無料楽譜作成ソフトMusescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)を比較する

前回、現在私が使用している無料楽譜作成ソフトMusescore2の話をしましたが、このMusescore2を使用し始めたのはここ1年少し前からで、それ以前はStudio ftn Score Editorの無料版を使用していました。

今回は無料楽譜作成ソフトMusescore2とStudio ftn Score Editorの無料版の機能面、操作面における特徴を、バンドスコアをよく作成する私独自の観点から比較した結果をお伝えします。

1.機能面の違い

Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)の機能面の比較結果を以下の表にまとめています。

Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)の機能面の比較結果
観点 Musescore2 Studio ftn Score Editor
(無料版)
歌詞、コード入力 ×
Tab譜 ×
ドラム譜
(デフォルト設定状態)
△(一部、一般的でない表記あり) 〇(一般的な表記)
対応出力形式 〇(多い) △(少ない)

当然、両者の機能はこれら以外に多数あるので、総合してどちらが機能面で充実しているのかはわかりません。

しかし、上の表に挙げた機能は、私がバンドスコアなどを作成する上で重要と考えている機能なので、少なくともこれらの点に限って言えば、Musescore2に軍配が上がると考えています。

1-1.歌詞、コード入力

Musescore2では、音符や休符部分を選択すると、テキスト追加が行えるので、その部分にコードや歌詞を入力することができます(当然といえば当然ですが、休符に歌詞を割り当てることはできません)。

一方、Studio ftn Score Editor(無料版)ではそのような機能が見当たりません
Studio ftn Score Editorの取り扱い説明書や掲示板を調べてみると、歌詞、コード入力に対応しているような記述もみられますが、恐らく有料のPro版限定の機能であろうと考えられます。

なお、Studio ftn Score Editorの取り扱い説明書は全機能について説明されていますが、どの機能が無料版に入っているのかがわかるような書き方にはなっておらず、Pro版と無料版の機能比較表のようなものもありません。

1-2.Tab譜

Musescore2では、単独、あるいは楽譜と連動させる形でTab譜を作成することができます

楽器もギター、ベース、ウクレレなど様々な弦楽器に対応しています。

また、想定する弦のチューニングも設定可能なので、例えばギターにおけるドロップDチューニング、DADGADチューニングなどのイレギュラーチューニング時のTab譜も作成することができます

楽譜と連動させる形でTabを作成する場合は、音符を入力すると、自動的にTab譜にも対応する弦、フレットに数字が書き込まれます。

この自動記入モードでは、Tab譜には開放弦、ローフレットを優先するような形でTab譜に数字が書き込まれますが、Tab譜に書かれた数字を、低音弦側に移動させることで、例えばギター5弦開放弦Aを6弦5フレットAに変更するといったことが可能です。

1-3.ドラム譜

Musescore2とStudio ftn Score Editorのどちらもドラム譜入力が可能ですが、Studio ftn Score Editorの方が、デフォルト設定状態で一般的なドラム譜表記ができる点で優れています

前回記事でもお伝えしましたが、下の画像に示すように、Musescore2ではデフォルト設定状態でオープンハイハットクラッシュシンバル表記が一般的なものと異なっています

Musescore2のドラム譜表記が一般的なものと異なることを説明する画像

対処方法もなくはないようですが、少なくともひと手間かかる点で、やはり不便です。

1-4.出力形式

Musescore2とStudio ftn Score Editorの対応出力形式を以下の表にまとめています。

Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)それぞれの対応出力形式を示す表

私はバンドメンバーに自作曲の楽譜を渡す際、PDF形式にするのですが、Studio ftn Score Editor(無料版)では直接PDF出力ができないので、PrimoPDFを使用して、印刷→PrimoPDF選択という、少々回りくどい方法でPDF化していました。

Musescore2に乗り換えてからは、直接PDF化ができるようになったので、配布もスムーズにできています。

2.操作面の違い

これは実際に使用してみて気づいたところが多いですが、Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)では操作面にも大きな違いがあります。

Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)の操作面の比較結果を以下の表にまとめています。
Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)の操作面における比較結果を示す表

上の表では、私がよく使う操作を抜粋して取り上げており、これらの観点に限っていえば、やはりMusescore2が優れていると感じています。

2-1.休符入力

Musescore2では、デフォルトで全休符が入力された状態となっており、そこに音符を入力していくことで、楽譜を作成していきます。

音符入力時、休符は自動計算されるので、自分で意識的に休符を入力する必要がありません

一方、Studio ftn Score Editor(無料版)では、市販の五線譜同様、デフォルトでは小節が空白の状態なので、音符を入力する傍ら自分で休符を計算して入力していく必要があります

私がStudio ftn Score Editor(無料版)を使用していた時に煩わしさを感じていた作業の一つです。

2-2.レイアウト調整

Musescore2では、音程とリズムさえ決まれば、音符を入力する位置は一つに定まるので、「小節内のどこに音符を入力するか」、「音符の間隔はどれぐらいにするか」といった点を気にする必要がありません。

また、16分音符を大量に入力して音符がかさばった場合も、小節の幅自動的に調節されます。

一方、Studio ftn Score Editor(無料版)では、音符、休符の位置、間隔、小節幅、全て自分で判断して楽譜を作成していく必要があります。

窓の杜のStudio ftn Score Editor(無料版)のページでは、こうした特徴を五線譜に音楽記号を自由に配置できるフリーのMIDIシーケンサーという肯定的なニュアンスで表現していますが、「整った楽譜が仕上がればそれでよい」と思っている私としては、こうした自由にあまり魅力を感じません。

2-3.音符入力

Musescore2では、画面上部のメニューバー、あるいはショートカットキーで音符入力モードに切り替えて音符を入力していきます。

入力する音符の種類はメニューバー下部の音符選択メニューで切り替えます。

一方、Studio ftn Score Editor(無料版)では、楽譜上で右クリックして現れるメニューウィンドウから音符を選択して音符を入力していきます。

個人的には、音符入力作業が全て楽譜上のマウス操作で完結するStudio ftn Score Editor(無料版)の方が優れていると感じます。

3.最後に

ここまで私独自の観点で、Musescore2とStudio ftn Score Editor(無料版)の機能面、操作面の違いについて紹介してきました。

今回紹介したMusescore2、Studio ftn Score Editor(無料版)は各公式ページからダウンロード可能です。

今回の記事が、無料の楽譜作成ソフトをお探しの方のご参考になれば幸いです。