My Little Lover「evergreen+」と「evergreen」の違い

(写真はイメージです)

今回は、My Little Loverの2枚組アルバム「re:evergreen」の2枚目「evergreen+」に関する話です。

この「evergreen+」は、デビューアルバム「evergreen」をリプロデュースしたものといわれており、曲目や曲順は同じです。

しかし、わざわざ「リプロデュース」といっているぐらいですから、音源の内容は少し異なっています。

今回はそうした違いについてお伝えしていこうと思います。

なお、本記事では

  • デビューアルバム「evergreen」を「旧版」または「旧」と表記
  • リプロデュース版の「evergreen+」を「新版」または「新」と表記

することにします。

1.平均音量の違い

最初に、旧版新版、それぞれにおける、各曲(トラック)の平均音量(1曲通しての平均音量を各曲分算出したもの)を、以下グラフに示します(音源は圧縮音源をwav化したものを使用)。

  • 横軸:トラックNo.
  • 縦軸:平均音量[dB](0に近いほど大音量)
「evergreen」(旧)と「evergreen+」(新)それぞれに収録されている各曲(トラック)の平均音量(dB)を示すグラフ

上のグラフから、以下の特徴が読み取れます。

  • 新版の方が全体的に音量が大きい
  • 新版の方が各曲(トラック)間音量差が小さい

新版の全曲平均音量(上のグラフにおける新版各音量の値を平均したもの)は約-10.9dBで、リリース当時(2015年)のJ-Pop音源として、それほど音量が小さすぎることもないのでは、と思われます。

2.各トラックにおける主な違い

ここでは、各曲(トラック)における主な違いについて触れていきます。

Track1:Magic Time

旧版はエレピ単体で始まるが、新版ではエレピと鉄琴で始まる。ドラムの音は、旧版に比べて新版の方がやや太い印象である。また、後半の転調後のドラム再開時のドラムフィルインが、新版では手数(てかず)の多い勢いあるパターンに変わっている。

Track2:Free

新旧でそれほど大きな違いはないが、新版の方が全体的に音の厚みが増している印象が強い。

Track3:白いカイト

出だしのエレキギターカッティング音の空間感が異なっている。新版ではドラムスネアのシャープな音色も目立つ。

Track4:めぐり逢う世界

アルバム中、新旧の違いが最も鮮明に出ている曲(トラック)。そのポイントはドラムスネアの音色。旧版はスカッとした音だが、新版はズシッとした音である。このドラムスネアの音色の違いが影響しているのか、旧版にあった広がりのある空間感が、新版では幾分抑えられているような印象を受ける。人によって好みの分かれるところであろうと思われる。

Track5:Hello, Again ~昔からある場所~

新旧でそれほど大きな違いはないが、新版の方が全体的に音の厚みとシャープさが増している印象が強い。

Track6:My Painting

新旧でそれほど大きな違いはないが、新版の方が音のシャープさが増している印象が強い。また、新版では終盤のコーラス「・・・day~」(といっているように聴こえる)のロングトーン部分で音割れ感がある(旧版ではそのような音割れ感がなく滑らか)。ここも好みの分かれそうなところである。

Track7:暮れゆく街で

新旧でそれほど大きな違いはないが、旧版のバスドラ(キック)音にあった「ブーン」(低音)と鳴っているような(謎の?)音程感が、新版ではほとんどなくなっている。

Track8:Delicacy

旧版では、ヘッドフォンで聴いているときにバスドラ音が耳に近く迫ってくるような感覚があったが(特に冒頭のドラム&ベースの部分)、新版ではそれがなくなっている。また、新版では旧版にはなかった(少なくとも普通にヘッドフォンなどで聴く分には聴こえない)アコースティックピアノが入っている。そのためか、全体的に新版は旧版に比べてふっくらとした音に仕上がっている印象が強い。

Track9:Man & Woman

新版では、冒頭~歌い出し部分のメリハリが強調されている(表現が難しいが、歌い出しで「パッ」と勢いよく開くような感覚がある)。また、旧版では非常に軽い感触のドラムスネア音であったのが、新版では「スコーン」とした比較的重めのドラムスネア音になっているのも目立つ(Cメロでは少し軽くなるが、それでも旧版に比べると重め)。

Track10:evergreen

旧版ではほとんどモノラル的に感じられるアコースティックピアノ音が、新版ではステレオ感の増したものになっている。また、新版ではドラムのパワーが増している感があり、そのためかサビ部分も旧版に比べて一層賑やかになっている印象を受ける。