DTM、レンダリング(バウンス)が正しくできているか効率的に確認して安心する方法

(写真はイメージです)

DTMにおけるレンダリング(バウンス)。

DAWソフトで開いたプロジェクトファイルから、ミックス後(あるいはマスタリング後)の音源ファイルを出力する工程ですが、

  • 音飛びやノイズなどなく、ちゃんとレンダリングできているか知りたい
  • 前回から変えたところだけ変わっているか知りたい

といったことはないでしょうか?

もちろん「結果を聴いて確認する」という手段はとれますが、聴くだけだと聴き逃しの不安が残ります。

特に「同じ設定でレンダリング(バウンス)しても、出力ファイルのバイナリデータが一致しない」という環境の場合、特にリスクを大きく感じるかと思います。

私自身もそうした環境の中でDTM作業しております・・・

しかし最近、聴くだけよりはもう少し安心感が得られる、それも割と効率的な方法があることに気付きました。

今回はその方法についてお伝えしていきます。

1.基本的な考え方

基本的に、2つ以上のレンダリング(バウンス)結果ファイルについて、波形データとしての差分を確認すれば、ある程度安心できます(2つのファイルを1セットとして、1セットずつ差分を確認)。

というのも、そうすることにより、例えば次のようなことが視覚的数値的判断できるためです。

  • ランダムな音飛びやノイズの有無:同じ設定で複数回レンダリングした結果の差分が十分小さいかどうか
  • 内容変更時の影響:レンダリング結果の差分(変更後-変更前)が、変えたところ以外、十分小さいかどうか

差分を聴感だけでとらえようとすると、再生装置の特性、自身の集中力・聴力の限界によって聴き逃してしまう部分が出てくるリスクがあります。

データとしての差分は、こうした要素に左右されませんので、割と安心して活用できる判断材料になり得ます。

2.確認のための準備作業

(写真はイメージです)

レンダリング(バウンス)結果ファイルの差分を得る方法として、波形編集ソフトプログラミングの活用が挙げられます。

ここでは例示的に、私が使っている波形編集ソフト「SOUND FORGE Audio Studio 12」における大まかな作業手順をお伝えします。

  1. 2つの波形をそれぞれ読み込む(波形A、波形Bとする)
  2. 波形Aの対象範囲をコピー
  3. 波形Bの対象範囲を選択した状態で右クリック
  4. 表示される右クリックメニューから「ミキシング」を選択
  5. 立ち上がった「ミックス」のウィンドウ内で「ミックス」を選択、「反転」をONして「OK」を押す(音量は双方で値を揃える)
  6. ミキシングした結果を確認(これを別名保存して、後で改めて確認してもよい)

2つ目、3つ目の「対象範囲」については、波形Aと波形Bの開始位置、終了位置をあらかじめ揃えておくと選択が楽です。

これらが揃っていないことが分かっている場合は、揃うように、片方の波形の冒頭や末尾をカットしたり、冒頭や末尾に無音部分を追加したりして、整合をとります。

「これらは揃っているはず」と思える場合は、そのままでOKです(予想に反して揃っていなかった場合は、その影響が差分に現れます)。

3.確認・判断の方法

これについては、目的、条件によって変わってきますが、ここではランダムな音飛びやノイズの有無、変更の影響を確認する場合を例にお伝えします。

3-1.ランダムな音飛びやノイズの有無

2回以上同じ設定でレンダリングした結果の差分十分小さければ、ひとまず安心です。

というのも、音飛びやノイズがランダムな時間位置で発生する場合、

「2回とも同じ時間位置で発生する」というのは、かなりレアなケースなためです。

理想は、差分をとった結果が厳密に無音(差分0)になることですが、そうならないことの方が多いので(少なくとも私の経験上では)、ある程度割り切って判断する方が現実的かと思います。

3-2.内容変更時の影響

変更していないところはほぼ無音(差分ほぼ0)で、変更したところだけ差分大きくなっていれば、ひとまず安心です。

差分の出方は、変更の内容や程度によって変わります。

例えば、演奏テイクの一部差し替えは、その差し替えた部分とその周辺部分に差分が大きく現れますが、

波形全体に影響を与えるEQ設定の変更は、特定の場所(時間位置)だけではなく、波形全体にまんべんなく比較的大きな差分が現れます(差分の大きさは変更の内容や程度に依存)。

このように、差分の出方には色々ありますので、変更の内容や程度から期待される結果をイメージした上で、実際の結果について判断することが大切です。

4.最後に

DTMにおけるレンダリング(バウンス)結果の確認。

お伝えしてきたように、レンダリング(バウンス)結果差分データとして視覚的数値的確認することで、

聴感だけで確認するよりも一層安心感が得られますし、

聴き逃しを恐れて何回も聴いて確認するよりは、効率的ともいえます。

今回の記事が、レンダリング(バウンス)結果の確認をする上で

  • 音飛びやノイズなどなく、ちゃんとレンダリングできているか知りたい
  • 前回から変えたところだけ変わっているか知りたい

といった方のご参考になれば幸いです。