ACID Pro 8の無料アップデートに意外な落とし穴?こんな失敗からの対策!
(写真はイメージです)
今回は、ACID Pro 8のアップデート(8のままでの更新)時に、私が遭遇したトラブル、その対策(解決方法)についてお伝えします(ソースネクスト購入版での話)。
こんな方に特におススメの内容です。
- ACID Pro 8のアップデートを考えている
- ACID Pro 8でiZotope系プラグインを使っている
- ACID Pro 8のアップデートをしたところ、iZotope系プラグインでトラブルに遭遇している
今回私が遭遇したトラブルは次のようなものです。
- アップデート後の環境で、アップデート前のプロジェクトファイルを開いたとき、iZotope系プラグインが自動的にVST3となり、設定がリセットされている
- iZotope系プラグインのVST2版を認識させるのに手間取る(VST2に関係するdllファイルが複数あり、どれを参照させればよいかわからない)
- iZotope系プラグインについて、VST2版とVST3版を共存させるとACID Pro 8自体がフリーズ
もっとも、今ならACID Pro 8にこだわらずとも、初めからVST3対応した新しいバージョンが出ていたりしますけれども・・・
ともあれ、それでは以下、対策からお伝えしていきます。
1.対策
対策は以下の通りです。
アップデート後の環境で、アップデート前のプロジェクトファイル(iZotope系プラグイン使用)を開く場合は
- iZotope系プラグインのVST2版のみ使用する設定に変更する
以下、そのような設定に変更する方法をお伝えしていきます。
まず最初に、関連するファイルについての説明です。
今回のトラブルに関係のあったiZotope系プラグインはOzone 9、Neutron 3、Nectar 3でしたが(いずれもAdvanced)、これらはVST2とVST3、両方使えるようになっています。
これらのプラグインに関連するファイル群は2種類のセットに分かれています(便宜上「セットA」と「セットB」と呼称します)。
下表はセットA、セットBそれぞれの特徴をまとめたものです。
各項目 | セットA | セットB |
---|---|---|
内容 | VST3用(ただしVST3非対応時はVST2対応となる) | VST2用 |
フォルダパスの特徴 (インストール時のデフォルトパスの場合) |
・・・\Common Files\VST3 | ・・・\Steinberg\VstPlugins |
含まれるファイル名称・拡張子の特徴 |
|
|
- (上記"・・・"の部分にはインストールしたパスに起因するパス名が入る)
- (上記"~"の部分にはプラグイン名が入る)
対策としては、これら2種類のセットのうち、セットAの参照をやめて、セットBのみを参照させるようにするとOKです。
具体的には、以下の通り、プラグインスキャン設定変更とスキャンの実行を行います(ソースネクスト購入版によるアップデート版(日本語)(Version 8.0.10 (Build 20))の場合における手順です)。
- ウィンドウ上部メニュー内「
表示
」を選択して表示されるメニュー「プラグイン マネージャ
」にチェックを入れて「プラグイン マネージャ
」を表示させる - 「
プラグイン マネージャ
」右上にある「VSTの設定
」ボタン(「f」の文字を含むアイコン)を押して「VST設定
」のウィンドウを表示させる - (セットAの参照をやめる設定)「
VST設定
」ウィンドウ内にある各フォルダの項目から、セットAに該当する行を選択し、ウィンドウ内下部の「削除
」を押して当該パスをスキャン対象から外す - (セットBを参照させる設定)ウィンドウ内下部の「
追加
」を押し、その後表示されるウィンドウから、セットBに該当するフォルダを選択 - ウィンドウ内右側の「
スキャン
」を押してスキャンの実行を行う - 完了後、ACID Pro 8自体を一旦終了して再度起動する
- (うまくいかない場合)ウィンドウ内下部「
強制的にリビルド
」にチェックを入れて再度スキャンしてみるのも一手(ただし、うまくいかない原因は状況によって色々考えられるので、必ずしもこれで解決するとは限らないと思われる)
2.背景
私の環境では、アップデート前後を通して、セットAを参照させる設定となっていたため、アップデート後、自動的にVST3を参照するようになっていました。
アップデート後の環境で、新規に制作をしていくだけなら、これでもよいのですが、
アップデート前の環境(VST3非対応)で制作したプロジェクトファイルを開くとなると、VST2のプラグインを読み込む必要があります。
アップデート後の環境でVST2のiZotope系プラグイン(今回の場合はOzone 9、Neutron 3、Nectar 3の各Advanced版)を読み込むには、セットBの参照が必要です。
しかし、これをセットAと共存させると、ACID Pro 8自体が重くなって、フリーズに至ることがあるので、セットAの参照をやめる必要があります。
3.最後に
以上、ACID Pro 8のアップデート(8のままでの更新)時に、私が遭遇したトラブル、その対策(解決方法)についてお伝えしてきました(ソースネクスト購入版での話)。
ACID Pro 8でVST3が使えるようになるのはありがたいですが、バージョン内アップデートなので、アップデート前後両方の環境を残せません。
ですので、こうしたトラブルがあると「アップデートしてよかったのか??」などとモヤモヤしてしまうところです。
しかし、今回のトラブルに限っていえば、
アップデート後の環境で、アップデート前のプロジェクトファイル(iZotope系プラグイン使用)を開く場合は
- iZotope系プラグインのVST2版のみ使用する設定に変更する
というように、VSTプラグインの参照範囲を調整すれば解決します。
もっとも、今ならACID Pro 8にこだわらずとも、初めからVST3対応した新しいバージョンが出ていたりしますけれども・・・
ともあれ、今回の記事が
- ACID Pro 8のアップデートを考えている
- ACID Pro 8でiZotope系プラグインを使っている
- ACID Pro 8のアップデートをしたところ、iZotope系プラグインでトラブルに遭遇している
といった方のご参考になれば幸いです。