無料楽譜作成ソフトMusescore2とDAWでDTMを行う方法
DTM(デスクトップミュージック)において、楽譜作成は必須ではありません。
Cubaseのように、楽譜作成に対応したDAW(デジタルオーディオワークステーション)ソフトもありますが、ACID Pro、ACID Music Studioなど、楽譜作成非対応のDAWソフトも多数あります。
むしろ、楽曲(音源)作成においては、楽譜では表せない要素も多々ありますので、楽譜が足かせですらある場合もあります。
それでも、バンドメンバーに演奏してもらうときなど、他人に曲を伝えるときには、楽譜が欠かせません。
今回は、無料楽譜作成ソフトの1つであるMusescore2の特徴を紹介した後、このMusescore2とACID Pro 7.0の組み合わせでDTM作業を進める方法についてお伝えします。
1.Musescore2の特徴
Muescore2は無料で利用できる楽譜作成ソフトで、ダウンロードは以下リンクの公式ダウンロードページから行えます。
私独自の観点からMusescore2の特徴を挙げると、以下の通りとなります。
(メリット)
・休符の長さ、数を気にせず入力できる
・レイアウトを気にせず入力できる
・歌詞、コードが入力できる
・Tab譜が作成できる(イレギュラーチューニング対応可能)
(デメリット)
・ドラム譜記号が一般的でない(デフォルト設定の場合)
1-1.(メリット)休符の長さ、数を気にせず入力できる
Musescore2では、あらかじめ全休符が記入されたところに音符を入れていく形で楽譜を作っていきます。
例えば、4/4拍子で全休符が記入されている小節に四分音符を1つ入力した場合、自動的に休符が付点二部休符に変わります。
そのため、音符のない部分を自分で計算して休符を入れるという作業が必要ありません。
1-2.(メリット)レイアウトを気にせず入力できる
音符、休符の間隔や、小節幅などのレイアウト部分は全て自動調整されます。
従って、リズム上決まった位置に音符、休符を配置していくだけで楽譜が仕上がっていきます。
1-3.(メリット)歌詞、コードが入力できる
楽譜中にテキストを入力することができます。
歌詞であれば音符一つ一つに、コードであれば小節の初めでも途中でも入力できます。
1-4.(メリット)Tab譜が作成できる
私がMusescore2を作成するようになった最大の理由がこのTab譜作成機能です。
私は別口でバンドを組んでおり、バンドメンバーに曲を提示するときに楽譜を渡しているのですが、ギターやベース担当には音符情報だけの楽譜よりも、Tab譜の方が好まれる傾向にあります。
Tab譜は単独でも作成できますが、あらかじめギターやベースパートと結びつけたTab譜を用意しておくことで、楽譜と連動して作成することもできます。
素晴らしい!
1-5.(デメリット)ドラム譜記号が一般的でない(デフォルト設定の場合)
上記4つのメリットがそろっているだけで、Musescore2を使う十分な理由になるのですが、いただけない点が1つあります。
それは、デフォルト設定状態でドラム譜におけるクラッシュシンバルとオープンハイハットの表記が、下の画像に示すように一般的なバンドスコアで使用されるものとは異なるという点です。
対処方法もなくはないようですが、ひと手間かかることは確かなので、この点不便といえます。
2.Musescore2で作った楽譜をDAWで利用する方法(ACID Pro 7.0の場合)
私が今メインで使用しているDAWはACID Pro 7.0であり、他のDAWについては習熟しておりませんので、ACID Pro 7.0で使用する場合についてのみお伝えします。
2-1.Musescore2側での操作
ACID Pro 7.0では楽譜を扱えませんので、まずMusescore2でmidiファイルに変換します。
ただし、ACID Pro 7.0側の仕様なのか、Musescore2で生成したmidiファイルをACID Pro 7.0に読み込ませると、最上位パート1つが欠落しますので、Musescore2でダミーの空白パート1つを最上位に追加しておく必要があります。
この空白パートは当然、楽譜としては不要、かつ見た目を損なうので、midi変換時のみの追加でOKです。
Musescore2のメニューバー、「ファイル」→「エクスポート」を選択すると、ファイル名、保存場所、ファイル形式を指定するためのエクスプローラーが立ち上がります。
ここでファイル形式としてmidiを選択すればOKです。
2-2.ACID Pro 7.0側での作業
ACID Pro 7.0のメニューバー、「ファイル」→「開く」を選択するとエクスプローラーが立ち上がって読み込むファイルを選択できますので、先ほど作成したmidiファイルを選択して開きます。
Musescore2側で追加したダミーの空白パートは読み込まれず、本来の最上位パートから最下位のパートまでが、1パート1トラックで、意図通り読み込まれていることが確認できるかと思います。
その後は通常通り、作業を進めていけばOKです。
3.最後に
そもそもACID自体が「楽譜の知識がなくても曲が作れる」ことを謳ったDAWであることを考えると、わざわざ楽譜作成ソフトを使っている時点で、「だったらACIDじゃなくて良くない?」と思われるかもしれません。
実際、私もそのように感じて、楽譜作成機能のあるCubase(LE 9.5)にトライしたことがあるのですが、ACIDに慣れた身からすると難しく感じて、結局このMusescore2+ACIDのスタイルで落ち着いている状況です。
ただ、ACID自体とっつきやすいDAWソフトであるとは思うので(少なくとも私が使っているPro7やMusic Studio8.0の場合)、「楽譜にこだわりたいが難しいのは勘弁」という方には、Musescore2+ACIDというスタイルもアリなのではないかと思います。