ACID Pro 8のプラグイン プリセット(エフェクト等の設定)はどこに保存されるのか?

ACID Pro 8の「プラグイン プリセット」には複数の種類があり、それらプリセットの種類によって、保存先が選べたり選べなかったりします。

保存先が選べるものであれば、さほど問題ないのですが、保存先が選べないものについては、少々取り扱いがやっかいです。

今回は、そうした保存先の選べないプラグイン プリセット」のうち、各トラックのプラグイン(エフェクト等)の設定内容全体を保存する「プラグイン チェーン プリセット」の保存先と、その取扱い方(バックアップ&復旧方法)をメインにお伝えします。

この「プラグイン チェーン プリセット」、保存先を自由に選べず、かつ保存先も今一つわからないので、「バックアップや復旧の方法もわからない!」という方も多いのではないでしょうか?

実は「プラグイン チェーン プリセット」のバックアップ復旧は、次のような簡単な手順で行えるのです。

  1. (バックアップ元での操作)各プリセットに対応するsfgファイル、またはsfgファイルの入ったフォルダをどこかにコピーする形で、sfgファイルをコピー保存(ファイルAとする)
  2. (バックアップ先での操作)ACID Pro 8の「オーディオ プラグイン」画面を開き、ファイルAと同じ名前(拡張子除く)で「プラグイン チェーン プリセット」を保存(ファイルBとする)
  3. (バックアップ先での操作)Windowsエクスプローラー上で、ファイルBをファイルAで上書き

保存先が自由に選べず、今一つ扱いづらい印象のある「プラグイン チェーン プリセット」でも、このような簡単な手順でバックアップ&復旧が行えるので、PC2台使いしたり、故障時に環境復旧する場合でも安心&便利です!

では、詳しくみていきましょう。

1.ACID Pro 8におけるプラグイン プリセットの取り扱い

初めに、ACID Pro 8で扱えるプラグインと、プラグインの設定内容を保存する「プラグイン プリセット」について、簡単に説明します。

ACID Pro 8で扱えるプラグインには「DirectX プラグイン」と「VST プラグイン」とがあり、プラグインの繋がりを「プラグイン チェーン」と呼んでいます。

また、「VST プラグイン」には複数のプリセットの集まりである「バンク」というものが存在し、この「バンク」もプリセットとして保存することができます。

よって、以下4つの「プラグイン プリセット」が存在することになります。

  • プラグイン チェーン プリセット
  • 個々の DirectX プラグインのプリセット
  • 個々の VST プラグインのプリセット
  • VST プラグイン プリセットのバンク

以下の表に示すように、これら4つのプリセットの保存仕様(保存先、ファイル参照、保存内容)はそれぞれ異なっています

各プリセットの保存仕様
項目 プラグイン チェーン プリセット 個々の DirectX プラグインのプリセット 個々の VST プラグインのプリセット VST プラグイン プリセットのバンク
保存先 固定 固定 任意 任意
ファイル参照 ×
保存内容 チェーンの状態(プラグインの並び、各プラグインの有効無効状態) × × ×
個々の DirectX プラグインの設定 × ×
個々の VST プラグインの設定 ×
プリセットリストにある複数のプリセットの設定内容 × × ×

このように、「プラグイン チェーン プリセット」は保存先が自由に選べませんが、ファイル参照は可能になっています。

ん、ファイル参照可能

一体、どこに保存されるというのでしょうか??

2.プラグイン チェーン プリセットの保存先と取り扱い

2-1.プラグイン チェーン プリセットのファイル保存先

実は「プラグイン チェーン プリセット」(対応するファイル)は、次のパスにあるフォルダ以下の部分に保存されます。

  • (システムドライブ)/ユーザー\(ユーザー名)\AppData\Roaming\VEGAS\FX Packages

(注)OS等によって変わるかもしれません。後述するように、プリセット保存時につけた名前と同じファイルが確認できるので、ここになければファイル検索してみて下さい。

(システムドライブ)には、システムドライブを示す名称(Cなど)、(ユーザー名)には、使用中のユーザー名が入ります。

AppData」フォルダは、デフォルトでは隠しフォルダの扱いなので、それはわかりにくいですよね・・・

で、「このフォルダの中に、プリセットに対応するファイルがだーっと入っている」かといえば、実はそうではありません。

何なんだよ・・・

まぁまぁ、落ち着きましょう。

実は、このフォルダの中に、各プリセットに対応する形で、一見意味不明な英数字列からなる名前のフォルダが生成されています。

そして、これらのフォルダの中に、sfgファイル(拡張子が.sfgのファイル)が1個ずつ入っています。

このsfgファイルの名前は、「(プリセット保存時につける名前).sfg」となっているので、ここでかろうじてプリセットとファイルの対応がとれるというわけです。

ちなみに、sfgファイルが入っているフォルダの名前(一見意味不明な英数字列)は、外から見る限り、本当にランダムで、たとえ同じ内容のプリセットでも、一旦削除して新たに保存しなおすと別の名前になります。

2-2.バックアップ&復旧方法

以下の手順で行えます。

  1. (バックアップ元での操作)各プリセットに対応するsfgファイル、またはsfgファイルの入ったフォルダをどこかにコピーする形で、sfgファイルをコピー保存(ファイルAとする)
  2. (バックアップ先での操作)ACID Pro 8の「オーディオ プラグイン」画面を開き、ファイルAと同じ名前(拡張子除く)で「プラグイン チェーン プリセット」を保存(ファイルBとする)
  3. (バックアップ先での操作)Windowsエクスプローラー上で、ファイルBをファイルAで上書き

「そんな回りくどいやり方をせずとも、sfgファイルの入ったフォルダを、そのままバックアップ先にコピーすれば良いのではないか?」

そう思われた方もいるでしょう。

しかし、フォルダを丸ごとコピーしても、ACID側からは参照できません

ACID側で参照できるのは、ACID上で作成したプリセットのみなので、上のような手順が必要になるわけです。

2-3.削除方法

ついでといっては何ですが、削除方法についても触れておきます。

削除は、Windowsエクスプローラからではなく、ACID Pro 8から行うようにします。

Windowsエクスプローラ上でフォルダやファイルを削除しても、ACID Pro 8からプリセットが読み込めなくなるだけで、ACID Pro 8内のリストからは消えません。

逆に、ACID Pro 8からプリセットを削除すると、Windowsエクスプローラー上からも(ごみ箱にも残らず)消えます

削除時、特に確認ウィンドウは表示されないので、間違って削除してしまわないよう、注意しましょう。

3.最後に

以上、「プラグイン チェーン プリセット」の保存先と、その取扱い方(バックアップ&復旧方法)についてお伝えしてきました。

ここでもう一度要点をまとめます。

  • プラグイン チェーン プリセット」は、各プラグインの設定内容と、その接続状態保存するプリセット
  • プラグイン チェーン プリセット」は、保存先を自由に選べず、バックアップ&復元には工夫を要する

プラグイン チェーン プリセット」のバックアップ&復元は以下の手順で行えます。

  1. (バックアップ元での操作)各プリセットに対応するsfgファイル、またはsfgファイルの入ったフォルダをどこかにコピーする形で、sfgファイルをコピー保存(ファイルAとする)
  2. (バックアップ先での操作)ACID Pro 8の「オーディオ プラグイン」画面を開き、ファイルAと同じ名前(拡張子除く)で「プラグイン チェーン プリセット」を保存(ファイルBとする)
  3. (バックアップ先での操作)Windowsエクスプローラー上で、ファイルBをファイルAで上書き

複数のプラグインで成り立つ音」というのもあるので、「プラグイン チェーン プリセット」のバックアップ&復元ができると本当に安心&便利です!

「"プラグイン チェーン プリセット"は、保存先もよくわからず管理しにくい」と思われている方も、今回の記事をご参考に、プリセット管理を始められてみてはいかがでしょうか?