定額音楽配信サービスはお得?高すぎる?

有料で音楽を聴く手段には、大きく分けて、CD購入CDレンタル音楽ファイルのダウンロード購入定額音楽配信サービス利用の4つがあります。

4つも手段があるので、どれがお得なのか整理できていないまま、1つ、あるいは複数の手段を利用されている人も多いのではないかと思います。

しかし、せっかくこれだけ音楽を聴く方法が色々あるのですから、それぞれの特徴を踏まえて、少しでもお得に音楽を聴いていきたいと思いませんか??

そこで、今回はこれら4つの特徴の比較と、「定額音楽配信サービスで元が取れる条件」の試算を行ってみました。

その結果を少しお伝えすると、

定額音楽配信サービスで元が取れる条件」は、

  • 年間40枚以上(楽曲換算400曲以上)アルバムをレンタルする場合
  • 年間4枚以上(楽曲換算40曲以上)アルバムを購入する場合

ただし、以下が前提となります。

  • アルバム収録曲数:10曲/枚
  • アルバム購入価格:3,000円/枚
  • アルバムレンタル料金:300円/枚
  • 定額音楽配信サービス料金:1,000円/月(=12,000円/年)

それでは以下、詳しくみていきましょう!

1.有料で音楽を聴く4つの手段の比較~メリット、デメリット等の列挙~

それぞれの特徴(メリットデメリット適した用途)を列挙して表にまとめてみました。

音楽を聴く4つの手段の比較
項目 CD購入 CDレンタル ダウンロード購入 定額音楽配信
メリット
  • 一度購入して所有すればずっと聴ける(購入後に廃盤化、商品回収が行われても影響なし)
  • CDの場合はジャケットや特典なども含めて自分のものになるため、所有の喜びが大きい
  • 利用単価が比較的安い
  • 一度購入して所有すればずっと聴ける(購入後に販売停止になっても影響なし)
  • 音源の置き場所にさほど困らない(データのみ)
  • 再生時間、楽曲数によらず費用が一定
  • PC、スマホ等複数デバイスで使用する場合も、データ移動が不要
  • 音源の置き場所に困らない
  • データ消失、CD破損等によって聴けなくなるリスクがない
デメリット
  • 購入単価が比較的高い
  • 購入する枚数が増えると出費が増える
  • 置き場所に困る場合がある
  • CDの破損、状態変化などにより再生できなくなる可能性がある
  • 音源をPCなどにコピーする場合、その作業時間がかかる
  • 音源コピーデータを、PC、スマホ等各デバイス間で移動させる際に時間がかかる
  • 返却などの手続きが面倒
  • レンタルする枚数が増えると出費が増える
  • PCなどへ音源をコピーする場合、その作業時間がかかる
  • 何度もレンタルされているCDの場合、傷などにより読み取り状態が悪く、読み取りに影響がある場合がある
  • 返却の際に、破損や紛失があった場合、弁償させられるリスクがある
  • 購入単価が比較的高い
  • 購入する枚数が増えると出費が増える
  • ダウンロードしたデータが消失すると聴けなくなる可能性がある
  • 音源データを、PC、スマホ等各デバイス間で移動させる際に時間がかかる、あるいは移動自体に制約がある場合がある
  • 定期的な出費となることによる心理的ストレス
  • 聴いていた楽曲が配信停止になることがある
  • 通信データ容量を消費する
  • 通信できない環境では使用に制約がかかる
適した用途
  • 物としての保存版コレクションを揃える
  • 単価を安く抑えて、音源としての保存版コレクションを揃える
  • 音源としての保存版コレクションを揃える
  • 購入するまでには至らないと思う曲を聴く
  • 知らない音楽をいろいろ物色する

2.有料で音楽を聴く4つの手段の各特徴~4つの観点で整理~

1の表では、様々な観点でのメリット、デメリットなどをまとめて挙げましたが、これらを経済性資産性耐久性利便性の4つの観点で整理すると次の表の通りとなります。

表中の○、△、×は、×→△→○の順に優位であることを示しています。

音楽を聴く4つの手段を4つの観点で比較
観点 CD購入 CDレンタル ダウンロード購入 定額音楽配信
経済性 購入のたびに費用発生 レンタルのたびに費用発生 購入のたびに費用発生 再生時間、再生曲数によらず定期的に費用発生
資産性 ○(一度購入するとずっと聴ける) △(一度レンタルしてコピー(※)するとずっと聴ける) ○(一度購入するとずっと聴ける) ×(配信停止により聴けなくなる可能性がある)
耐久性 ×(CD破損、状態変化により再生できなくなるリスクがある) ×(保存デバイスの状態変化により、再生できなくなるリスクがある) ×(データ消失により再生できなくなるリスクがある) ○(基本的にデータを「所有」しないため、少なくともユーザー側は所有物を失うリスクがない)
利便性 ×(保管場所の確保、データコピーの際の作業が手間) ×(返却手続きやデータコピーの際の作業が手間) ×(データ移動の際の作業が手間、あるいは移動自体に制約がある) ○(データ移動作業なしで複数デバイスでの利用が可能)

(※)レンタルの場合も「私的使用のための複製」の範囲内で可能(以下リンク参照)

CD購入CDレンタルダウンロード購入が、定額音楽配信サービスに対して優れている点は、資産性(ずっと聴ける)であり、耐久性利便性の点では定額音楽配信サービスの方が優れているといえます。

残る経済性の点ですが、上の表では、経済性(費用)の欄だけ、○、△、×を付けませんでした。 それは、音楽をどれだけ聴くかによって変わってくるためです。

上の表にも示した通り、CD購入、CDレンタル、ダウンロード購入は、購入あるいはレンタルするたびに費用が発生しますが、定額音楽配信サービス常に一定の費用が発生します。

したがって、たくさん音楽を聴くほど、定額音楽配信サービスの利用がお得(割安)になってきます。

では、どのくらい音楽を聴けば、定額音楽配信がお得になるのでしょうか?

次の3では、定額音楽配信サービスの利用で元が取れるラインを、簡単な試算によって割り出してみます。

3.定額音楽配信サービスで元を取るには

音楽の聴き方は人様々だと思いますが、ここではアルバム単位で聴く場合について考えてみます。

以降、試算を進めていきますが、まずは試算の前提条件を以下に示します。

<前提条件>

  • アルバム収録曲数:10曲/枚
  • アルバム購入価格:3,000円/枚
  • アルバムレンタル料金:300円/枚
  • 定額音楽配信サービス料金:1,000円/月(=12,000円/年)

当然ながら、実際にはアルバム、サービスによって数値は変わりますが、ここでは目安のラインを算出するため、ざっくりとした仮定にとどめます。

また、アルバム購入とダウンロード購入とで価格が異なる場合も実際にはありますが、ここでは同程度とし、①アルバム購入→定額音楽配信、②アルバムレンタル→定額音楽配信、それぞれの場合について試算を進めます。

①アルバム購入→定額音楽配信の場合

アルバム購入合計額(1年間)が、定額音楽配信サービス料金合計額(1年間)と等しくなるアルバム枚数を算出します。

前提条件から、定額音楽配信サービス料金合計額(1年間)は12,000円、アルバム購入価格は3,000円/枚なので、求めたいアルバム枚数は

12000 / 3000 = 4(枚)

となります。

従って、年間4枚以上(楽曲換算40曲以上)アルバムを購入する場合は、定額音楽配信サービス(配信曲数3000~4000万曲程度)で十分元がとれることになります。

②アルバムレンタル→定額音楽配信の場合

アルバムレンタル合計額(1年間)が、定額音楽配信サービス料金合計額(1年間)と等しくなるアルバム枚数を算出します。

前提条件から、定額音楽配信サービス料金合計額(1年間)は12,000円、アルバムレンタル料金は300円/枚なので、求めたいアルバム枚数は

12000 / 300 = 40(枚)

となります。

従って、年間40枚以上(楽曲換算400曲以上)アルバムをレンタルする場合は、定額音楽配信サービス(配信曲数3000~4000万曲程度)で十分元がとれることになります。

4.最後に

以上、定額音楽配信サービスの利用を含めた、有料で音楽を聴く4つの手段について、各々の特徴の比較と、「定額音楽配信サービスで元が取れる条件」の試算を行ってみました。

おさらいすると「定額音楽配信サービスで元が取れる条件」は、

  • 年間40枚以上(楽曲換算400曲以上)アルバムをレンタルする場合
  • 年間4枚以上(楽曲換算40曲以上)アルバムを購入する場合

ただし、以下が前提となります。

  • アルバム収録曲数:10曲/枚
  • アルバム購入価格:3,000円/枚
  • アルバムレンタル料金:300円/枚
  • 定額音楽配信サービス料金:1,000円/月(=12,000円/年)

今回の記事が、音楽の聴き方をどうするか考えている方のご参考になれば幸いです。