DTM用DAWソフトACID Pro 8で快適にMIDI打ち込みする方法

今回は、ACID Pro 8MIDI打ち込みを快適に行う方法をお伝えします。

MIDI打ち込みには、正確なリズム整った強弱きれいなフレーズを入力できるというメリットがあります。

その反面、設定項目や特有の概念(専門用語)が多く、とっつきにくい印象を持ってしまうのではないでしょうか?

しかし、MIDIキーボード用意した上で、以下の手順を押さえれば、そのようなMIDI打ち込みも快適に行うことができます

  • MIDIトラックの基本設定
  • MIDI 入力フィルタ設定(クオンタイズ、ベロシティ)
  • 録音
  • 微調整

これらの手順に慣れてしまえば、MIDI打ち込みもさほど面倒には感じなくなることでしょう。

それでは、順を追ってみていきましょう!

1.MIDIキーボードが必要な理由

初めに、MIDIキーボード必要な理由について触れておきます。

MIDIフレーズの打ち込み自体は、キーボードを使わなくてもできます。

マウスクリックでポチポチ音程バーを入力していくという方法もあります。

実際、本ブログ内の以下記事でも、マウスクリックでMIDI打ち込みを行う方法を解説しています。

数あるDAWソフトの中でも、比較的安く手に入るACID pro 8。 このページでは、「それっぽく音を鳴らしてみよう」というところを目標に、その基本的な使い方について解説しています。

しかし、キーボードがないと以下の点で不便です。

  • 和音を一度に入力できない
  • フレーズの試行錯誤に時間がかかる

今なら、数千円~1万円台で購入できるMIDIキーボードもありますから、MIDI打ち込みをふんだんにする方は、1台用意しておくとよいでしょう。

現在(2019/5/6時点)入手可能なキーボードの例として、以下のようなものがあります。

どちらも鍵盤数が37鍵と、比較的小ぶりなタイプのキーボードですが、MIDI打ち込み用と割り切ればそれほど不自由を感じずに使用できることでしょう。

2.MIDIトラックの基本設定

MIDIトラックを追加し、タイムライン左側のパネル部以下の設定を行います。

  • 入力キーボードの選択
  • ソフトシンセの設定

2-1.入力キーボードの選択

ACID Pro 8上で、MIDI打ち込み(入力)に使用するキーボードを指定します。

  • タイムライン左側のパネル部の顔アイコン(MIDI 入力)を押してメニューを表示
  • 表示されたメニューで、MIDI打ち込み(入力)に使用するキーボードを選択

この状態でキーボードを弾いてみて、音が出れば(音量メーターが変化すれば)OKです。

2-2.ソフトシンセの設定

MIDIトラックに、ソフト音源(ソフトシンセ)を割り当てます。

ソフトシンセの設定は以下の手順で行います。

  • 顔アイコン(MIDI 入力)の右隣にある鍵盤アイコン(MIDI 出力)を押してメニューを表示
  • 表示されたメニューから「ソフトシンセの挿入」を選択して、「ソフトシンセ チューザー」を表示
  • ソフトシンセ チューザー」から使用したいものを選択

この状態でキーボードを弾いてみて、音色が変わっていればOKです。

3.MIDI 入力フィルタの設定

MIDI 入力フィルタ」とは、MIDIキーボードからの入力に対してリズム補正強弱補正等の処理を行うものです。

生演奏の雰囲気を重視する場合は不要かもしれませんが、リズム、強弱の整ったフレーズにしたい場合には必要です。

この「MIDI 入力フィルタ」を使用する場合、MIDIキーボードで打ち込み入力(録音)を行う前に、この「MIDI 入力フィルタ」の設定を行っておきます。

まずは、以下の手順で「MIDI 入力フィルタ」の設定画面を立ち上げます。

  • MIDI打ち込みを行う対象トラックタイムライン左側のパネル部顔アイコン(MIDI 入力)を押す
  • 複数メニューが表示されるため、その中から「MIDI 入力フィルタ」を選択
  • (「トラック プロパティ」ウィンドウが立ち上がる)
  • トラック プロパティ」ウィンドウで、「入力フィルタタブが選択されていることを確認

続いて、この設定画面(ウィンドウ)上で、リズム補正、強弱補正の設定をそれぞれ行っていきます。

3-1.リズム補正(クオンタイズ)の設定

以下の手順で設定します。

  • トラック プロパティ」ウィンドウ内のドロップダウンメニューから「クオンタイズ」を選択
  • クオンタイズ スタート」、「クオンタイズ リリース両方にチェックを入れる
  • クオンタイズ グリッド」の下で、想定するフレーズで使用する最も短い長さの音符を選択

これらの設定を行うと、下の図のイメージでリズムが補正されます。

クオンタイズによるリズム補正を説明する図

上の図の通り、「クオンタイズ グリッド」に合わせて、音の開始位置、終了位置が調整されます。

音の開始位置を揃えるのが「クオンタイズ スタート」、終了位置を揃えるのが「クオンタイズ リリース」です。

なお、入力したタイミングよりも前に調整されるか、後ろに調整されるかは、マニュアル等にも記載がないため、正確には不明です。

3-2.強弱(ベロシティ)の設定

以下の手順で設定します。

  • トラック プロパティ」ウィンドウ内のドロップダウンメニューから「ベロシティ」を選択
  • スタート ベロシティを変更」にチェックを入れる
  • 変更の種類」で「値の設定」を選択、ベロシティを任意の値に設定

この設定により、MIDI打ち込み入力(録音)時に鍵盤を押す強さがまちまちでも、均一の強さ(ベロシティ)を持ったフレーズに仕上げてくれます。

4.録音

「MIDI 入力フィルタ」の設定が終われば、キーボードを弾いてMIDI入力(録音)を行います。

MIDI入力の場合も、オーディオトラックの場合とほぼ同様の手順で録音を行います。

具体的には以下の通りです。

  • 録音するトラックのタイムライン左側パネル部分にある「録音アーム」ボタン(赤色の丸)を押す
  • メトロノームプリカウントを有効にする
  • 録音したい位置にカーソルを合わせる
  • 録音」ボタンを押す(録音開始)
  • 録音
  • 停止」ボタンを押す(録音停止)

「オーディオトラック」と異なるのは、録音した音源の保存操作が不要という点です。

MIDI入力(録音)を終えると、録音したMIDIフレーズが、自動的に録音対象のトラックのタイムラインに残ります。

5.微調整

録音が終われば微調整作業に入ります。

「MIDI 入力フィルタ」でリズム補正や強弱補正を行っているため、調整せずともある程度整ったフレーズにはなっていることでしょう。

しかし、それでもミスタッチなどによって、本来想定していたフレーズが記録されていなかったり、強弱をつけたい部分が出てきたりするかと思います。

そういうときは、上部メニューの「オプション」から「インライン MIDI編集を有効にする」を選択し、記録された音程バーを修正していきます。

修正するのは以下の3要素です。

  • 位置(音程とタイミング)
  • 長さ(音価)
  • 強弱(ベロシティ)

5-1.位置(音程とタイミング)の変更

位置の変更は、音程バーのドラッグ&ドロップ操作によって可能です。

タイミングをずらす場合は、横方向音程を変える場合縦方向に移動させます。

5-2.長さ(音価)の変更

長さの変更は、以下の手順で行います。

  • 上部メニューのアイコン群エリアから、ペンの形をしたアイコンを選択し、「ドローツール」を有効にする
  • 音程バーの端マウスカーソルを当て、矢印マークが表示される状態にする
  • 上記状態で、音程バーの端ドラッグしたまま横方向に移動させる(音程バーの長さが変わる)
  • 所望の位置でドロップ(音程バーの長さが確定する)

5-3.強弱(ベロシティ)の変更

強弱の変更は、以下の手順で行います。

  • 対象の音程バーを右クリックしてメニューを表示させる
  • 表示させたメニューから「ベロシティ」→「設定」を選択
  • 所望の値を入力してEnterキーを押す

6.最後に

ここまで述べた通り、MIDIキーボードを用意した上で、以下の手順に従うと、快適にMIDI打ち込みが行えます。

  • MIDIトラックの基本設定
  • MIDI 入力フィルタ設定(クオンタイズ、ベロシティ)
  • 録音
  • 微調整

特に「MIDIキーボード」と「MIDI 入力フィルタ」の効果は絶大です。

MIDIキーボードを用いなくとも、マウスクリックでMIDI打ち込みは可能ですが、やはりMIDIキーボードの方が、マウスに比べて入力作業が早いことが多いです。

また、「MIDI 入力フィルタ」の使用によって、MIDIキーボードで入力したフレーズのリズムや強弱を、自動的にある程度整えてくれるので、仕上げ時の微調整作業の量も少なくて済み、作業の時短につながります

弾けない楽器、持っていない楽器も鳴らせるMIDI打ち込み。

操作を快適にして、音楽制作のコア部分に注力できるようにしていきたいものです。