定額音楽配信サービスで本当に元は取れるのか?

1.定額音楽配信で元が取れるかどうかを試算するために

定額音楽配信サービスでは数千万曲程度の配信があり、一般的には再生時間、曲数によらず発生費用は定額(月額or年額)です。

このようなサービスにおいては「元が取れるかどうか」というところが気になってきます。

この点をはっきりさせるためには、以下の2つの点を明らかにして、一定期間内に、元が取れる最低ラインの楽曲数聴き切れるかどうかを見極めなければなりません。

  • 音楽を聴く頻度
  • 元が取れる最低ライン楽曲数

2つめの「元が取れる最低ライン楽曲数」は別記事「定額音楽配信サービスはお得?高すぎる?」において試算しており、その結果は以下の通りです(厳密には個々の商品・サービス価格によって変わります)。

  • アルバム購入→定額音楽配信」で元が取れる最低ラインの楽曲数は40曲/年
  • アルバムレンタル→定額音楽配信」で元が取れる最低ラインの楽曲数は400曲/年

1年あたりの曲数ですので、これらの曲数を1年以内に聴き切ることができれば「元が取れる」ということになります。

2.音楽を聴く頻度

音楽を聴く頻度は、当然、人によって千差万別ですが、ここでは一般的なサラリーマン、公務員の場合をイメージして、以下を仮定します。

音楽を聴くだけの時間も、作業BGMとして音楽を流している時間も込みのイメージです。

  • 生活スタイル:週5日の仕事、週2日の休みがある
  • 平日:1時間/日×5日
  • 休日:5時間/日×2日
  • 合計:15時間/週→約60時間/月

3.元を取れるかどうかの見極め

上の1、2で示した「元が取れる最低ラインの楽曲数」と「音楽を聴く頻度」から、「元が取れる最低ライン楽曲数」を聴き切るために必要な期間を算出します。

3-1.試算の前提条件

算出にあたっては以下の仮定をおきます。

  • 楽曲の長さ:4分/曲
  • リピート率:10回/曲

これまた当然ながら、1曲あたりの長さは楽曲によって変わってきますし、同じ曲をどれだけリピートして聴くのかも人によって異なるでしょう。

しかし、ここでは目安のラインを算出するため、このように単純化した仮定を置くこととします。

3-2.音楽を聴くのに必要な時間の合計

元が取れる最低ライン楽曲数」を、3-1の仮定に基づいて聴き切るために必要な時間を算出します。

  • アルバム購入→定額音楽配信の場合
    • 40×4×10 = 1,600分 ≒ 26.7時間
  • アルバムレンタル→定額音楽配信の場合
    • 400×4×10 = 16,000分 ≒ 266.7時間

3-3.「元が取れる最低ラインの楽曲数」を聴き切るために必要な期間

3-2で算出した、音楽を聴くのに必要な時間が、どのくらいの期間があれば確保できるのかを試算します。

冒頭1でも述べましたが、この期間が1年以内に収まっていれば「定額音楽配信サービスで元が取れる」ということになります。

  • アルバム購入→定額音楽配信の場合
    • 26.7 / 60 = 0.445ヶ月
  • アルバムレンタル→定額音楽配信の場合
    • 266.7 / 60 = 4.445ヶ月

どちらの場合も、平均的には1年未満に聴き切れる(元が取れる)という試算結果となりました。

アルバム購入→定額音楽配信」の場合は、半月足らず、「レンタル→定額音楽配信」の場合でも半年足らず元が取れるので、十分お得に使えることがわかります。

4.定額音楽配信サービスの全配信曲を聴き切る場合

1~3では「現実的に定額音楽配信サービス元が取れるか?」という観点で試算をしていました。

そして、その答えは3に示した内容の通り「元が取れる」と。

では、定額音楽配信サービス全配信曲を聴き切る場合、どのようなことになるのでしょうか?

具体的には「全配信曲を聴き切る時間と、それにかかる費用がどれくらいなのか」という疑問です。

現在、定額音楽配信サービスは、4000万曲以上を謳っているところが多いため、4000万曲を毎日24時間フルで聴き続けた場合にかかる時間を、1楽曲あたりの長さ=4分/曲として算出してみます(閏年、閏秒は未考慮)。

  • 40,000,000×4 = 160,000,000分 ≒ 304年(!)

人間の寿命を遥かに超える長さですね(笑)

次に、その期間に発生する費用を算出してみます(月額1,000円→年額12,000円として)。

304×12,000 = 3648,000円(364万8千円)

この費用で4000万曲が聴けるので、1円あたりの楽曲数

  • 40,000,000 / 3648,000 ≒ 10.91曲/円

となります。

1円あたりの楽曲数≒一般的なアルバム1枚の曲数(10曲)」となるので、コスパ的には「アルバム1枚がわずか1円でフルで聴ける」レベルと、大変お得にはなります。

5.最後に

4はちょっとしたお遊びでしたが、1~3で述べた通り、定額音楽配信サービスは、現実的にも十分元が取れるサービスと考えます(ここで示した仮定に近ければ、の話ですが)。

現在、各社から様々な定額音楽配信サービスが展開されています。

興味を持たれた方は、色々検討してみてはいかがでしょうか?