DTMにおけるチェックリストを作る際の注意点を考える
今回は、DTMにおけるチェックリストを作る際の注意点について考えてみたいと思います。
チェックリストを作る際には、やはりその目的を明確にし、各目的に合った内容、表現を考えることが大切でしょう。
目的は人それぞれだと思いますが、今回は例として、以下目次に示すような目的を定める場合について、それぞれ考えていきます(複数の目的があってもOK)。
1.作業の抜け漏れやミスを防ぐ
作業の抜け漏れやミスを防ぐためには、
それこそ抜け漏れなくチェック項目を盛り込みつつ、
各項目をなるべくシンプルに細分化する必要があります。
例えば、1つの項目の中に「Aを行い、Bを行ったか」といったように、実質的に複数の項目が含まれていると、抜け漏れが生じやすくなることがあります。
また「音に問題はないか」というような、漠然としたチェック項目だと、どこをどのように、どのような観点で確認するのかが不明なので、そのときの感覚や過去の記憶で作業してしまい、その結果ミスが生じることがあります。
確認系の項目は特に、漠然とした表現になってしまいがちですので、
チェックする観点を洗い出したり、
内容を構造化して考えたりして、
なるべく各項目の表現が具体的になるようにしたいものです。
2.作業を効率化する
作業を効率化するためには、単に各チェック項目を作業順に並べるだけではなく、
作業量や確認ポイントがなるべく少なくなるよう、作業内容、チェック内容、順番を整理してから、
チェックリストを作成する必要があります。
既に手順が決まっている場合でも、改めて現状の手順を見直してみるとよいでしょう。
3.クオリティを確保する
確保したいクオリティに影響する指標と、目標基準を明確にしておきます。
基準は曲によって変わってくることも多いので、制作の都度、基準を定めてもよいでしょう。
指標の例としては以下が挙げられます。
- 目標LUFS
- 許容LR偏り
- 許容LR位相差(モノラル耐性レベル)
4.責任を明確にする
複数人での制作時には、こうした目的でチェックリストを作るのも有効です。
基本的には、各項目につき1名の署名と日付を記入できるように、チェック項目を整備するとよいですが、
重要な項目は、同じ項目を2名でチェックする、という形態にするのもよいでしょう。
5.ストレスを軽減する
1や2で述べたことをうまく実践できれば、作業量も作業中に考える要素も最低限に抑えられるので、ストレスも軽減されるものと考えられますが、
さらに意識するところとしては、
- チェック基準を高くし過ぎない
- チェック項目や作業手順そのものを少なくする
といったことが挙げられます。
場合によっては、ある程度の割り切りも必要になってくるかもしれません。
6.振り返りと改善につなげる
例えば、以下のような点に注意するとよいでしょう。
- 各項目をなるべくシンプルに細分化する(1で述べた事項の実践)
- チェック欄だけでなく、備考欄も設ける(作業やチェックの際に気付いたことなどをメモするため)
- 苦労した作業
- 改善すべき作業
- 学習すべきポイント
などがわかりやすくなると思います。