DTM音量基準参考用にJ-Pop音源の音量を調べてみた
(写真はイメージです)
今回は、1991~2020年のJ-Pop(Rock)の曲中平均音量を調べてみた結果をお伝えします。
ズバリ、DTM(楽曲制作)を行っている、次のような方に特におススメの内容です。
- 自分の曲の音量が小さく感じる
- 自分の曲の音量をどれぐらいにすればよいかわからない
ひとくちにJ-Pop(Rock)といっても、世の中には様々なジャンルの様々なアーティストの楽曲音源がありますが、
今回はバンド系サウンドを中心にエレクトロ系サウンドも調査対象に含めることとして、以下の表に示す範囲で調査を行いました。
アーティスト名 | メインのサウンドタイプ | 楽曲音源数 | 楽曲リリース年代 |
---|---|---|---|
the pillows | バンド系 | 305 | 1991~2018年 |
Mr.Children | バンド系 | 337 | 1992~2020年 |
JUDY AND MARY | バンド系 | 68 | 1994~2001年 |
MOSHIMO | バンド系 | 51 | 2016~2020年 |
羊文学 | バンド系 | 45 | 2017~2020年 |
Perfume | エレクトロ系 | 108 | 2006~2018年 |
最初にざっとした結論をお伝えしておきます。
まず、音量調査してみた結果の概要ですが、大まかな傾向として
- 2005年以降は-10dB前後が主流
- 1990年代序盤は-10dB台後半が主流
といったことがいえそうです。
これらの傾向を踏まえると、音量調整目標としては
現代レベルにしたいなら-10dB前後、厳しそうであれば-10dB台後半以上を狙うようにすると、まずはよさそうです(ジャンルや音の内容(周波数特性、楽器数など)にもよりますが、一通りの目安として)。
なお、私の体感上、音量を現代レベル(-10dB前後)にまで上げる場合には、Ozone 9というマスタリング系ソフトが重宝します。
私も楽曲制作時、常々お世話になっています(私が使っているエディションはAdvanced)。
ただし、そもそも音量よりも音楽そのもの(音の内容)が大切ですから、その点は見失わないようにしたいものです。
それでは以下、詳しくみていきましょう!
1.概要
(写真はイメージです)
ここでは、調査方法、結果の全体的傾向、音量調整目標の定め方について説明します。
1-1.調査方法
冒頭でもお伝えしましたが、今回は以下の表に示す範囲を調査対象としました。
アーティスト名 | メインのサウンドタイプ | 楽曲音源数 | 楽曲リリース年代 |
---|---|---|---|
the pillows | バンド系 | 305 | 1991~2018年 |
Mr.Children | バンド系 | 337 | 1992~2020年 |
JUDY AND MARY | バンド系 | 68 | 1994~2001年 |
MOSHIMO | バンド系 | 51 | 2016~2020年 |
羊文学 | バンド系 | 45 | 2017~2020年 |
Perfume | エレクトロ系 | 108 | 2006~2018年 |
上表の条件を満たす、私の手元にある音源をwav化し、それに対して曲中の平均音量をdB単位で算出する形で調査を進めていきました。
なお、調査対象の楽曲音源については、細かく言うと以下のような事情がありますが、本調査の目的を妨げるものではないと考えます。
- 必ずしもすべての楽曲音源を調査したわけではない
- 一部シングルに含まれるカラオケトラックも含まれる
- 一部重複する楽曲あり(シングル、アルバム、ベストアルバムを含めているため)
1-2.結果の全体的傾向
以下に、各アーティストの、各年の楽曲音量を平均した値をプロットしたグラフを示します。
上記グラフから、次のことがいえます。
- 総じて年代の経過とともに音量は上がる傾向
- 1991~2000年にかけては特に音量増加率が高く、2000年以降少し落ち着く(-12dB前後)
- 2005年以降緩やかに音量増加
なお、楽曲ごとのばらつきもそれなりにあるので、以下に各アーティストの楽曲音量の値を個別にプロットしたグラフを示します。
1つ目に示した、楽曲間平均した値をプロットしたグラフに比べると、点間の音量差が大きい印象ですが、
全体的には、1つ目のグラフと同じく、年の経過とともに音量が上がっていく傾向がみられます。
1-3.結果からいえる音量調整目標の定め方
上の1-2で確認できた結果を踏まえると、制作楽曲(オーソドックスなバンド・エレクトロサウンド系の歌モノやインストモノ)の音量調整目標の定め方として以下3つのことがいえます。
- 現代レベルにしたい場合は2005年以降(もっといえば2016年以降)の音量レベル(-10dB前後)を目標にするとよい
- しかし、難しい場合も多いので、2000年レベル(-12dB前後)、1990年代前半レベル(-10dB台後半)と下げていってもよい
2.詳細
上の1までで、大まかな音量傾向を確認し、自分の制作する音量目標の定め方まで示したので、今回記事のメイン部分はほぼ終えていますが、年代を区切って、もう少し詳しくみていこうと思います。
2-1.1991~2005年の音量調査結果
この年代区間で取り扱われるのは、Mr.Children、JUDY AND MARY、the pillowsの楽曲音源です。
まず、各アーティストの、各年の楽曲音量を平均した値をプロットしたグラフを示します。
1991~2000年にかけては、音量増加率が高く、およそ-18dBから-12dBぐらいにまで主流音量レベルが変化しています。
2000~2005年の区間では音量変化がそれほどみられず、およそ-12dB前後が主流になっているといえそうです。
次に、各アーティストの楽曲音源音量を個別にプロットしたグラフを示します。
こちらのグラフには、一部-20dB台の小音量の点があります。
これにはSE的トラック、インタールード的トラックが含まれますが、数としても少ないことから、
大まかな傾向をとらえる際には、これらの点は除外して考え、各点が密集しているエリアにおける音量レベルに着目すればよいかと思います。
2-2.2005年以降の音量調査結果
この年代区間で取り扱われるのは、羊文学、MOSHIMO、Mr.Children、the pillows、Perfumeの音源です。
まず、各アーティストの、各年の楽曲音量を平均した値をプロットしたグラフを示します。
先にみた2000年代前半の場合に比べると、各点の差が広がっているように思われますが、
だいたい「-10dB前後に分布している」とはいえそうです。
その中で、エレクトロ系サウンドのPerfumeは初期(2006年)から音量が大きく、特に2014年までの区間におけるMr.Childrenとの音量差が顕著です。
次に、各アーティストの楽曲音源音量を個別にプロットしたグラフを示します。
この区間では、たまに-20dB近い小音量の音源もありますが、ほとんどの点(楽曲音源)はおよそ-15~-7dB付近に集まっています。
3.最後に
以上、1991~2020年のJ-Pop(Rock)の曲中平均音量を調べてみた結果をお伝えしてきました。
もう一度要点をまとめます。
まず、音量調査してみた結果の概要ですが、大まかな傾向として
- 2005年以降は-10dB前後が主流
- 1990年代序盤は-10dB台後半が主流
といったことがいえそうです。
これらの傾向を踏まえると、音量調整目標としては
現代レベルにしたいなら-10dB前後、厳しそうであれば-10dB台後半以上を狙うようにすると、まずはよさそうです(ジャンルや音の内容(周波数特性、楽器数など)にもよりますが、一通りの目安として)。
なお、私の体感上、音量を現代レベル(-10dB前後)にまで上げる場合には、Ozone 9というマスタリング系ソフトが重宝します。
私も楽曲制作時、常々お世話になっています(私が使っているエディションはAdvanced)。
ただし、そもそも音量よりも、音楽そのもの(音の内容)が大切ですから、その点は見失わないようにしたいものです。
というわけで、今回の記事が
- 自分の曲の音量が小さく感じる
- 自分の曲の音量をどれぐらいにすればよいかわからない
といった方のご参考になれば幸いです。