64bit VST対応のDTM用DAWソフトACID Pro 8で32bit VST音源(VSTi)の音を使用する方法

私の使用しているDTMDAWソフトACID Pro 864bit VST対応しています。

しかし、32bit VSTには非対応です。

従って、ACID Pro 8で32bit VST音源(VSTi)は使えません

昔からお気に入りの古いソフトシンセ音源は、たいてい32bitのもの。

64bitのみ対応しているACID Pro 8で32bit VST音源(VSTi)が使えず、困っている方も多いのではないでしょうか??

もっとも、ACID Pro 9ACID Pro NEXTACID Pro NEXT Suiteといった新しいバージョンであれば、32bit VSTにも対応しているとのことなので、問題なさそうですけどね・・・





しかし、ある方法を使えば、旧バージョンのACID Pro 8でも32bit VST音源(VSTi)の音を鳴らせなくはありません

そこで今回は、32bit VST音源(VSTi)が使えないACID Pro 8で、32bit VST音源(VSTi)の音を鳴らす方法についてお伝えします。

1.概要

初めに、ACID ProのVSTi対応状況を確認しておきましょう(2019年7月時点)。

  • ACID Pro 7:32bit VSTi対応、64bit VSTi非対応
  • ACID Pro 8:32bit VSTi非対応、64bit VSTi対応
  • ACID Pro 9:32/64bit VSTi対応

ご覧のように、ACID Pro 8では32bit VSTiが使えません

しかし、32bit VST音源(VSTi)に対応したDAWソフト(ACID Pro 7など)を持っていれば、およそ次の手順で、ACID Pro 8でも32bit VST音源(VSTi)の音を鳴らすことができます。

  1. 32bit VST音源(VSTi)対応DAWソフトで、32bit VST音源(VSTi)を割り当てたMIDIトラックをフリーズ(waveファイル化)する
  2. そのフリーズ(waveファイル化)したものをACID Pro 8で読み込ませる

この方法には、「32bit VST音源(VSTi)対応のDAWを既に持っている場合、新たな投資が発生しない」というメリットがあります。

それでは以下、詳しくみていきましょう!

2.操作手順

まず、用意するものを次に示します。

  • 32bit VST音源(VSTi)対応DAWソフト(ACID Pro 7など)
  • ACID Pro 8

32bit VST音源(VSTi)対応DAWソフトは、ACID Pro 7と同じように、MIDIトラックのフリーズ(waveファイル化)ができれば、必ずしもACID Pro 7でなくともよいように思われます。

しかし、DAWソフトによって、MIDIトラックのフリーズ(waveファイル化)の仕様が異なる可能性があります(トラック冒頭の無音部分の長さなど)。

そこで、以下、32bit VST音源(VSTi)対応DAWソフトにはACID Pro 7を使用することとして、説明を進めていきます。

2-1.ACID Pro 8での操作

ここでは、今後の作業に必要な、次のファイルを生成します。

  • ACID Pro 7に読み込ませるmidiファイル
  • ACID Pro 8で参照するMIDIフリーズトラック(waveファイル)

これらを作成するため、ACID Pro 8で作成したプロジェクトファイルを開き、以下の操作を実行します。

  1. 32bit VST音源(VSTi)を使用したいMIDIトラックで、MIDIフリーズ解除
  2. MIDIのエクスポート」を実行(MIDIトラックをmidiファイルに出力)
  3. 32bit VST音源(VSTi)を使用したいMIDIトラックをフリーズ(Wave化)(ファイルA)
  4. MIDIトラックをフリーズ(Wave化)した状態で、プロジェクトファイルを保存

1つ目の操作は、すでにMIDIトラックがフリーズされている場合の話で、フリーズされていなければこの操作は不要です。

このMIDIフリーズトラックの名前ですが、デフォルトでは「トラック xx.yy.freeze.n.wav」(xx:トラック番号、yy:トラック名、n:連番)となります。

MIDIトラックのフリーズに関しては、以下の記事(3~4章)に詳しくまとめています。

2-2.ACID Pro 7での操作

ここでは、32bit VST音源(VSTi)の音のMIDIフリーズトラック(waveファイル)を生成します。

そのために以下の操作を実行します。

  1. ACID Pro 7(32bit VST音源(VSTi)対応DAW)で、midiファイル(2-1で作成したもの)を読み込む
  2. ACID Pro 7(32bit VST音源(VSTi)対応DAW)で、32bit VST音源(VSTi)を割り当てる
  3. 32bit VST音源(VSTi)を使用したいMIDIトラックをフリーズ(Wave化)(ファイルB)

2-3.ファイル置き換え作業とACID Pro 8での確認

あともう少しです!

いよいよ、ACID Pro 8で32bit VST音源(VSTi)の音を鳴らします

  1. ACID Pro 8で参照しているファイルAを、ファイルBに置き換え(ファイルBのファイル名をファイルAのものに変更した上で)
  2. ファイルB置き換え後に、対象のMIDIトラックで意図通り音が鳴るかどうかを確認

ACID Pro 8のプロジェクトファイルの構成にもよりますが、ファイルAとファイルB、それぞれのファイル名、一般的に一致しないことが多いかと思います。

そのため、大抵はファイル名の変更が必要になります。

なお、ファイルAのあるフォルダに、ファイルAと同名(拡張子部分除く)のSFKファイル(拡張子が.sfkとなっているもの)ができていることがあります。

ややこしいので、ファイル置き換え時には、一旦削除しておくようにします。

こうしてファイルを置き換えた後ACID Pro 8で先ほど保存したプロジェクトファイルを開き、意図通り音が鳴るかどうかを確認します。

確認のポイントは最低限、次の2つです。

  • 32bit VST音源(VSTi)の音に置き換わっているか
  • タイミングずれなどがないか

なお、MIDIフリーズを一度解除してしまうと、そのままでは32bit VST音源(VSTi)の音に戻せなくなる(これまでの操作を再度行う必要がある)ので、注意しましょう。

3.最後に

以上、ACID Pro 8で32bit VST音源(VSTi)の音を鳴らす方法をお伝えしてきました。

ここで再度、要点をまとめます。

まず、ACID ProのVSTi対応状況を再掲します(2019年7月時点)。

  • ACID Pro 7:32bit VSTi対応、64bit VSTi非対応
  • ACID Pro 8:32bit VSTi非対応、64bit VSTi対応
  • ACID Pro 9:32/64bit VSTi対応

このような状況なので、ACID Pro 8では32bit VST音源(VSTi)が使えませんが、32bit VST音源(VSTi)対応のACID Pro 7を併用すれば、ACID Pro 8でも32bit VST音源(VSTi)の音を鳴らせるというわけです。

大まかな手順は以下の通りです。

  1. 32bit VST音源(VSTi)対応DAWソフトで、32bit VST音源(VSTi)を割り当てたMIDIトラックをフリーズ(waveファイル化)する
  2. そのフリーズ(waveファイル化)したものをACID Pro 8で読み込ませる

midiファイルwaveファイルという、DAWバージョンに依存しないファイル形式を介することで、このようなことが可能になるわけですね。

そしてこの方法には、「32bit VST音源(VSTi)対応のDAWを既に持っている場合、新たな投資が発生しない」というメリットがあります。

私自身、過去の制作楽曲Clean」や「閉ざされて」で使用したDVS SaxophoneDrumCore 3(ともに32bit VST音源(VSTi))の音に愛着があり、これらがACID Pro 8で使えないのは寂しいと感じていました。

何とかしてこの音を再び使うことはできないか」と考えていたとき、この方法を思いつきました。

まだ試運用のみで、実運用したことはありませんが、今後、これら32bit VST音源(VSTi)の音を使いたくなったときには、この方法を使うことになるかと思います(当面、DAWソフトのバージョンアップはしないつもりなので)。

今回の記事が、私と同じように「32bit VST音源(VSTi)の音に愛着があるが、ACID Pro 8で鳴らせず困っている」という方のご参考になれば幸いです。

もっとも、これを機に思い切って、

32bit VST音源(VSTi)を普通に鳴らせるはずの新バージョンに乗り換える

というのもアリですけどね・・・