ACID Pro 8とREAPERの音量エンベロープのカーブパターンを比較してみた

(写真はイメージです)

今回は、2つのDAWソフト、ACID Pro 8REAPER音量エンベロープカーブパターンを比較してみた結果を、グラフなどを使ってお伝えします。

音量エンベロープは、音量を時間的に変化させる場合、特にフェードインやフェードアウトのためによく使われる基本的な機能です。

しかし、2つのDAWソフト、ACID Pro 8とREAPERとで、カーブパターンの傾向が大きく異なります(デフォルト設定で確認)。

私は、長年ACIDシリーズを使ってきて、最近REAPERを使い始めたのですが、

ACID Pro 8のような感覚でフェードアウトのカーブを編集しようとすると、どうも音量が思ったより急激に下がり過ぎてやりづらい・・・

ACID Pro 8よりもREAPERの方がカーブパターンが急だ・・・

という印象を持ちました。

そこで、今回は、

  • この感覚は妥当か?
  • どれぐらい異なっているのか?

を確認するため、詳細にカーブパターンを比べてみることにしました。

1.カーブパターンの種類

2つのDAWソフトとも、カーブパターンは複数種類あります。

(ACID Pro 8)

  • リニアフェード
  • 高速フェード
  • 低速フェード
  • スムーズ フェード
  • シャープ フェード
  • ホールド

(REAPER)

  • 直線
  • 水平線
  • 緩やかな曲線
  • 始まりが急な曲線
  • 終わりが急な曲線
  • ベジェ曲線

両者、DAW上のカーブパターン表示が比較的近いものを対応付けて表にまとめると、以下の通りとなります。

ACID Pro 8とREAPERのカーブパターンの対応表
ACID Pro 8 REAPER
リニアフェード 直線
高速フェード 始まりが急な曲線
低速フェード 終わりが急な曲線
スムーズ フェード 緩やかな曲線
ホールド 水平線

ACID Pro 8には、REAPERの「ベジェ曲線」のような、曲線を調整できるモードがありません。

また、REAPERには、ACID Pro 8の「シャープ フェード」に対応するパターンがありません。ACIDを使っていたときも、あまり使わなかったパターンですが・・・

2.カーブパターンの比較

さて、ここから両者のカーブパターンを比較していきます。

2-1.比較条件

4/4拍子、BPM120、1小節目の先頭を0dB、9小節目冒頭を-56dBに設定(ポイント配置)したときの各カーブパターンを比較します。

2つのDAWソフトとも、エンベロープに関するオプション設定の内容について精通しておらず、デフォルト設定のままです。

ポイント間の数値(音量)の読み取り方は、DAWソフトの仕様の違いもあり、以下の通りとしました。

  • (ACID Pro 8)読み取りたい箇所にポイントを配置して、そのポイントの数値を読み取る(読み取り後にポイント配置操作を取り消し(配置したポイントは消えて元の状態となる))
  • (REAPER)読み取りたい箇所にカーソル位置を合わせて、そのポイント数値を読み取る

ACID Pro 8では、読み取りたい箇所にカーソルを合わせても数値表示されないため、

一時的にポイントを配置して、数値を読み取るしかありませんでした。

なお、リニアフェード以外のパターンでは、このポイント配置によって、元々のカーブパターンが若干変わってしまうため、

読み取り値に誤差が含まれている可能性がありますが、

グラフ(後述)を見る限り、形状に違和感はなく、今回の目的である傾向比較に問題はなさそうです。

なお、以下で複数のグラフを示しますが、グラフ中の凡例ではREAPERを「Reaper」と表記しています。

2-2.ACID Pro 8の「リニアフェード」とREAPERの「直線」

まず、両者の各小節(開始点)位置ごとの音量(dB)の読み取り値を比較します。

1小節間隔で読み取り値をプロットし、間を直線でつないだグラフを以下に示します(間を直線でつないでいるので、DAW上でのカーブパターンとは異なります)。

ACID Pro 8の「リニアフェード」とREAPERの「直線」のカーブパターン例をdB値でプロットしたグラフ

こうしてみると、どちらも直線になっていないようです。

そこで、以下の式でdb値(dBと表す)をdB変換前の値に換算します。

  • POWER(10,dB/20)

POWER(a,n):aのn乗を計算する関数

こうして換算した値をグラフにすると以下の通りです。

ACID Pro 8の「リニアフェード」とREAPERの「直線」のカーブパターン例をdB変換前の値に換算してプロットしたグラフ

ACID(Pro 8)の方では直線になっていますが、REAPERの方は、直線よりも下の方に凹んだような曲線になっています。

2-3.ACID Pro 8の「スムーズ フェード」とREAPERの「緩やかなカーブ」

どちらも、DAW画面上では、始めと終わりが緩やかなカーブを描くタイプです。

1小節間隔で読み取り値をプロットし、間を直線でつないだグラフを以下に示します(間を直線でつないでいるので、DAW上でのカーブパターンとは異なります)。

ACID Pro 8の「スムーズ フェード」とREAPERの「緩やかなカーブ」のカーブパターン例をdB値でプロットしたグラフ

2-2同様、dB変換前の値に換算してグラフ化すると以下の通りとなります。

ACID Pro 8の「スムーズ フェード」とREAPERの「緩やかなカーブ」のカーブパターン例をdB変換前の値に換算してプロットしたグラフ

REAPERの方は下方への凹みが目立つ曲線となっています。

2-4.ACID Pro 8の「高速フェード」とREAPERの「始まりが急なカーブ」

どちらも、DAW画面上では、始めは急、終わりが緩やかになるカーブを描くタイプです。

1小節間隔で読み取り値をプロットし、間を直線でつないだグラフを以下に示します(間を直線でつないでいるので、DAW上でのカーブパターンとは異なります)。

ACID Pro 8の「高速フェード」とREAPERの「始まりが急なカーブ」のカーブパターン例をdB値でプロットしたグラフ

2-2同様、dB変換前の値に換算してグラフ化すると以下の通りとなります。

ACID Pro 8の「高速フェード」とREAPERの「始まりが急なカーブ」のカーブパターン例をdB変換前の値に換算してプロットしたグラフ

どちらも下方に凹む形状ですが、REAPERの方が強く凹んでいます。

2-5.ACID Pro 8の「低速フェード」とREAPERの「終わりが急なカーブ」

どちらも、DAW画面上では、始めは緩やか、終わりが急になるカーブを描くタイプです。

1小節間隔で読み取り値をプロットし、間を直線でつないだグラフを以下に示します(間を直線でつないでいるので、DAW上でのカーブパターンとは異なります)。

ACID Pro 8の「低速フェード」とREAPERの「終わりが急なカーブ」のカーブパターン例をdB値でプロットしたグラフ

2-2同様、dB変換前の値に換算してグラフ化すると以下の通りとなります。

ACID Pro 8の「低速フェード」とREAPERの「終わりが急なカーブ」のカーブパターン例をdB変換前の値に換算してプロットしたグラフ

どちらも、序盤は重なるように見えるものの、REAPERの方は、2-3でみたACID Pro 8のスムーズフェードに似た形状になっています。

ACID Pro 8のスムーズ フェードの方と並べてみると、以下の通りとなります。

ACID Pro 8の「スムーズ フェード」とREAPERの「終わりが急なカーブ」のカーブパターン例をdB変換前の値に換算してプロットしたグラフ

似ていると思いましたが、ACID Pro 8のスムーズ フェードよりも遅めに音量低減する形状になっています。

3.最後に

以上、ACID Pro 8とREAPERの音量エンベロープカーブパターンを比較してきました。

やはり、基本的にREAPERの方が急激に音量変化する傾向にあるようです。

REAPERで音量エンベロープ編集する場合、

ACID Pro 8の「スムーズ フェード」に比較的近い、REAPERの「低速フェード」をうまく使うと、

ACID Pro 8に近い感覚でパターン編集できるかもしれません。