疾走系和風オルタナティヴロック曲「電光石火」リリース
私、八雲橋かつなりの曲集「電光石火」が、各社音楽ストリーミング/ダウンロード配信サイト&Youtubeにて配信開始となりました!
収録曲は以下の通りです。
- 電光石火-June 2019 Mix1-
- 憧憬-Interlude-
- 電光石火-June 2019 Mix2-
疾走系和風オルタナティヴロックのタイトル曲「電光石火」含め、全編インストゥルメンタルで3曲入りという構成になっています。
今回は、これらの曲(トラック)がどのような内容のものなのか、どのような過程、経緯で制作されたものなのかといった点について、私自らが解説していきます。
1.電光石火(1,3曲目)
1曲目と3曲目はタイトルの通り、同一曲のミックス違いですので、まとめて解説します。
この曲はこれまでに配信した「閉ざされて」、「Clean」よりもテンポの速い(BPM180)、疾走系和風オルタナティヴロックになっています。
この速さから「電光石火」というキーワードが浮かんだので、それをそのままタイトルにしました。
3:37と短めの曲に仕上がりましたが、私イチオシの聴きどころは次のようなところです。
- 0:00~0:42:全弦開放でギターをかき鳴らすイントロ
- 0:10~0:42:和風のリードギターフレーズ
- 1:25~1:43:タンバリンが入ってさらに加速するグルーヴ
- 1:57~2:08:三味線まがいの和風ギターソロ
- 2:08~2:29:ギターソロの最終音からスムーズにつながる形で転調、落ち着いたCメロに
- 2:31~2:52:1,2回目に比べて広がりのあるバッキング
- 2:53~:クールダウンさせるような落ち着いたピアノ
- 3:25~:フェードアウト終盤で激しく動き出すベース
1-1.曲の構成概要
楽曲構成は以下の通りです。
- イントロ(0:00~)
- 1Aメロ(0:21~)
- 1Bメロ(0:42~)
- 間奏1(1:03~)
- 2Aメロ(1:14~)
- 2Bメロ(1:25~)
- 間奏2(1:46~)
- Cメロ(2:08~)
- 3Bメロ(2:31~)
- アウトロ(2:52~)
1-2.(イントロ~1Bメロ)(0:00~1:03)
レギュラーチューニングのギターを全弦開放でかき鳴らすという暴挙に出たイントロ、それに絡めてタムメインのドラムと和風テイストの単音フレーズのギターが乗っかり、Aメロへ。
Aメロの主旋律(オルガン)もまた、和音階であり、和風感強めです。
Aメロ最後で初めてスネアが打ち鳴らされ、疾走するBメロへ突入。
Bメロではドラムフィルインも16分音符主体で、スピード感を高めています。
終盤はタムを絡めたドラムパターンに変わり、最後は「ドタッ、ドタッ、ドタッ」と決めが入って、1番終了です。
1-3.(間奏1~2Bメロ)(1:03~1:46)
1番終了後はイントロと同様のコードと単音フレーズに戻りますが、ドラムはスネア込みの8ビートベースのパターンに変わります。
オープンハイハットも加わって、一層やかましい演奏になっています。
そして2Aメロへ。
1Aメロとは異なり、ドラムは8ビート+タム回しというパターン、小節数も短めで、すぐに2Bメロへ。
2Bメロでは、16分音符刻みのタンバリンが加わって、グルーヴが一層加速します。
また、空間エフェクトがたっぷりかかったギターのチョーキング音がバックに加わり、1Bメロとは異なる雰囲気に。
終盤~最後は1Bメロと同様、そしてついにギターソロのある間奏2に突入します。
1-4.(間奏2~Cメロ)(1:46~2:31)
間奏2のギターソロは、半音下降しながら16分音符でかき鳴らすギター音で始まります。
その後、三味線まがいのギターフレーズに移行、終盤は高音フレーズでテンションはMAX、最後のB♭音に導かれるように、B♭コードで始まるCメロに突入します。
Cメロは、これまでの騒々しい演奏から一転、ギターはアルペジオ、ドラムはリムショットとなり、落ち着いた雰囲気で始まります。
Cメロ後半から、スネアが再び打ち鳴らされ、終盤はスネア+タム+ギターコードで「ダダダダ・・・」とやり、疾走への回帰をほのめかします。
が、そのまま戻りはせず、イントロで打ち鳴らされたあの全弦開放のコードが鳴らされ(ここ、実は3拍子!)、3Bメロに移行します。
1-5.(3Bメロ~アウトロ)(2:31~)
3Bメロも2Bメロと同様、タンバリンによって疾走感を高めていますが、ドラムとギターのパターンも変えて、飽きさせない工夫を施しています。
ドラムはゴーストノート(弱スネア)を挿入して、ビート感を変え、ギター(右ch)はアルペジオにして、サウンドに広がりを持たせています。
ハイトーンのオルガンで締める3Bメロ終了後、バッキングはそのままの体制でアウトロに突入。
アウトロの主役は何といっても、これまでの熱をクールダウンするかのごとく、淡々と打ち鳴らされる単音ピアノのフレーズ。
そのままゆっくりとフェードアウトしていきますが、「今まさに消える」というときにベースが派手に動き出します。
この往生際の悪さ(?)は気に入っています。
1-6.Mix1(1曲目)とMix2(3曲目)の違い
ミックス違いの3曲目(Mix2)は1曲目(Mix1)よりも定位分離が明快で、全体的にシャープな質感であるのが特徴です。
1-7.使用楽器、音源
- ギター:テレキャスター(TL62B、Fender Exclusive Japan Classic 60s Tele USA Pickups)
- オルガン:SampleTank 3(ソフトシンセ音源)
- ピアノ:SampleTank 3(ソフトシンセ音源)
- ベース:Electric Bass(ACID付属ソフトシンセ音源)
- ドラム:SampleTank 3(ソフトシンセ音源)
- タンバリン:ACID付属ループ音源
ギターについては、ほとんどTL62B、3Bメロ直前のコード部分のみ「Fender Exclusive Japan Classic 60s Tele USA Pickups」(TL62-US踏襲モデル)を使用しています。
ギターとタンバリン以外は、MIDI打ち込み+ソフトシンセ音源で仕上げています。
1-8.制作過程、苦労点
昨年の春頃、「レギュラーチューニングのギター6弦全て開放弦で鳴らして進行する曲を作ったらどうなるだろう?」と思って、メモ的にギターフレーズを録音したのが始まりです。
最初にコード(ギター6弦全て開放弦)を今のテンポ(BPM180)でかき鳴らしたものを録音、構成音(EADGBE)から「これにはEsus4ベースの和風テイストが合うな」と思い、和風のリードギターフレーズをその次に重ねました。
苦労したのは次のような点です。
- 冒頭のドラムパターン
- ギターの録音&テイク選定
- フェードアウトのパターン
- レンダリングとMIDIフリーズが安定しない
タムメインのパターンですが、タムの刻み方、タムの選定(ロー、ハイ、ミッド等)にかなり迷いました。
1度決めてはまたやり直し・・・ということを延々繰り返していた記憶があります。
(ギターの録音&テイク選定)毎度のことですが、制作中最も苦労して、膨大な時間を割いたところになります。
アレンジ方針は割とすんなり決まったのですが、決まってからが大変でした・・・
(フェードアウトのパターン)フェードアウトの終盤、つまり消える瞬間の消え方を調整するのに苦労しました。
ACID Pro 8では、フェードアウトのパターンを数種類のプリセットから選べるのですが、結局2段階でパターンを切り替えないと、納得いくフェードアウトパターンが作れませんでした。
そうして2段階に分けてからもなお、調整に時間を要した記憶があります。
(レンダリングとMIDIフリーズが安定しない)レンダリングのたびに、MIDI部分の音の鳴り方が変わるので、たかがレンダリングといえど気が抜けませんでした。
以下の記事にもまとめましたが、対策としては、まずMIDIフリーズ、さらにそのMIDIフリーズ結果も毎回変わるので、結局外部ソフトによる波形編集も駆使して乗り切りました。
2.憧憬-Interlude-(2曲目)
サブタイトルに「Interlude」とある通り、1分足らずの短い曲に仕上がりましたが、私イチオシの聴きどころは次のようなところです。
- 0:00~:チャキチャキしたギターコードワーク
- 0:14~:60年代ロック風の懐かしいオルガン音が加わる
- 0:27~:60年代テイストをさらに強めるタンバリンが加わる
2-1.使用楽器、音源
- ギター:テレキャスター(Fender Exclusive Japan Classic 60s Tele USA Pickups)
- オルガン:Analog Synths(ACID付属ソフトシンセ音源)
- ベース:Electric Bass(ACID付属ソフトシンセ音源)
- ドラム:ACID付属ループ音源
- タンバリン:ACID付属ループ音源
ギターは「電光石火」と同じくテレキャスターですが、TL62Bは使用していません。
オルガンとベースは、MIDI打ち込み+ソフトシンセ音源で仕上げています。
特に意識したわけではないですが、ギター以外、ACIDの付属音源ばかりになりました。
まるでACID信者のようですw
2-2.制作過程、苦労点
2016年、初めてテレキャスター「Fender Exclusive Japan Classic 60s Tele USA Pickups」(TL62-US踏襲モデル)を購入して1か月も経たないぐらいの時期に、「テレキャスターの音を録ってみよう」と思い、テスト用のプロジェクトファイルを用意して、一人セッション的に録音したときのギターパターンが基になっています。
このギターパターンは当初から気に入っていたのですが、その後の展開をどうするかが一向に見えてこず、ギターを録音してから長らく放置状態でした。
しかし「これを埋もれさせておくのはもったいない」とずっと思っていて、ようやく今年の春から制作を再開しました。
元々、このギターの音が、音色面でもフレーズ面でも60年代ロック的に聴こえることから、この60年代感を前面に押し出そうと思い、懐かしい60年代風の音色のオルガンと、これまたやはり60年代ロックでよく使われていたタンバリンを加えました。
こうして出来上がったバッキングトラックに主旋律を加えて、さらに曲展開させることも考えましたが、「この雰囲気をそのままにしておこう」と、敢えてこのようなバッキングのみの形にとどめ、今回のカップリング曲としてリリースしました。
私自身、リアルタイムではなく後追いながら、ビートルズやベンチャーズなどを聴いて育った関係からか、昔から60年代ロックの音には憧れがあり、そういった意味で曲のタイトルを「憧憬」としました。
60年代ロックをリアルタイムで経験した人も、(私と同じように)後追い体験した人も、この60年代感を共有していただけたら、と思っています。
3.最後に
以上、今回リリースした楽曲を、かなり細かくお伝えしてきました。
今回の制作で学んだことは次のような点でした。
- レンダリングとMIDIフリーズが安定しないときの対処
- 制作プロセスを明確化し、作業記録もつけながら作業すると、作業中のもやもやが軽減されて、幾分か作業がやりやすくなる
1つ目に挙げた、「レンダリングとMIDIフリーズが安定しないときの対処」については、以下の記事にまとめています。
困った問題ではありますが、対処方法がわかれば、さほど面倒にも感じなくなりました。
2つ目は、一見作業量が増えて、遠回りのように思えますが、思考の整理という意味で、やっていてよかったと感じた点です。
今、制作している曲も、このプロセス管理方法に沿って制作中です。
さて、長くなりましたが最後に感想を。
やはりギターロックの制作は時間がかかりますが、こうして完成したものを聴くと、作ってよかったと感じます。
特に、タイトル曲の「電光石火」では、イントロのコードや曲展開で実験的な要素を詰め込みましたが、そうした要素も含めて鳴らしたい音が鳴らせて満足しています。
今後も新たなアプローチを試みながら、楽曲制作&リリースを続けていきたいと思います!