「CeVIO Pro (仮)」を使ってみた感想

(写真はイメージです)

今回は無料商用利用可能歌声合成ツールとして使える「CeVIO Pro (仮)」(+デフォルト音源「知声」)を実際に使ってみた感想をお伝えします。

ズバリ、歌声合成(音声合成)系ツールとして使えるソフト、音源(歌声ライブラリ)に関して

  • 商用利用できるのはどのソフト音源なのか?
  • とにかく自由に商用利用したいんだけど・・・

といった疑問、希望をお持ちの方に特におススメの内容です。

最初に結論をお伝えしておきますと、まずメリットとして

  • 無料事前連絡等なしでデフォルト分が商用利用可能(楽曲音源リリース用途)
  • 英語歌詞入力可能
  • 発音調整可能
  • 操作簡単

が挙げられ、

デメリットとして

  • 英語の歌詞を入力しても英語の発音にはなりにくい
  • 無料商用利用可能音源少ない

が挙げられます。

デフォルト音源としては「知声」というクールな女声音源が使えるのですが、

逆にこれしか使えないため、男声を使いたいといった方にとっては、そこがネックに感じられるかと思います。

しかし、無料で商用利用可能(規約の範囲内)というのは大きなメリットですし、

編集作業簡単にできるので、

「自分では歌わないが、歌モノ音源を作ってサブスク配信したい」

という希望をお持ちの方にとっては、非常に有力なツールになり得ると思います。

それでは以下、詳しくみていきましょう!

1.メリット

冒頭でも挙げましたが、以下4点が挙げられます。

  • 無料事前連絡等なしでデフォルト分が商用利用可能(楽曲音源リリース用途)
  • 英語歌詞入力可能
  • 発音調整可能
  • 操作簡単

以下、それぞれ少し詳しく説明していきます。

1-1.無料&事前連絡等なしでデフォルト分が商用利用可能(楽曲音源リリース用途)

商用利用可能といっても、規約の範囲内にはなります。

規約については以下公式ページ内PDFファイルで確認できます。

この規約の記載内容からいえば、

このソフト&デフォルト音源を使って、ボーカルトラックを作成、それを自作のバッキングトラックとミックスさせて、一つの歌モノ音源を作って配信・・・

といった用途であれば、無料事前連絡等なし利用可能だと判断できます。

事前連絡等なしで商用利用可能という点だけでもありがたいところ、

無料で利用できるというのは素晴らしいですね。

1-2.英語の歌詞も入力可能

英語の歌詞を歌わせたいという人もいらっしゃるかと思います。

日本語のみの対応だと「英語の音を日本語の音に置き換えて入力」といった作業が必要ですが、

このソフト&デフォルト音源では英語のまま入力したものを歌ってくれます

ただし、後述するように発音には少々難があります。

1-3.発音調整も可能

「歌詞を入れて歌わせてみたけれど、どうもしっくりこない・・・」

そんなことも往々にしてあります。

そのような場合には「音素」を編集することで発音調整可能です。

「音素」というのは、発音を分解的に文字表記したもので、例えば「らい」という発音なら、音素は「r,a,i」となります。

基本的には、歌詞を入力していくとそれに対応した自動的に音素が入力され、その音素によって歌声としての発音が決まる、という処理流れになっています。

しかし、そのままだと

  • 「どうもしっくりこない」
  • 「意図した発音にならない」

といったこともあります(自分の表現意図とのギャップ)。

そのような場合は、この音素を直接編集して、意図した発音にする、あるいはそれに近づけていくことができます。

なお、この音素と歌詞は、制作画面上で併記されているので、

「どの歌詞がどのような発音になるのか」が一目でわかります。

1-4.操作が簡単

こちらは特に「NEUTRINO」という別の歌声合成ツールと比較して強く感じた点です。

「NEUTRINO」の場合、メロディ入力から歌声音源出力までの手順は

  1. メロディと歌詞を入力した楽譜データ(MusicXML)を作成
  2. 処理用のバッチファイルをテキストエディタで編集し、上記データ及び使用歌声音源などを指定
  3. 上記バッチファイルを実行して音源出力(wav形式ファイル)

といったように、やや複雑でマニアックな感があるのですが、

この「CeVIO Pro (仮)」の場合は、通常のソフトと同じようにアプリ画面を立ち上げて操作していくスタイルで、手順としては

  1. ソフト起動
  2. メロディ打ち込み
  3. 歌詞入力(割り当て)
  4. (必要に応じて)音素編集
  5. 上記編集結果を音源出力(wav形式ファイル)

といった具合に、一つのソフトメロディ打ち込みから音源出力まで可能なので、簡単使いやすいです。

また、「CeVIO Pro (仮)」では、編集した歌声を音源出力する前に、ソフト上で再生して「どのような歌声になるか」を事前に確認できるので、

作業のやり直し回数少なくなります(確認回数は減らないかもしれませんが)。

対して、先に話を出した別の歌声合成ツール「NEUTRINO」の場合、

「どのような歌声になるか」は、音源出力してみてからしかわからないので、作業のやり直し回数も多くなります。

こうした点を踏まえても、「CeVIO Pro (仮)」は使いやすいです。

2.デメリット

冒頭でも挙げましたが、以下2点が挙げられます。

  • 英語の歌詞を入力しても英語の発音にはなりにくい
  • 無料商用利用可能音源少ない

以下、それぞれ少し詳しく説明していきます。

2-1.英語入力しても英語の発音にはなりにくい

これは、音源の問題かもしれません。

上の1-2で述べた通り、歌詞自体は英語入力可能ですが、英語を入力しても発音が日本語っぽい・・・

ことが多いです。

発音に影響する「音素」の並びをみると、確かに英語の発音にしては妙に日本語チック・・・

そんなことが多いです(元々日本語と差のない発音であればそれほど違和感はありませんが)。

日本語っぽくなった英語の歌詞を英語っぽくさせるには、英語の発音に近づけるように音素編集していく必要があります。

2-2.無料商用利用可能な音源が少ない

CeVIO Pro (仮)」本体とデフォルト音源知声」は無料商用利用可能(自作楽曲音源リリース)ですが、他の音源は対象外になっています。

同じく無料商用利用可能な別の歌声合成ツール「NEUTRINO」は、「MERROW」(女声)と「NAKUMO」(男声)という2つの音源についても無料商用利用可能なので、これに比べると少ない印象です。

特に、男声ボーカルの曲を作りたい人にとっては、この点がネックに感じられるかと思います。

3.導入方法

「使ってみた感想」とはあまり関係ありませんが、ここで導入方法について簡単に紹介しておきます。

既にお伝えしている通り、「CeVIO Pro (仮)」自体は無料利用可能ですが、単純に

「公式サイトからダウンロードしてインストールすればOK」とはならず、

大まかには以下の手順を踏む必要があります。

  1. アカウント作成
  2. ログインしてソフトをダウンロード
  3. ソフトインストール
  4. ソフト起動&認証
  5. デフォルト音源をソフトからダウンロード

最初のアカウント作成にはメールアドレスが必要です。

また、デフォルト音源「知声」は、デフォルトといいながら、ソフトから別途ダウンロードが必要ですので、その点ご注意を・・・

4.最後に

以上、無料商用利用可能歌声合成ツールとして使える「CeVIO Pro (仮)」(+デフォルト音源「知声」)を実際に使ってみた感想をお伝えしてきました。

ここでもう一度要点をまとめます。

まずこのソフトのメリットとして以下4点

  • 無料事前連絡等なしでデフォルト分が商用利用可能(楽曲音源リリース用途)
  • 英語歌詞入力可能
  • 発音調整可能
  • 操作簡単

デメリットとしては以下2点

  • 英語の歌詞を入力しても英語の発音にはなりにくい
  • 無料商用利用可能音源少ない

デフォルト音源としては「知声」というクールな女声音源が使えるのですが、

逆にこれしか使えないため、男声を使いたいといった方にとっては、そこがネックに感じられるかと思います。

しかし、無料商用利用可能(規約の範囲内)というのは大きなメリットですし、

編集作業簡単にできるので、

「自分では歌わないが、歌モノ音源を作ってサブスク配信したい」

などといった希望をお持ちの方にとっては、非常に有力なツールになり得ると思います。

今回の記事が、

歌声合成(音声合成)系ツールとして使えるソフト、音源(歌声ライブラリ)に関して

  • 商用利用できるのはどのソフト音源なのか?
  • とにかく自由に商用利用したいんだけど・・・

といった疑問、希望をお持ちの方のご参考になれば幸いです。