ミキシングについてエンジニアが語る解説動画(by Audiostock)を見てみた感想

DTM(デスクトップミュージック)におけるミキシング

既にある程度のDTM経験がありながら、ズバリこんなことを思っている人は多いのではないでしょうか?

  • ミキシング自信がない
  • エンジニアのミキシングテクニック知りたい
  • 音作りに対するエンジニアの考え方知りたい
  • コンプレッサー使い方知りたい

昨今、このあたりの不安や疑問の解消に役立つ解説本や解説動画が世に溢れています。

今回紹介するのは、

著作権フリーBGMサービスAudiostockのページで販売されている、

こちら2セットのミキシング解説(トーク)動画

価格は1セット550円(税込)なので、2セット合計1,100円(税込)(2020年6月1日時点)。

時間の方は「BGM向けミキシング解説動画 vol.1」が1時間強、

「エンジニア柳氏とミキシングノウハウトーク」が40分強で、

2セット合計1時間50分弱

悪くないのではないでしょうか?

とはいえ、こう思われるかもしれません。

  • 買って損しないか?
  • ちゃんと役立つのか?
  • 本の方が解説密度が高くて良いのではないか?

私も最初は疑問を抱いていましたが、思い切って買ってみたところ・・・

  • ためになる話多くあった
  • コスパ的にも問題なし

と感じました。

特に印象に残ったのは次のような話題です。

  • BGMならではのサウンドメイキング
  • マルチバンドコンプレッサー
  • エンジニア数値感覚

正直、一般的な解説本の方が「解説密度」という点では上だと思います・・・

例えば以前、こちらの記事で紹介した「DAWミックス/マスタリング基礎大全」など。

DTMにおけるミックス(ミキシング)、マスタリングの方法を学びたい人におすすめの本「DAWミックス/マスタリング基礎大全」を、実際に購入して読んでみた感想、レビューを交えて紹介。

しかし、今回購入した動画初めて気づかされたこともありますし、

画面を見ながら

音の違いを聞きながら

対話形式で話が進んでいく・・・

というこの動画のスタイルは、本では味わえないメリットだと感じました。

なお、動画で使われているDAWソフトはPro Toolsであり、その他特定のプラグインの使い方の話もしばしば登場しますが、

基本的にはDAWソフトに依存しない汎用的な話も多いので、

この動画が参考になる人は多いはずです。

それでは以下、詳しくみていきましょう!

1.動画内容と学べること

今回紹介するのは「MixingForBGM_vol1」と「TALK ABOUT_vol1」という2つの動画セット。

以下ページから購入できます。

サンプル試聴ではどちらも1分強(映像もない)となっていますが、購入動画はちゃんとフル尺(もちろん映像も)ありますのでご安心を・・・

さて、そろそろ動画内容の話に入りましょう。

2つの動画セットいずれも、

解説や回答をしてくれるエンジニアの方と、

質問をしたり相槌を打ったりする聞き手(ディレクター)の方、

2名による対話形式で話が進んでいきます。

映像、音声については、

  • 映像:DAW操作画面中心
  • 音声:事例の音源2人の会話(声)中心

となっています。

体系的で厳密な解説も良いですけど、

他人のQ&A(質疑応答)を聞くとよくわかる」という経験、

DTM以外でも結構あるのではないでしょうか?

今回の動画セットもまさにそんな感じです。

さて、内容についてはそれぞれ以下の通りになっています。

Audiostockのミキシング解説動画セットの内容
セット名 内容
BGM向けミキシング解説動画 vol.1 あるBGM曲を題材に、ミキシングのやり方、考え方などが示される(EQ(イコライザー)、コンプレッサーの話が多い)
エンジニア柳氏とミキシングノウハウトーク EQ(イコライザー)、コンプレッサーの話をもう少し深掘り&その他

1-1.項目と時間

各動画セットの項目と時間を以下に示します。

まずは「BGM向けミキシング解説動画 vol.1」から。

「BGM向けミキシング解説動画 vol.1」の項目&時間(目安)
項目 時間
イントロダクション(Introduction) 3分55秒
ドラム(drum) 11分6秒
ピアノ/シロフォン(Piano-Xyrophone) 4分24秒
ストリングス(Strings) 13分8秒
ブラス(Brass) 7分8秒
木管楽器(WoodWind) 7分56秒
バイオリン/仕上げ(Violin and Finishing) 19分48秒
(上記合計) 67分25秒

続いて「エンジニア柳氏とミキシングノウハウトーク」。

「エンジニア柳氏とミキシングノウハウトーク」の項目&時間(目安)
項目 時間
BGMの定位と疑似ダブル 8分23秒
Gain Reduction「がっつり」 6分40秒
FabFilter Pro Q3 11分33秒
コンプのアタックとリリース 10分38秒
締め切りを作ろう! 3分40秒
(上記合計) 40分54秒

2セット合計すると108分19秒、つまり1時間50分弱になります。

結構がっつりですよね?

1-2.特に言われていること

ここで動画内容の詳細をお伝えすることはできませんが、

ざっくりした動画の方向性を知るための参考として、

動画の中で特に言われていることをいくつか、以下に挙げておきます。

  • BGMならではのサウンドメイキングを意識する
  • 各楽器の帯域配分を意識する
  • コンプレッサーの使い方目的によって様々である

こうして大まかに表すと、一般的過ぎて、特に驚かないかもしれませんが・・・

これらについて興味が湧いてきたら、一度試しに覗いてみるのも良いかもしれません。

1-3.動画の印象

個人的に、特に印象に残ったのは次のような話題です。

  • BGMならではのサウンドメイキング
  • マルチバンドコンプレッサー
  • エンジニア数値感覚

1つ目の「BGMならでは~」の部分。

BGMをAudiostockに(不定期ながら)投稿する私としては、ハッと考えさせられるところがありました。

次回投稿時、意識してみたいと思います。

2つ目の「マルチバンドコンプレッサー」。

私自身、あまり必要性を感じて使ったことはないのですが、

上手く使えば、

「これまでごちゃごちゃっとやっていた処理シンプルになる

かもしれません

何かの折にがっつり試してみたいと思いました。

3つ目の「エンジニア数値感覚」。

これはもう「時と場合」によるものなので、

「今回登場した数値が常に使える」

というわけではないのですが、

「そんなもんなんだ~」と感じることはできました。

自身の経験とこうした伝聞とが相まって自分の感性が磨かれていくものなのだろう、と思います。

あとその他、今回の動画セットに対する全体的な所感です。

  • ある程度DTMでミキシングを経験した人向け
  • 言語の限界を感じるときもある

まず1つ目について。

工程がわかっていることが前提、専門用語もバンバン飛び交うものなので、

「ある程度ミキシングを経験した人向けの動画だな」

と感じました。

AudiostockにBGMなどを投稿しているぐらいの人なら大丈夫な気はしますが・・・

本当に「始めたて」という人は、まず自分の環境(DAWソフト、その他プラグイン類など)で格闘する方がよいと思います。

どこが悩みなのか?」という点が明らかになってから、こうした動画を見た方が、

ありがたみを感じるポイントも多いですからね。

続いて、2つ目言語の限界」について。

動画といっても、音のことを言語で解説する点は、ある意味解説本などと変わりません。

ですので、特に踏み込んだところに話が及ぶと、なかなか表現しづらそうな場面も出てきます。

そうした場面でどれだけ理解できるかは、話を聞く側の「経験」と「察する能力」次第、といったところでしょうか?

2.動画学習のコツ(心得)

買ってしまえばあとは見るだけ・・・

基本はそうなのですが、私が実際に購入して見てみたときに気付いた、動画学習のコツ(心得)についてお伝えしておきます。

  • ヘッドフォン推奨
  • 気になるところは一時停止やスロー再生して拡大表示
  • 自分の例に置き換えて考えてみることが大切

2-1.ヘッドフォン推奨

会話形式ということもあって、声が小さかったり、発音が不明瞭だったりして、聞き取りにくいところが一部あります。

正直、ヘッドフォンで聞いてもわからない部分(語句)があったりしますが、

とりあえずヘッドフォンしておくに越したことはないです。

何より、ヘッドフォンだと、事例音源における「音の違い」などを十分体感することが可能ですからね。

2-2.気になるところは拡大表示、一時停止、スロー再生

DAWソフト操作の様子も動画に記録されていますが、

エンジニアの方が慣れた手つきでパッパパッパ操作するものですから、

もう何をどういじっているのかわからない・・・w

そんなシーンが少なからずあります。

また、根本的にコンソール画面の文字数字小さくてよく読み取れない、ということもあります。

ですので、気になるところがあれば、

拡大表示して一時停止スロー再生して、操作の様子を追っていく

ということもトライしてみると良いと思います。

もっとも、

  • 「拡大してもボヤけていて結局わからない」
  • 「操作の意味が根本的にわからない」

というケースもあると思いますが・・・・

2-3.自分の例に置き換えて考えてみる

今回の動画に限らず、本であっても何であっても、学習という行為全般にいえることですね。

今回の動画が合う人は、既にそれなりにDTMで悩んだ経験がある人だと思いますが、やはり

  • 自分が抱えている悩みは何か?
  • 自分の制作で使える考え方、方法はないか?

という視点でもって、学んでいく姿勢が大切だと思います。

3.一般的な解説本とどちらがよいか?

既に触れたように、正直、解説密度という点では、

以下の記事で紹介した「DAWミックス/マスタリング基礎大全」といった解説本の方に軍配が上がります

DTMにおけるミックス(ミキシング)、マスタリングの方法を学びたい人におすすめの本「DAWミックス/マスタリング基礎大全」を、実際に購入して読んでみた感想、レビューを交えて紹介。

「DAWミックス/マスタリング基礎大全」の例でいえば、この本の方が網羅している内容(情報)が幅広く、論理の運びも厳密ですから・・・

ですので、内容的なボリューム優先する場合は、

まず「DAWミックス/マスタリング基礎大全」といった解説本を検討されることをおすすめします。

しかし、今回紹介している動画でしか聞けない話も当然ありますし(BGM制作ならではの注意点など)、そもそも

  • DAW操作画面を見ながら音を聞きながら学びたい
  • 人の話を聞きたい
  • 動画の方が好き

という場合もあるかと思います。

そうした点を踏まえるなら、今回紹介した動画も「検討の価値アリ」だと思います。

要は、

あなたの目的と嗜好で選べばOK

ということ。

  • 「本はオワコン」
  • 「動画の時代」
  • 「動画は効率悪い」

などといった外野の声に惑わされる必要はないのです!

4.最後に

以上、Audiostockで販売されているミキシング解説(トーク)動画セット

  • BGM向けミキシング解説動画 vol.1(合計目安時間:67分25秒)/550円(税込)(2020年6月1日時点)
  • エンジニア柳氏とミキシングノウハウトーク(合計目安時間:40分54秒)/550円(税込)(2020年6月1日時点)

の概要と感想を中心にお伝えしてきました。

今回、半信半疑ながら思い切ってこれら全て買ってみたところ、私自身としては、

  • ためになる話多くあった
  • コスパ的にも問題なし

と感じました。

基本的に、学習(インプット)は「動画よりもテキスト」という私ですが、

動画学習もアリだな

と思わせてくれるに十分な内容でした。

今回の記事が、

  • ミキシング自信がない
  • エンジニアのミキシングテクニック知りたい
  • 音作りに対するエンジニアの考え方知りたい
  • コンプレッサー使い方知りたい
  • Audiostockで販売されているミキシング解説(トーク)動画セットは「買い」なのかどうか知りたい

といった方のご参考になれば幸いです。