ACID Pro 8のレンダリング結果が安定しないときに試したい2つの対策方法
今回は、ACID Pro 8のレンダリング結果が安定しない(毎回波形が変わる)場合において、有効な対策となり得る2つの方法をご紹介します。
ACID Pro 8でレンダリングを繰り返したとき、MIDIトラックの音の鳴り方が毎回変わって困る、ということはありませんか?
ただでさえ、音楽的な都合による変更や修正によって、レンダリングを繰り返さなければならないのに、それとは別に、ソフトの問題でレンダリングを繰り返さなければならないというのは、正直こたえますよね?。
私も長らくこの問題に悩まされてきました。
しかし、次の2つを行えば、かなりの部分、この問題から解放されることがわかりました。
- レンダリング前にMIDIトラックをフリーズする
- 複数のレンダリング結果ファイルのいいとこ取りをする(外部波形編集ソフトで合成)
これらの対策を行うことで、レンダリングをそう何度も繰り返さなくても、ベストな結果(波形ファイル)が得られますので、時間的にも精神的にもメリット大といえます。
それでは、以下詳しく説明します。
1.レンダリング結果が安定しない主な理由
レンダリング結果が安定しない理由は、ほぼ次の1点だといってよいと思います。
- MIDIトラックの音声波形化結果が毎回変わる
MIDIトラック自体は音声波形ではないため、レンダリングでまるごと音声化するとなれば、MIDIトラックの音声波形化が必要となります。
このMIDIトラックの音声波形化、全てデジタル処理なので毎回同じ結果が得られるものだと思いきや、それがどうやら異なるようなのです。
詳しいメカニズムは不明ですが、少なくともこのMIDIトラックの音声波形化結果が毎回変わることによって、レンダリング結果も毎回変わるということになっている模様です。
2.対策の基本方針
次の2つが基本になります。
- レンダリング前にMIDIトラックをフリーズする
- 複数のレンダリング結果ファイルのいいとこ取りをする(外部波形編集ソフトで合成)
1つ目のところにある「MIDIトラックをフリーズする」というのは、MIDIトラックを音声ファイル出力し、プロジェクト画面上の再生やレンダリングには、その音声ファイルを用いるようにするという設定操作です。
これについては、以下記事に詳細まとめておりますので、ご参考にしてください。
この1つ目の対策を実施するだけでも、かなりレンダリング結果は安定しますが、このMIDIトラックのフリーズもまた、繰り返すと毎回結果が変わります。
そのため、MIDIトラックをフリーズしてから、再度編集→フリーズを繰り返すと、「前は良かったが、今回は悪くなった」という箇所が出てきやすくなります。
そうした場合にも有効なのが2つ目の対策「いいとこ取り」です。
こちらは少々込み入った話になりますので、次章で詳しく説明します。
3.対策詳細~複数のレンダリング結果ファイルのいいとこ取り~
実際には、複数の問題個所が発生するケースも多々あると思いますが、簡単化のため、以下に示すように、問題個所は1箇所、扱うファイルは2種類という場合を想定して説明します。
- 問題個所を含むファイル:ファイル1
- 問題個所を含まないファイル:ファイル2
具体的な手順は以下の通りです。
- 問題個所を含む時間区間Aを特定する(小節、ビートの切れ目など、キリのよい部分を選ぶことがおすすめ)
- ファイル2から、時間区間Aを切り抜いたものを、新規波形ファイル3として保存する。
- ファイル1で、時間区間Aの部分をミュートし、②で抽出作成したファイル3を貼り付ける(波形の差し替え)
- 時間区間A前後で聴感上問題がないことを確認する
この手順を図に表すと次のようになります。
この操作により、元々ファイル1の時間区間Aにあった問題個所がなくなる(問題個所のないファイル2の波形に置き換わる)ので、めでたく「問題解消!」となるわけです。
この波形編集に用いるソフトですが、私はSOUND FORGE Audio Studio 12を使用しています。
4.最後に
まとめます。
ACID Pro 8のレンダリング結果が安定しない場合、次の2つの対策が有効です。
- レンダリング前にMIDIトラックをフリーズする
- 複数のレンダリング結果ファイルのいいとこ取りをする(外部波形編集ソフトで合成)
これにより、少ないレンダリング回数で、ベストな結果(波形ファイル)が得られますので、時間的にも精神的にもメリット大といえます。
2つ目の対策は少々手間がかかるものの、少なくともやみくもにレンダリングとモニタリングを繰り返すよりは効率的でしょう。
今回のこの記事が、ACID Pro 8のレンダリングで悩んでいる方のご参考になれば幸いです。
なお、MIDIトラックのフリーズについては、以下の記事に詳しくまとめていますので、よければこちらもお読みいただければと思います。
それでは!