「こどものための究極☆正しい声のトレーニング キッズタレントへの近道」を読んでみて感じたことなど
(写真はイメージです)
「高尚な趣のある武田梵声氏が、こどもに向けて何を教えているのだろう??」
ふと気になりましたので「こどものための究極☆正しい声のトレーニング キッズタレントへの近道」を実際に読んでみました。
今回はその中で感じたこと、気付いたことを中心にお伝えします。
最初に概要について触れておきます。
この本を一読して特徴的だと感じた点は以下2点です。
- 本文中の表現がかなり平易
- 巻末に、本文中に出てきた用語などに関連する詳しい解説がある
これらの特徴も踏まえると、この本は、次のような大人の方々にも合う印象を持ちました。
- 武田梵声氏の考えをもっと知りたい方
- 武田梵声氏の他の本を読んだことがあるが、難しく感じた点がある方
- こども向けに何を教えているのか知りたい方
この本で主張されていることは、
- 「ボーカリストのためのフースラーメソード」
- 「「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門」
といった、武田梵声氏の他の本と矛盾するところはなく、その上で、表現がこれらの本に比べて平易ですから、
これら他の本を読んだことがある方々も、この「こどものための究極☆正しい声のトレーニング~」を読むことで、一層理解が深まるかもしれません。
その意味では「こどものため」と題されていても侮れません・・・!!
それでは以下、詳しくみていきましょう!
1.特徴的だと感じた点
冒頭にもお伝えしましたが、以下の点が特徴的だと感じました。
- 本文中の表現がかなり平易
- 巻末に、本文中に出てきた用語などに関連する詳しい解説がある
以下、それぞれ少し詳しく説明していきます。
1-1.本文中の表現がかなり平易
武田梵声氏の他の本で述べられていることと重なる部分もありますが、そうした事項についても、この本では幾分かみ砕いた説明となっていることが多いです。
特に、発声のコツなどに関する記述が
- 「ボーカリストのためのフースラーメソード」
- 「「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門」
といった他の本に比べて詳しいことが多いので、
他の本を読んでピンとこなかった場合でも、この本を読めばわかる、ということもあり得そうです。
1-2.巻末に、本文中に出てきた用語などに関連する詳しい解説がある
巻末に「注」のコーナーが設けられています。
先ほどの1-1において「本文中の表現がかなり平易」とお伝えしましたが、その分、この巻末の「注」は詳しい解説となっています。
項目(用語・人名・概念など)ごとに解説されているので
「特定の気になる項目の箇所を探してじっくり読んでみる」
という使い方もできます。
取り上げられている項目はアイウエオ順などではなく、基本的に本文における登場順ですが、
この本の目次などを参考にすれば、探したい項目がどのあたりに出てくるか、ある程度わかるかと思います。
2.各項目についての言及有無・程度
ここでは、既にいくつか気になる項目がある方向けに、
特定の項目についての言及の有無や程度について調べてみた結果をお伝えします。
その結果概要は以下の表の通りです(下表、横にはみ出ている場合は横スクロールできます)。
項目 | 主な言及箇所 |
---|---|
呼吸法 |
|
純粋な裏声 | 言及なし |
吸気裏声 | LESSON 2「ノドの中の筋肉を鍛えよう!」 |
裏声 | LESSON 2「ノドの中の筋肉を鍛えよう!」 |
地声 | LESSON 2「ノドの中の筋肉を鍛えよう!」 |
地声と裏声をつなぐ | LESSON 2「ノドの中の筋肉を鍛えよう!」 |
咽頭位置 | LESSON 5「いろいろな声を出せるようにしよう」 |
シュナル | LESSON 3「"しぼった声"と"きしむ声"」 |
すかし声 | LESSON 2「ノドの中の筋肉を鍛えよう!」 |
由り | LESSON 6「こぶしを回そう!」 |
以下、これらの一部について少し詳しく説明していきます。
2-1.呼吸法
いわゆる「腹式呼吸による発声」という考え方については否定的ですが(同氏の著作全般そうですが)、メンタル面の効用という観点で、「ウォーミングアップ」のコーナーにおいて、いくつかメニューが紹介されています。
また、以下コーナーにおいても言及があります。
- 「LESSON 1」の終わりにある「COLUMN」(「
ベルカント黄金時代に呼吸法はなかった
」) - 「LESSON 3」の終わりにある「COLUMN」(「
オーディションであがらない呼吸法
」)
特に1つ目については、発声と呼吸の関係に関する武田梵声氏の考え方が端的にまとめられていますので、初めて氏の著作を読む方は特に注目して一読されることをおすすめします。
2-2.純粋な裏声
他の本(「ボーカリストのためのフースラーメソード」、「「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門」)では、初期段階の訓練メニューとして位置付けられている項目ですが、この本では出てきません。
2-3.吸気裏声
他の本(「ボーカリストのためのフースラーメソード」、「「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門」)でも言及がありますが、この本では付属音源(リットーミュージック公式サイトから無料ダウンロード可能)も用意されています。
2-4.裏声・地声・咽頭位置
フースラーメソードにおける「アンザッツ」といった用語は本文中登場しませんが、裏声・地声それぞれメニューがあり、また、咽頭位置の高低による声の出し分けについても、本文中でメニューが用意されています。
2-5.シュナル
いわゆるノイズ的な声で、本文において「揚げものの声
」としても紹介されています。
具体的な声の出し方も説明されていて、付属音源と合わせて確認すると、どう出せばよいか、ある程度方向が見えてくるかと思います。
2-6.すかし声・由り
他の本(「ボーカリストのためのフースラーメソード」、「「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門」)に比べて、具体的な発声の仕方(コツ)について詳しく説明されており、付属音源と合わせて確認すると、どう出せばよいか、ある程度方向が見えてくるかと思います。
3.最後に
以上、「こどものための究極☆正しい声のトレーニング キッズタレントへの近道」を読んでみて感じたこと、気付いたことを中心にお伝えしてきました。
「こどものため」と銘打ってはいますが、内容は本格的であり、大人でも読み応えのある本だと思います。
本文中のかみ砕いた説明と、巻末の「注」における詳しい説明・・・
両方読むことで、理解が一層深まっていくようにも感じられました。
今回の記事が
- 武田梵声氏の考えをもっと知りたい
- 武田梵声氏の他の本を読んだことがあるが、難しく感じた点がある
- こども向けに何を教えているのか知りたい
といった方のご参考になれば幸いです。