Audiostock、Frekul、BIG UP!~自分の音楽を無料でストア配信できるサービスの選び方~

今回は、無料自分の曲配信できる音楽配信仲介(ディストリビューション)サービスとして使える

  • Frekul
  • BIG UP!(無料プラン)
  • Audiostock(アルバム配信)

3つについて比較し、その選び方及び注意点についてお伝えしていきます。

ズバリ、こんな方に特におススメの内容です。

  • FrekulBIG UP!Audiostock利用を検討している
  • 音楽配信仲介(ディストリビューション)サービス探している
  • 元手をかけず(無料で)自分の曲ストアへ配信したい思っている

自分の音楽各ストア(Spotify、Amazon Music、Apple Musicなど)に配信できるサービス

  • 音楽ディストリビューションサービス
  • 音楽配信仲介サービス
  • 音楽配信代行サービス

などと呼んだりします。

こうしたサービスを使えば、簡単に数多くのストアへ自分の音楽を配信することができますし、

現在では冒頭で挙げたような、元手のかからない(無料の)サービスも複数あります

複数あれば、十分自分に合ったものを選んでいけそうですが、逆に

どれを使ったらよいのか?

わからない方も多くいらっしゃるかと思います。

最初に私の独断(経験と調査に基づく)による結論を申し上げますと、

  • 初めて使用する、あるいは迷ったらBIG UP!(無料プラン)がおススメ
  • 充実したサポートを期待する、あるいは人工音声(ボカロ含む)系メインで考えているならFrekulおススメ
  • Audiostockを普段使っているのであれば、Audiostockもアリ

といったところになります。

BIG UP!をおススメするのは、主に以下の理由からです。

  • 配信条件細かく指定できる
  • 元データとしてwavファイル(非圧縮データ)を提出できる

ただ、実際はもう少し事情は複雑ですので、これら以外の観点も一通りはチェックしておく必要があると思います。

人によっては上記以外でもっと重要な点があるかもしれません。

というわけで、以下、順を追って詳細を説明していきます。

1.各サービス比較~基本編~

各サービス、様々な特徴がありますが、最も基本的なところから比べていきます。

以下に各観点の比較表を示します(下表、横にはみ出ている場合は横スクロールできます)。

音楽配信仲介(ディストリビューション)サービス基本スペック比較
サービス名 Frekul BIG UP! Audiostock
提出データフォーマット mp3(320kbps)必須(16bit/44.1kHz推奨) wav(16bit/44.1kHz)推奨 wav(16bit/44.1kHzまたは24bit/48kHz)必須
複数アーティスト登録 ×
人工音声(ボカロ、その他)曲配信 ×
ストアへの修正依頼(アーティスト名是正) ×
ストアへの修正依頼(アーティストページ分離) ×
ストアへの修正依頼(アーティストページ統合) × ×

1-1.提出データフォーマット

CD相当の16bit/44.1kHzのwavファイル(非圧縮音源)が提出可能なBIG UP!Audiostockであればまず問題はないでしょう。

一方、Frekulは320kbpsのmp3(不可逆圧縮音源)のみ提出可能ということで、ややスペックが落ちます。

もっとも、多くのストアでは圧縮音源の配信になるので、実質的にはmp3でもそこまで問題にはならないのかもしれませんが、

提出データからさらに加工される可能性もありますので、最初から圧縮加工した音源を提出するよりは、非圧縮音源を提出しておいた方が、

加工による音質劣化のリスクを減らせるかと思います。

1-2.複数アーティスト登録

FrekulBIG UP!であれば可能です。

Audiostockではこれについての言及がなく、ページ設計上も選択できるようにはなっていないようです。

ですので、Audiostockではまず不可能と考えておいた方がよいでしょう。

1-3.配信できる曲のタイプ

演奏のみ(インストゥルメンタル)の自作曲であれば3ついずれのサービスでも問題ありません

歌モノ(ボーカル要素の入っている楽曲)の場合、Audiostockでは人工音声(ボカロ、その他)曲を一切配信できません

BIG UP!Frekulでは人工音声曲配信可能ですが、BIG UP!でボカロ曲を配信する場合、

  • 使用できるVOCALOID(ボカロ音源)に制限あり
  • ストアではアーティスト名がボカロ名になる

といった制約(仕様)があります。

これに対してFrekulではこうした制約(仕様)はみられないので、人工音声側の規約の範囲内で最も自由に配信できます

1-4.ストアへの修正依頼

自分の音楽が実際に配信されたとき、次のような問題が発生することがあります。

  • アーティスト名誤表記
  • 他アーティストと間違えられている
  • アーティストページが分かれている

こうした問題については、ストアへ修正依頼をかける必要があるのですが、個人が直接ストアに連絡するわけにもいきません。

ですので、各サービス(Frekulなど、そのときに使ったサービス)へ問い合わせ、個人→各サービス→ストアのルートで修正をお願いする必要があります。

Frekulではこうした問題について、以下公式ページにおいて言及があり、上記3つの問題全て対応してもらえる見込み高いと思われます。

BIG UP!でも、「アーティスト名誤表記」、「他アーティストと間違えられている」問題については、以下公式ページ(アーティスト登録のカテゴリー内)において言及があり、一定の範囲で対応してもらえる見込みはあると考えられます。

しかし、「アーティストページが分かれている」問題については言及がなく、実際私が過去にそうした事態に見舞われたときに問い合わせしても、取り合ってもらえなかったので、対応してもらえる見込みがほとんどないと思われます。

なお、Audiostockについてはこれら3つの問題全てに関して公式ページ内で言及しているところが見当たらず、こうした問題に対応してもらえるのかどうかは不透明な状況と読み取れます。

そのため、上の表では本項目に関して×としています。

2.各サービス比較~詳細編~

続いてもう少し細かい点で比較してみましょう(下表、横にはみ出ている場合は横スクロールできます)。

音楽配信仲介(ディストリビューション)サービス詳細スペック比較
サービス名 Frekul BIG UP! Audiostock
配信ストア選択 × ×
リリース日指定 × ×
試聴開始位置設定 ×
価格設定(選択) ×

上の表からわかるように、BIG UP!最も自由に設定できるサービスといえます。

Audiostockはこれらのうち試聴開始位置設定価格設定(選択)のみ可能です。

Frekulはこれらいずれも選択/設定不可となります。

2-1.配信ストア選択

ダウンロード、ストリーミング含め、数多くのストアがあり、基本的には配信できるストア全部に配信しておけばよいのでは、と個人的には思います。

が、人によっては「ここには配信したくない」ということもあるでしょう。

例えば、Youtube Musicに配信すると、YoutubeやYoutube Musicで無料視聴できるので(少なくともFrekulやBIG UP!(無料プラン)で配信するとそのような状態になる)、そうした事態を避けたい人もいるかもしれません。

そうした場合、Youtube MusicやYoutubeを配信先から外すのがよいですが、そうしたことができるのはBIG UP!のみです。

なお、BIG UP!では配信した後、配信していなかったストアを配信先追加することもできますので、例えば上の例の続きでいえば、配信後に気が変わって

「Youtube Musicに配信していなかったが、より多くの人に聴いてもらうため、Youtube Musicにも配信しよう」

と思った場合にも、Youtube Musicへの配信を後から開始することができます。

2-2.リリース日指定

これができると、

「〇月〇日、新曲リリースします!」

と宣言できますので、リリース前の宣伝がしやすくなります。

こうしたことができるのはBIG UP!のみです。

もっとも、何かの都合でリリース(配信)が遅れる可能性もゼロではないのでその点は注意が必要です。

そのあたりは以下BIG UP!公式ページ内(「配信事業者について」の項目)でも言及があります。

ですので、そうした事態も想定して誠実に宣伝したいのであれば「予定通りいけば」と前置きするなどして告知することをおススメします。

2-3.試聴開始位置設定

無料フル再生できないストアにおいて用意されている短時間試聴機能に関する設定です。

初めて聴く曲については、どこから聴き始めるかによって、その曲の第一印象が変わってきますので、こうした設定にはこだわりたいところです。

BIG UP!Audiostockは設定可能ですが、Frekulでは設定できません(おまかせ状態となります)。

2-4.価格設定(選択)

ダウンロード系ストアにおける購入価格を設定します。

最近では、音楽を購入するケース自体が少なくなってきているように感じますが、ダウンロード系ストアにも配信する以上、ここもこだわりたいところです。

BIG UP!Audiostock双方でアルバム単位、楽曲単位それぞれの価格設定が可能です。

「設定」といっても、全く自由に決められるわけではなく、自動生成されたいくつかの価格パターンから選択する形になります。

なお、Frekulではこうした選択設定ができず、おまかせ状態となります。

3.各サービスの選び方と注意点

ここまでで、一通り各音楽配信仲介(ディストリビューション)サービスの特徴をざっと比較確認してきましたが、結局どのように選んでいけばよいのでしょうか?

私自身の経験と調査結果から、選び方については次のようなことがいえるかと思います。

  • 初めて使用する、あるいは迷ったらBIG UP!(無料プラン)がおススメ
  • 充実したサポートを期待する、あるいは人工音声(ボカロ含む)系メインで考えているならFrekulおススメ
  • Audiostockを普段使っているのであれば、Audiostockもアリ

上記結論に達した理由は以下の通りです。

  • BIG UP!なら、設定項目が豊富で、CDフォーマット相当のwav提出も可能なことから、一通り満足な配信できる見込みが高い
  • Frekulなら、配信先(ストア)でのアーティストページに問題が生じたとき、ストア修正依頼によって対応してもらえる範囲広いと思われる
  • BIG UP!でボカロ曲を配信する場合、BIG UP!で認められたVOCALOID(ボカロ音源)しか使用できず、また配信先(ストア)でアーティスト名がボカロ名になる
  • Frekulでは人工音声曲を配信する際、BIG UP!ほどの制約はなく、音源側で定められた規約範囲内で自由に配信できる
  • Audiostockは24bit/48kHzのwav対応可能な点が優れており、既にライセンス販売などでAudiostockを使っているのであれば、利用サービスを集約できて管理が楽になるメリットがある

次に主な注意点です。

  • 複数のサービス使うと「ストアにおける自分のアーティストページ」がばらける恐れがある
  • 同じアルバム同じストア配信することはできない

2つ目の注意点について補足します。

2-1などでもお伝えした通り、BIG UP!では配信したいストア(配信先)を選べるので、

既にBIG UP!以外のサービスを利用してアルバムなどを配信している人の中には、

「他のサービスで配信されていないストア限定でBIG UP!から配信しよう」

と考える人もいると思います。

が、

各サービスとも、配信先は必ずしも固定的ではなく、追加になったりする可能性があります。

ですので、BIG UP!から配信した配信先(ストア)が後日、他のサービスの方でも配信先として追加され、他のサービスからその配信先(ストア)へ自動的に配信されてしまうことも考えられます。

そうなると、その配信先(ストア)で「同じアルバムが配信される」事態になります。

そうした状況を避けるには、

「同じアルバムを異なるサービスから配信しない」

ことが必要です。

なお、各サービスを使うにあたっては、他にも様々な注意がありますので、各サービスの公式ページで規約などの十分な確認が必要です。

4.最後に

以上、無料自分の曲配信できる音楽配信仲介(ディストリビューション)サービスとして使える

  • Frekul
  • BIG UP!(無料プラン)
  • Audiostock(アルバム配信)

3つについて比較し、その選び方及び注意点についてお伝えしてきました。

ここでもう一度内容をまとめます。

まずこれら3つのサービスを各項目で比較した表を一つにまとめて再掲します(下表、横にはみ出ている場合は横スクロールできます)。

音楽配信仲介(ディストリビューション)サービススペック比較
サービス名 Frekul BIG UP! Audiostock
提出データフォーマット mp3(320kbps)必須(16bit/44.1kHz推奨) wav(16bit/44.1kHz)推奨 wav(16bit/44.1kHzまたは24bit/48kHz)必須
複数アーティスト登録 ×
人工音声(ボカロ)曲配信 ×
ストア修正(アーティスト名是正) ×
ストア修正(アーティストページ分離) ×
ストア修正(アーティストページ統合) × ×
配信ストア選択 × ×
リリース日指定 × ×
試聴開始位置設定 ×
価格設定(選択) ×

次に、これらの比較結果も踏まえての選び方(結論)を再掲します。

  • 初めて使用する、あるいは迷ったらBIG UP!(無料プラン)がおススメ
  • 充実したサポートを期待する、あるいは人工音声(ボカロ含む)系メインで考えているならFrekulおススメ
  • Audiostockを普段使っているのであれば、Audiostockもアリ

その理由は主として以下の通りです。

  • BIG UP!なら、設定項目が豊富で、CDフォーマット相当のwav提出も可能なことから、一通り満足な配信できる見込みが高い
  • Frekulなら、配信先(ストア)でのアーティストページに問題が生じたとき、ストア修正依頼によって対応してもらえる範囲広いと思われる
  • BIG UP!でボカロ曲を配信する場合、BIG UP!で認められたVOCALOID(ボカロ音源)しか使用できず、また配信先(ストア)でアーティスト名がボカロ名になる
  • Frekulでは人工音声曲を配信する際、BIG UP!ほどの制約はなく、音源側で定められた規約範囲内で自由に配信できる
  • Audiostockは24bit/48kHzのwav対応可能な点が優れており、既にライセンス販売などでAudiostockを使っているのであれば、利用サービスを集約できて管理が楽になるメリットがある

今回の記事が、

  • FrekulBIG UP!Audiostock利用を検討している
  • 音楽配信仲介(ディストリビューション)サービス探している
  • 元手をかけず(無料で)自分の曲ストアへ配信したい思っている

といった方の参考になれば幸いです。