Audials One 2020の録音音量を実際に調べてみた~Spotify再生音源~
(写真はイメージです)
今回は、Audials One 2020でSpotify再生音源を録音してみたときの録音音量について調べてみた結果を中心にお伝えします。
ズバリ、こんな方に特におススメの内容です。
- Audials Oneで本当にちゃんとした録音ができるのか気になっている
- Audials One 2020で録音すると何となく音量が小さくて困っている
- Audials Oneでどの項目をどのように設定すればよいかがわからない
有名音楽ストリーミング(聴き放題サービス)の再生音源を録音できるソフトAudials One。
しかし、このように録音によって音楽コレクションを拡充する場合、その音量がどうなるのかは重要な問題です。
他の楽曲音源の音量とのバランス関係が悪かったり、音量が小さかったりすると、聴きづらいものになりますからね。
はじめに結果の概要ですが、今回の調査によって、以下のことがある程度定量(数値)的に確認できました。
- Audials One 2020の録音音源は(ちゃんとした/一般的な)CD並の音量にできる
- CD並の音量にするには、Audials側、Spotify側双方の設定が重要
- Audials側のデフォルト設定では、録音音量がCD並にならない(数dB~10dB弱の程度の音量差が生じ得る)
デフォルト設定でCD並の音量にならないのが少々面倒なところではありますが、
設定変更はそれほど難しくありません。
それでCD並の音量が得られるわけですから、実用上はそれほど大きな問題にはならないかと思います。
それでは以下、詳しくみていきましょう!
1.録音条件
概要としては以下の通りです。
- 対象音源:Mr.Childrenのアルバム「深海」の曲(ただし短時間(15s程度)トラックの「臨時ニュース」(9曲目)を除く)
- 録音元:Spotifyデスクトップアプリ
- 録音方法:Spotifyデスクトップアプリから音楽を再生し、Audials One 2020で自動録音
- 録音速度:5倍速
- 設定条件数:5
一番上の「対象音源」ですが、手持ちのCDソース音源と比較したかったため、この音源を選びました。
また、一番下の「設定条件数:5」ですが、録音音量については、
- 再生に使用する(録音元の)Spotify側の設定
- 録音に使用するAudials One側の設定
これら双方が影響し得ると考えましたので、
このように複数条件での録音試行を行いました。
「設定条件数:5」の具体的な内容については、以下の通りです(下表、横にはみ出ている場合は横スクロールできます)。
条件 | (Spotify側) | (Audials側) | |
---|---|---|---|
音量の均一設定 | ファイル形式 | 標準化チェック | |
1 | 〇(ON) | デフォルト | 〇(ON) |
2 | ×(OFF) | デフォルト | 〇(ON) |
3 | ×(OFF) | デフォルト | ×(OFF) |
4 | 〇(ON) | FLAC | 〇(ON) |
5 | ×(OFF) | FLAC | 〇(ON) |
各項目を見ただけでは意味がわかりにくいところもあるかと思いますので、少し詳しく解説します。
- (Spotify側)音量の均一設定:正確にはSpotifyデスクトップアプリの設定にある「
音量の均一・すべての曲を同じ音量で再生する
」のON/OFFのことです。 - (Audials側)ファイル形式:FLACは複数種類ある形式のうち「
Free Lossless Audio Codec
」を選択 - (Audials側)標準化チェック:正確には以下手順で設定する「
オーディオの標準化 (85 - 100 dB):
」のことです。
- アプリ画面左下にある緑色の円型アイコンを左クリックしてメニュー表示「
オプション
」を選択 - 表示されるメニューの左側で「
オーディオ処理
」を左クリック選択 - 「
オーディオの標準化 (85 - 100 dB):
」のチェック欄をチェックしてON、外してOFF - 「
OK
」を左クリック(これで設定完了)
デフォルトではこのチェック欄にチェックが入っており(つまりONになっている)、数値は「94.0」に設定されています。
「標準化」の意味がわかりませんが、音量の単位として使用される「dB」(デシベル)の表記があるため、
音量に影響を与え得る項目であると判断し、本項目のON/OFFを設定条件に含めました。
2.音量比較方法
今回の調査目的は各条件の音量(曲全体の平均音量)比較(基準となるCDソース音源含む)ですので、
- Audials Oneで録音した音源(各条件)
- 比較対象としてのCDソース音源
の音量を算出する必要があります。
世の中には再生中の音量を表示してくれる音量メーターは色々あるのですが、
曲全体の平均音量を算出してくれるソフトなどが見当たらなかったため、
各音源(mp3/FLAC)をWAV変換して、自力で音量を算出することにしました。
曲全体の平均音量は、RMS演算に基づき以下の式で算出しました。
20×(log(RMS_L) + log(RMS_R))/2
- log:対数(底10)
- RMS_L:左(L)チャンネル音声データのRMS値(全区間)
- RMS_R:左(R)チャンネル音声データのRMS値(全区間)
今回扱う音源は左右2チャンネルのステレオ音源ですので、
各チャンネルの(曲全体長さ分の)平均音量を求めてから両者の平均をとる、
そのような形で「曲全体の平均音量」を算出することにしました。
3.音量比較結果
(写真はイメージです)
以下に各条件の音量比較結果(CDソース音源からの差分)を表に示します(下表、横にはみ出ている場合は横スクロールできます)。
トラック | 条件1 | 条件2 | 条件3 | 条件4 | 条件5 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 9.02 | 9.03 | -0.06 | 9.59 | -0.01 |
2 | -3.98 | -4.59 | -0.03 | -3.99 | -0.06 |
3 | -0.92 | -1.49 | 0.02 | -0.90 | 0.02 |
4 | -3.95 | -4.53 | -0.02 | -3.95 | -0.02 |
5 | -2.41 | -1.48 | 0.02 | -2.41 | 0.02 |
6 | 6.62 | 6.02 | 0.02 | 6.62 | 0.02 |
7 | -3.96 | -4.54 | -0.03 | -3.96 | -0.03 |
8 | 0.52 | -0.05 | 0.17 | 0.52 | -0.06 |
10 | -4.00 | -4.58 | -0.01 | -4.00 | -0.06 |
11 | -0.90 | -1.47 | -0.01 | -0.90 | 0.01 |
12 | -2.50 | -3.10 | -0.07 | -2.50 | -0.09 |
13 | -2.44 | -3.02 | -0.01 | -2.44 | -0.01 |
14 | -3.95 | -3.03 | -0.02 | -3.95 | -0.02 |
表中の値が0に近いほど「CD並の音量である」ことを示します。
数値だけではわかりにくいかもしれませんので、いくつか抜粋して棒グラフで表してみます。
今回条件では、条件3、5においてCD音源とほぼ同じ音量の録音音源が得られていることがわかります(上の表及びグラフから)。
条件3、5はいずれもSpotify側で「音量の均一・すべての曲を同じ音量で再生する
」をOFFとしたものであり、
Audials側では、
- 条件3:「
オーディオの標準化
」をOFF - 条件5:録音ファイル形式をFLAC(Free Lossless Audio Codec)に変更
したものになります。
つまり、CD並の音量を得るには、
「Spotify側で「音量の均一・すべての曲を同じ音量で再生する
」をOFF」
かつ
「Audials側で録音ファイル形式をFLAC(Free Lossless Audio Codec)に変更、あるいはデフォルト設定(mp3)のまま「オーディオの標準化
」のみOFF」
が必要
という結論になります。
その他、今回の調査結果からわかることとしては、
- デフォルト設定の場合、Spotifyの「
音量の均一・すべての曲を同じ音量で再生する
」のON/OFFに依らずCD並の音量にならない - 条件3、5以外の設定では、CDソース音源と比較して、数dB~10dB弱の音量差が生じ得る
が挙げられます。
このように設定次第で録音音量がかなり変わりますので、録音前はSpotify側、Audials側双方の設定を十分確認しておく必要があります。
特にSpotify無料プランの場合、再生時間制限(30日ごと15時間まで)がありますので「大量録音した後に設定ミスに気付いた」となると、かなり痛いです・・・
4.最後に
以上、Audials One 2020でSpotify再生音源を録音してみたときの録音音量を調べてみた結果を中心にお伝えしてきました。
今回の調査によって、以下のことがある程度定量(数値)的に確認できました。
- Audials One 2020の録音音源は(ちゃんとした/一般的な)CD並の音量にできる
- CD並の音量にするには、Audials側、Spotify側双方の設定が重要
- Audials側のデフォルト設定では、録音音量がCD並にならない(数dB~10dB弱の程度の音量差が生じ得る)
CD並の音量にするためには、次の2つの設定操作が両方必要となります。
- Spotify側で「
音量の均一・すべての曲を同じ音量で再生する
」をOFF - Audials側で録音ファイル形式をFLAC(Free Lossless Audio Codec)に変更、あるいはデフォルト設定(mp3)のまま「
オーディオの標準化
」のみOFF
このように、デフォルト設定でCD並の音量にならないのが少々面倒なところではありますが、
設定変更はそれほど難しくありません。
それでCD並の音量が得られるわけですから、実用上はそれほど大きな問題にはならないかと思います。
今回の記事が
- Audials Oneで本当にちゃんとした録音ができるのか気になっている
- Audials One 2020で録音すると何となく音量が小さくて困っている
- Audials Oneでどの項目をどのように設定すればよいかがわからない
といった方のご参考になれば幸いです。