Windowsのラウドネス等化機能の音量均一化性能を測定してみた結果
(写真はイメージです)
今回は、様々な音楽を混ぜこぜで聴く場合などに重宝する「Windowsのラウドネス等化機能」の効果を実測確認してみた結果をお伝えします。
ズバリ、こんな方に特におススメの内容です。
- Windowsのラウドネス等化機能の効果を知りたい
- 元来音量がばらばらな曲を均一音量で再生したい
- 音楽ファイルはそのまま音量均一再生したい
今回、測定してみたところ、以下の結論を得られました。
- ラウドネス等化機能によって、大音量のJ-POPから小音量のクラシックまで、ほぼほぼ均一な音量で聴ける
- 今回の測定結果では、ラウドネス等化機能によって、10dB以上の音量差を数dB程度にまで縮められることを確認
確認された音量差をグラフで示すと次の通りとなります。
- 横軸:音源No.(3種類の音源(アルバム)に対応)
- 縦軸:平均音量[dB]
このグラフから、
各音源間で10dB以上の音量差のある元音源(青棒)が、ラウドネス等化機能によって数dB程度の小さな音量差(橙・灰棒)で再生できている
ことがわかります。
音量均一化(再生)というと、ファイルに音量情報を書き込むリプレイゲインの使用がよく挙げられますが、
それとは異なり、このラウドネス等化機能には
ファイルを一切いじらなくて良い
というメリットがあります。
もっとも、リプレイゲインにはないと思われるデメリットとして、
音量起伏の大きな楽曲音源の場合、均一化によって(曲中の音量起伏状態が変化させられるので)逆に違和感が生じることもある
といった点もありますが、
個人的には、こうしたデメリットよりもメリットの方が大きく、実用上効率的な音量均一化(再生)手段だと思います。
使用PC環境によっては、使えないこともありそうですが・・・
それでは以下、詳しくみていきましょう!
1.測定方法と条件
説明事項が多岐に渡りますので、順を追って説明していきます。
1-1.基本方針
基本方針(手順)は以下の通りです。
- 音量の異なる音源を再生したものを録音(ラウドネス等化機能設定条件を変えながら)
- 録音した音源それぞれについて平均音量算出
- ラウドネス等化機能設定条件の変化に対して平均音量がどう変化するかをみることで、ラウドネス等化機能の効果を確認
1-2.録音対象
録音対象としたのは以下の音源(アルバム)で、それぞれ冒頭4トラックを連続再生したものを録音しました。
- Best Liszt 100 (CD1)
- THE WHO/Join Together(Disc2)
- Perfume/⊿
1番上が最も音量が小さい(クラシック)音源、1番下が最も音量が大きい(J-POP)音源となっています。
1-3.ラウドネス等化機能設定条件
今回測定に使用したPCでは「Release Time」なる設定項目がありましたので、以下2条件で測定実施しました。
- 有効(Release Time:Short)
- 有効(Release Time:Long)
Release Timeの設定ができるかどうかは、使用PC環境次第と思われます。
同じWindows10のPCでも、Release Timeの項目が表れないものもありました。
詳細な仕様は不明ですが、測定前から明らかにこの設定次第で聴感に違いがありましたので、今回測定の条件要素の一つに加えました。
1-4.録音方法と使用機材
録音は、
「PC再生音を外部出力(オーディオインターフェース経由)したものを、ICレコーダーのライン入力で録音」
という形で行いました。
使用した機材、設定は以下の通りです。
- ICレコーダー:ICD-SX67(録音レベル12,マニュアルモード)
- オーディオインターフェース:UMC204HD
ICレコーダーの録音レベルについてですが、
本来、元音源との比較をする上では、元音源と同じレベルの音量が得られる設定が望ましいです。
具体的には、元音源をそのまま再生録音したときに、元音源と同じ音量になるような・・・
が、今回のようなアナログ的録音では特にそうした調整が難しいため、ここは決め打ちで設定しました。
本設定で録音した結果、録音音量瞬時値がピーク(0dB)を超えていないことがわかりましたので、少なくとも今回検証に必要な「録音音源同士の音量比較」は十分行えるものと考えます。
2.測定結果
3つの音源について、元音源、録音音源(ラウドネス等化機能有効の2条件)それぞれの音量比較結果のグラフを示します。
- 横軸:音源No.(3種類の音源(アルバム)に対応)
- 縦軸:平均音量[dB]
1-4の終わりの方で述べた事情から、元音源と録音音源の、直接的な音量比較はできませんが、上のグラフから、次のようなことがわかります。
- 各音源(N0.1-3)間で10dB以上の音量差のある元音源(青棒)が、ラウドネス等化機能によって数dB程度の小さな音量差(橙・灰棒)で再生できている
- Release Timeの設定をLongよりもShortにした方が平均音量は上がる傾向
音源No.1は元音源の音量が最も小さいクラシック音源(Best Liszt 100 (CD1))、
音源No.3は元音源の音量が最も大きいJ-POP音源(Perfume/⊿)ですが、
ラウドネス等化機能を有効にすることで、どちらもほぼ同じような音量で再生できていることがわかります(棒グラフの色でいえば、青が橙や灰になることに対応)。
「ほぼ同じような音量」と言いましたが、ラウドネス等化機能有効でも依然として残る、この数dBの音量差が問題になるかどうか。
これは音量だけの問題ではなく、音楽の中身(演奏内容やジャンルなど)や周波数特性などにも依存するので、一概にはいえません。
今回の例でいえば、やや音源No.1(クラシック)においてしばしば現れるピアノ単独の部分などの音量がやや大きく感じました。
「音量均一」といっても、「異なる楽器数の音が同一の音量」というのは、それはそれで不自然なため、そのように感じてしまうのだと思います。
また、これは上のグラフでは示せず、聴感上の話になりますが、今回確認してみた限りでは一般的に言って、ラウドネス等化機能有効時、
元音源の音量が非常に小さい場合は、元の音量よりも大きく、
元音源の音量が非常に大きい場合は、元の音量より小さく再生される傾向にあります。
ですので、ラウドネス等化機能によって、極端に大音量側、極端に小音量側に寄ったりすることはなく、
ちょうどよい音量設定(通常ボリューム調整の範囲内)で音楽を再生することができます。
ありがたや、ありがたや・・・
3.最後に
以上、「Windowsのラウドネス等化機能」の効果を実測確認してみた結果についてお伝えしてきました。
今回確認できた結論を再掲します。
- ラウドネス等化機能によって、大音量のJ-POPから小音量のクラシックまで、ほぼほぼ均一な音量で聴ける
- 今回の測定結果では、ラウドネス等化機能によって、10dB以上の音量差を数dB程度にまで縮められることを確認
音量の小さなクラシックと、音量の大きなJ-POPを混ぜこぜに聴くシチュエーションはそうそうないのかもしれませんが、
複数アルバムを立て続け、あるいはシャッフル状態で聴く場合、各曲の音量をある程度均一にしてくれるこの「ラウドネス等化機能」はかなり重宝すると思います。
こうしたメリットの一方、本来あるべき音量差が引っ込んでしまう(ことがある)というデメリットもありますが、
個人的には、少なくとも流し聴きレベルならあまり気にならないことも多いと感じています。
逆に、そうしたデメリットが気になるぐらい集中して聴ける状態であれば、
「ラウドネス等化機能」を使わずに音量を都度調整する余裕もあるでしょう。
ですので、実用上は必要に応じて「ラウドネス等化機能」をONしたりOFFしたりしていけば事足りるかと思います。
というわけで、今回の記事が、
- Windowsのラウドネス等化機能の効果を知りたい
- 元来音量がばらばらな曲を均一音量で再生したい
- 音楽ファイルはそのまま音量均一再生したい
といった方のご参考になれば幸いです。