ピアノ打ち込みでペダルっぽい雰囲気を出すときの方法
今回はDTMにおけるピアノ打ち込みでペダルっぽい雰囲気を出す(音処理を行う)際に使える方法をお伝えします。
ズバリ、こんな方に特におススメの内容です。
- ピアノ打ち込みでペダルを使ったような雰囲気を出したい
- ピアノペダルのような残響音の取り扱いに迷っている
先に今回の話の概要(流れ)をお伝えしておきますと
- ペダルっぽい雰囲気を出すには空間系エフェクトをかける
- しかし、そのままだと残響成分によってコードチェンジ部で音が汚くなることもある
- そのような場合、コードチェンジ部の残響成分をオートメーションで可変に調整する
といったところです。
それでは以下、詳しくみていきましょう(上記番号と下記目次番号とは必ずしも一致しません)。
1.初めの一手と課題
ピアノ打ち込みでペダルっぽい雰囲気を出すには、リバーブやディレイといった空間系エフェクトを加えるのが簡単です。
ピアノ音源によっては、既にそうしたプリセット(設定つまみなどをいじらなくても、選ぶだけで音作りが完成する)が用意されていることもあります。
これだけで済む場合もありますが、次のような課題が出ることもあります。
- コードチェンジ部で、前のコードの残響成分が次のコードにかぶってしまう
単純に残響成分量を減らすなどして解決することもありますが、次のような場合、もう一工夫必要になってきます。
- 短いサイクルでコードチェンジする(が残響成分は多めにしたい)
- コードチェンジ頻度が箇所によって変わる
2つ目の例としては
「ある部分では1小節ごとだったのが、別の部分では半小節ごとになっていたりする」
といったケースが挙げられます。
これらの場合には、空間系エフェクトのパラメータを曲中で変えていく、オートメーションによる対策が有望です。
2.オートメーションによる対策
(写真はイメージです)
大まかには以下2つの方法が挙げられます。
- 成分量を増減
- オンオフを切り替え
各方法のメリット、デメリットは以下の通りです。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
成分量を増減 | 細かな調整ができる | 調整プロセスが複雑になりやすい |
オンオフを切り替え | シンプルな調整ができる | 細かな調整ができない |
以下、これら2方法について少し詳しく述べていきます。
2-1.成分量を増減
大まかには次のような方針でオートメーション設定すると良いでしょう。
- 次のコードに移るときに前のコードの残響成分が大きく残らないよう、前のコードの後半~終盤にかけて、残響成分量を徐々に減らしていく
- 再び残響成分を与えるため、次のコードに移ってから残響成分を徐々に増やしていく
対応するパラメータ(名称)は、適用するエフェクトによって異なりますが、残響成分量を増減できるパラメータが何かしらあるはずですから、それを見つけて調整しろにします。
なお「徐々に」といっても、その変化パターンには様々なものが考えられます。基本的なパターン例としては
- 直線的
- 放物線的
- 指数関数的
といったものが挙げられますが、もっと複雑に
「前半は直線的、後半は放物線的」
としたりすることもできるでしょう。
曲調や他楽器との兼ね合いなど、その時々で条件は様々ですから、色々試して最適解を模索していくのが良いかと思います。
2-2.オンオフを切り替え
エフェクト自体のオンオフを切り替える場合も、2-1と似たような考え方でアプローチできます。
オンオフだけなので、調整要素は「切り替えタイミング」ぐらいとなり、その分シンプルに調整できることが期待できます。
が、オンオフという「不連続な2状態」を扱う以上、
切り替えタイミングによっては、変化があからさまになって、違和感が強く出ることもあるので注意が必要です。
切り替えタイミングの調整だけでうまくいかない場合は、2-1で示したアプローチを試してみるのが良いでしょう。
3.最後に
以上、DTMにおけるピアノ打ち込みでペダルっぽい雰囲気を出す(音処理を行う)際に使える方法についてお伝えしてきました。
最後に要点をもう一度整理します。
まず、ペダルっぽい雰囲気を出すには、
空間系エフェクトをかける
のが良いのですが、
次のような場合、
- 短いサイクルでコードチェンジする(が残響成分は多めにしたい)
- コードチェンジ頻度が箇所によって変わる
コードチェンジ前後において、空間系エフェクトのパラメータを曲中で変えていく(オートメーションを使用する)のが有望です。
変え方は次の2つ。
- 成分量を増減
- オンオフを切り替え
個人的には1つ目の「成分量を増減」の方が、柔軟に調整できる分、より自然な仕上がりが期待できるかと思います。
ただ、調整自由度が高い分、面倒に感じることもあると思います。
そのような場合は2つ目の「オンオフを切り替え」を試してみるのも良いと思います。
DTMにおける他の多くの作業同様、ちょっとしたところで工夫(調整)が必要になったりするのが、何とも悩ましく、奥深いところですね。
今回の記事が
- ピアノ打ち込みでペダルを使ったような雰囲気を出したい
- ピアノペダルのような残響音の取り扱いに迷っている
といった方のご参考になれば幸いです。