタリング作業で行き詰まっているときに、
別の曲のアイデア出し(一人セッション)を自由にやったりすると、良い気分転換になります。
こうして気分転換すれば、難しい演奏調整やミックス/マスタリング作業に、再び立ち向かう気力も出てくることが期待できます。
しかし、これには注意点があります。
一般的には、アイデア出しのスピードに比べて、完成(ミックス/マスタリング作業経由)のスピードはかなり遅いですから、
このように逃避ばかりしていると、完成/リリースに至らない曲がどんどん増えてしまいます。
(いつ全曲完成するのでしょう・・・??)
私も以前は、こうした曲のアイデア出しを頻繁に実施していて、結果的に数多くの未完成曲を溜めてしまいました・・・
ですので、最近はあまり並行制作せず、なるべく1曲ずつ完成させるようにしています。
そういうわけで、この項目は「番外」としておきました。
4.最後に
以上、DTM(音楽制作)を毎日やることのメリット/デメリットから、デメリットの克服方法までをお伝えしてきました。
ここでもう一度要点をまとめておきます。
まず、DTM(音楽制作)を毎日やることのメリットとしては以下2点。
- 思い出すハードルが小さくなる
- 親しみが沸く
力んで思い出すことも少ないので、毎回の作業再開もスムーズですし、親しみも湧いてきて好循環になることが期待できます。
逆にデメリットとしては以下2点。
- 義務感が出る
- 行き詰まると苦痛
「なかなか進まない」など、作業状況がネガティヴになってくると、こうしたデメリットも出やすくなると思います。
これらデメリットを克服する方法としては以下4点。
- タスクを分割する
- 一つ一つに集中する
- 完成を急がない
- (番外)異なるフェーズの制作を並行させる
デメリットを克服すれば、DTM(音楽制作)を毎日やることのメリットが活きてくると考えられますから、長期にわたって継続もしやすくなるかと思います。
「DTMは毎日やる方が継続しやすいのか」→方法次第でその可能性は高まる
というわけで、今回の記事が
- DTM(音楽制作)の最適なペースを考えたい
- DTM(音楽制作)をなかなか継続できない
- DTM(音楽制作)のモチベーションの保ち方を知りたい
といった方のご参考になれば幸いです。