簡単!DTM用DAWソフトACID Pro 8の基本的な使い方~音を鳴らしてみよう~
昨今、様々なDAWソフトが出回っていますが、私はずっとACIDシリーズを使い続けています。
ACIDシリーズには、上位版のProと下位版のMusic Sutdioとがありますが、私が現在メインで使用しているのはACID Pro 8です。
上位版といっても、特段難しい操作というのは必要ではなく、要領を得ればさくっと音を鳴らすところまで、簡単にたどり着けます。
今回は、このACID Pro 8で「それっぽく音を鳴らしてみる」というところを目標に、その使い方を解説します。
1.ACID Pro 8でできること
ACID Pro 8で何ができるのでしょうか?
一言でいえば「複数の楽器の音を重ねた曲を作ることができる」ということになります。
世間で流れている音楽には、ピアノ単独、ギター単独のものもあったりしますが、たいてい複数の楽器が同時に鳴っていますよね?
例えばロック系の曲なら、ドラム、ベース、ギター、ピアノ、ボーカル等々・・・
ACID Pro 8を使うと、そんな複数楽器によるアンサンブルモノの曲(音源)が作れてしまうのです!
もちろん、このような点はACID Pro 8固有のものではなく、他のDAWソフトでも同じことなのですが、ACID Pro 8は比較的安価で入手可能なので、これからDTMを始めようという方でも、あまり身構えることなく気軽に導入できるというメリットがあります。
2.ACID Pro 8の基本
1で「複数の楽器の音を重ねた曲を作ることができる」といいましたが、具体的にどのような手順を踏めばよいのでしょうか?
以下、少々専門用語が交じりますがご容赦を。
ACID Pro 8では、複数の楽器の音を重ねるための要素として「トラック」というものが用意されています。
簡単にいうと、最低限、重ねたい楽器の数だけ、この「トラック」が必要になります。
「トラック」には複数の種類があり、最もよく使うのは「オーディオトラック」、「MIDIトラック」の2つです。
「オーディオトラック」は、ループ素材を使用する場合、アナログ録音する場合などに用います。
「MIDIトラック」は、デジタル的に音を入力する場合に用います。
これらのトラックはいずれも、「オーディオトラックの挿入」、「MIDIトラックの挿入」の操作で逐次追加が可能です。
以下、これら2つのトラックの使い方について説明していきます。
3.オーディオトラックの使い方
上で述べた通り、オーディオトラックは、ループ素材を使用する場合、アナログ録音(ギターやボーカルなど)する場合などに用います。
以下、これら2つの場合、それぞれについて説明します。
3-1.ループ素材を使用する場合
最初にループ素材というものについて、少し説明を。
ループ素材とは、「繰り返し再生可能な短いフレーズを収録した音源素材」のことを指します。
ロック、ポップス系の楽曲を聴いていると、同じパターン(フレーズ)を繰り返している部分があることに気付きませんか?
例えば、ドラムなら「4小節同じパターンで叩いている」というケースはザラですし、ギターやピアノといった楽器でも、「イントロで同じフレーズを繰り返す」といったケースは往々にしてあるでしょう。
ループ素材を使えば、ほぼ(簡単な)コピペ操作だけで、そのような繰り返しの演奏を実現することができます。
以下、このループ素材を使用するための具体的な操作手順です。
- ACID Pro 8の左下「エクスプローラー」を開き、ループ素材のあるフォルダを選択
- ループ素材のファイルをドラッグし、オーディオトラックのタイムライン上でドロップ
- (波形の塊(クリップ)がオーディオトラックのタイムライン上に配置される)
- 「クリップ」の左端や右端にマウスカーソルを当て、四角のマウスカーソルに変化した状態でドラッグ、横方向に移動させて長さ(繰り返し数)を調整、ドロップで決定
なお、ループ素材については、ACID Pro 8のメニュー「ヘルプ」-「Download instruments and Loop Collections...」から無料ダウンロードできます。
なお、保存先のパスは以下の通りです(少なくともWindows10の場合)。
x:\Users\Public\Documents\MAGIX\Common\Loop Collections
(x=システムドライブ)
3-2.アナログ録音する場合
ギターやボーカルといったアナログの音をACID Pro 8に取り込みます。
アナログ録音を行う場合、オーディオインターフェースというハードウェア機材が別途必要です。
ボーカルやアコースティックギターなど、空気越しに録音するような場合はマイクも必要になります。
以下、録音する手順です。
- 録音するトラックの左側メニューにある「録音アーム」ボタン(赤色の丸)を押す
- メトロノームプリカウントを有効にする
- 録音したい位置にカーソルを合わせる(マウス左クリック)
- 「録音」ボタンを押す
- 録音
- 「停止」ボタンを押す(録音停止)
- ファイル保存
「メトロノームプリカウント」とは、録音が始まる前に、設定されたテンポでメトロノームを鳴らしてくれる機能です。
必須ではないのですが、これがないと「録音」ボタンを押した瞬間に録音が始まってアタフタしますので、有効にしておくことをおすすめします。
4.MIDIトラックの使い方
MIDIトラックは、デジタル的に音を入力するときに使用します。
「デジタル的」とは?
3-2で説明した、オーディオトラックにおけるアナログ録音では、実際に楽器を演奏したり、歌を歌ったものを録音することで音を入力しました。
この場合、ACID Pro 8上では、楽器の音色、音の高さ、長さ、強さといった、音楽的な情報を取り扱うのではなく、録音された波形そのものを取り扱って音を鳴らす、ということになります。
これに対し、デジタル的に音を入力するというのは、楽器の音色、音の高さ、長さ、強さといった情報を、ACID Pro 8上で入力(設定)することを指します。
この場合、ACID Pro 8上では、これらの情報を基に音を鳴らすことになります。
具体的には次のような手順をとります。
- 楽器の音色を決める
- 音を入力する
この方法を用いるメリットとしては、
- 自分が持っていない、あるいは演奏するのが苦手な楽器の音も鳴らせる
- 音の調整自由度が高い
- この方法でしか鳴らせない音がある
といった点が挙げられます。
特に最初に挙げた点は、DTMが成立する根本の理由として重要で、これがあるからこそ、ドラム、ベース、サックスが演奏できない私でも、以下のような曲(音源)を作ることができたのです(これらの曲自体は旧版のACID Pro 7で制作)。
4-1.楽器の音色を決める
楽器の音色は「ソフトシンセ」で設定します。
「ソフトシンセ」の設定は、MIDIトラックの左側メニューの「MIDI出力」-「ソフトシンセの挿入」から行えます。
なお、ソフトシンセ(楽器音源)については、ループ素材同様、ACID Pro 8のメニュー「ヘルプ」-「Download instruments and Loop Collections...」から無料ダウンロードできます。
4-2.音を入力する
以下の手順で行います。
- ドローツールを有効にした上で、MIDIトラックのタイムライン上をドラッグ、そのまま横方向に移動させて長さを調整、ドロップで決定(音を入力するエリア(クリップ)を作る)
- 上部メニュー「オプション」-「インラインMIDI編集を有効にする」を選択
- ドローツールを有効にした上で、マウス操作ベースで音を入力していく
最後の「マウス操作ベースで音を入力していく」ですが、以下の手順に沿って、音の長さ、高さ、強さを決めていきます。
- ドローツールを有効にした上で、「クリップ」内で音を配置したい位置でドラッグ、そのまま横方向に移動させて音の長さを調整、ドロップで決定
- インラインMIDI編集を有効にしたときに、縦方向に表示されるピアノの鍵盤位置に合わせて、音(バー)の位置を上下方向に調整して音の高さを決定
- 音(バー)を右クリックし、「ベロシティ」-「設定」を選択、立ち上がるウィンドウ上で数値を入力して、音の強さを決定
5.最後に
以上の手順を踏めば、最初に掲げた「それっぽく音を鳴らしてみる」という目標は割と簡単に達成できるでしょう。
操作方法については、ざっと説明しただけなので、つまずくポイントがあるかもしれませんが、大まかな流れが把握できれば、適宜ヘルプを参照しながら、作業を進めていけるかと思います。
初めてDAWソフトを触る場合、いきなり「曲を作ろう」と身構えず、今回のように、まずは「音を鳴らす」という身近なところにフォーカスするのがおすすめです。
先を見過ぎると、やることが膨大に見え、心理的ハードルが上がって挫折しやすくなりますので・・・