エレキギター、最初の一本で後悔しないためには?
エレキギター、最初の一本。
後悔のないよう、しっかり選んで手にしたいものですね。
しかし、世界にエレキギターというものが誕生してもはや数十年。
今では非常に数多くの種類のエレキギターが出回っているため、
「どれをどのように選べばよいかわからない」
という方も多いのではないでしょうか?
正直、最初からベストの一本を選ぶのは難しいと思います。
ですが、自分の弾いていくギターの方向性(特に音)だけは合わせておいた方がよいでしょう。
例えば私の場合、昔から
- 「ジャキっとした音」
- 「カラっとした音」
が好きだったのにも関わらず、
- そうした音の好み(方向性)を明確に自覚していなかった
- ギターによって鳴らせる音が限られるという認識がなかった
ことにより、十数年も遠回りすることになりました。
今思えば、
「正しい知識と手順を踏まえて、最初の一本からFender系ギターを手にしておくべきだったなぁ」
と、少し後悔していたりします・・・
というわけで、今回はエレキギターの最初の一本、音を重視して選ぶための手順と確認ポイントについてお伝えします。
ズバリ、こんなあなたにおすすめの内容です。
- エレキギター、最初の一本を買う
- 世の中にエレキギターが多すぎて選べず困っている
- やはりエレキギターは音を重視して選びたい
最初にざっとした手順をお伝えしておきます。
- Youtubeで系統別にギターの音を確認する
- (迷ったら)ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール、SGの4タイプモデルの中から選ぶ
- (慎重を期すなら)買う前にはギターレンタル、または、楽器店で試し弾きする
この手順を踏むと、次のようなメリットが得られます。
- レンタルしたり楽器店に向かったりする前に、ギターの「音の相場」がわかる
- 「音の相場」がわかってからギターの確認に入れるので、選択肢を絞りこめる
- 選択肢を絞ることで「現実的に選べる状況」を作り出せる
- 試し弾きにより「こんなはずじゃなかった」という後悔リスクを減らせる
それでは、以下詳しくみていきましょう!
1.Youtubeで系統別にギターの音を確認する
エレキギター、現在では様々な音が出せるようになっていますが、大まかにいうと、いくつかの系統に分かれます。
自分はどの系統の音が好きなのか?
あるいは、
どういう音がメインに必要なのか?
といった点を見極めると、最初の一本を選ぶ一歩が踏み出せます。
エレキギターの音というのは、ざっくりいうと
- エレキギター固有の特性
- ギターアンプその他周辺機器の特性
の組み合わせで成り立っています。
「エレキギター固有の特性」
といってもそれはそれで千差万別であり、特性に影響を与える要素も様々ですが、中でも特に無視できないのが、
エレキギターの音(弦の振動)を電気信号に変える「ピックアップ」の存在です。
このピックアップ、大きく分けると次の2つのタイプが存在します。
- シングルコイル
- ハムバッカー
で、もう一方の「ギターアンプその他周辺機器の特性」。
これまた千差万別ですが、音作りの方向としては大きく分けて次の3つがあります。
- クリーン
- クランチ
- ドライヴ
以上、「ピックアップ」2種類×「ギターアンプその他周辺機器の特性」3種類の掛け合わせで、合計2×3=6種類の系統があることになります。
これら6種類の音の特徴は・・・- シングルコイル×クリーン:澄んだ/乾いた音
- シングルコイル×クランチ:ジャキジャキ/パキパキした音
- シングルコイル×ドライヴ:エッジ感の立った歪み音
- ハムバッカー×クリーン:丸っこい音
- ハムバッカー×クランチ:丸く少し歪んだ音
- ハムバッカー×ドライヴ:太い歪み音
厳密には、ギター本体の作り、ピックアップの位置、ギターアンプその他周辺機器によって、音色は様々ですが、一般的、おおざっぱに音の雰囲気を示すとこのようになります。
では、それぞれの具体的な音の雰囲気を確認していきましょう。
1-1.シングルコイル×クリーン:澄んだ/乾いた音
シングルコイル系のギターの代表的なものとしてFender系ストラトキャスターが挙げられます。
こちらはFender Japanのストラトキャスターの試奏動画です。
他の多くのストラトキャスターと同様、このギターにはピックアップは3つ搭載されており、ブリッジに近い方からそれぞれ、「リア」、「センター」、「フロント」などと呼びます。
複数のピックアップが異なる位置に配されていることで、同じ「シングルコイル×クリーン」でも色んな音色が出せますが、基本的には
「澄んだ/乾いた音」
ということが確認できます。
ちなみに上記動画中において、以下の通りピックアップの選択を切り替えており、その選択の仕方の違いにより、5種類の音を確認することができます(以下時間は目安)。
- 0:00~0:29:リア
- 0:29~0:54:リア&センター
- 0:54~1:19:センター
- 1:19~1:46:センター&フロント
- 1:46~2:18:フロント
続いて、シングルコイル系ギターのもう一つの代表格、Fender系テレキャスターの試奏動画も紹介しておきます(アンプ音に生音が混じっているのが少々難点ではありますが)。
各々短いですが、こちらの動画でもピックアップ選択による音の違いを確認できます(以下時間は目安)。
- 0:54~1:00:リア
- 1:00~1:06:センター(リア&フロント)
- 1:06~1:12:フロント
1-2.シングルコイル×クランチ:ジャキジャキ/パキパキした音
上でも紹介したこちらのFender Japanテレキャスター試奏動画。
以下の通り、ピックアップを切り替えながら、クランチサウンドでも弾いてくれています。
- 1:18~1:24:フロント
- 1:24~1:29:センター(フロント&リア)
- 1:29~1:35:リア
上の動画では「パキパキ」の印象が強いですが、以下に示す私の曲で「ジャキジャキ」した音が確認できます(使用ギターはFender JapanのTL62B)。
1-3.シングルコイル×ドライヴ:エッジ感の立った歪み音
上の1-1で挙げたFender Japanストラトキャスター試奏動画のドライヴ版です。
こちらも動画中において、以下の通りピックアップの選択を切り替えており、その選択の違いによって、5種類の音を確認することができます(以下時間は目安)。
- 0:00~0:19:リア
- 0:19~0:37:リア&センター
- 0:37~0:55:センター
- 0:55~1:13:センター&フロント
- 1:13~1:39:フロント
ピックアップ選択の違いにより、音がかなり変わりますが、基本的には
「エッジ感の立った歪み音」
であることが確認できるかと思います。
1-4.ハムバッカー×クリーン:丸っこい音
ハムバッカーピックアップ系のギターの代表的なものとしてGibson/Epiphon系レスポールが挙げられます。
こちらはEpiphone Japanのレスポールの試奏動画です。
こちらでもピックアップ選択の違いによる音の違いが確認できます(以下時間は目安)。
- 1:36~1:41:フロント
- 1:41~1:44:センター(フロント&リア)
- 1:44~2:01:リア
さきほどの「シングルコイル×クリーン」に比べると、非常に
「丸っこい音」
であることが確認できるかと思います。
1-5.ハムバッカー×クランチ:丸く少し歪んだ音
先ほどと同じ動画になりますが、以下の通り(時間は目安)ピックアップ選択を切り替えながら、クランチサウンドで弾いてくれています。- 2:52~2:59:リア
- 2:59~3:04:センター(フロント&リア)
- 3:04~3:15:フロント
「シングルコイル×クランチ」に比べるとやはり丸く、少し潰れた感じのある歪み音になっていることが確認できるかと思います。
1-6.ハムバッカー×ドライヴ:太い歪み音
やはり同じ動画ですが、以下の通り(時間は目安)ピックアップ選択を切り替えながら、ドライヴサウンドでも弾いてくれています。
- 3:39~3:49:リア
- 3:49~3:55:センター
- 3:55~4:00:フロント
「シングルコイル×ドライヴ」に比べると「太い歪み音」になっていることが確認できるかと思います。
2.候補選びに迷ったら
今では様々なタイプのギターがあり、Youtubeでギターの音を確認しても
- 「どれが良いかわからない」
- 「良さげなものが多すぎて選べない」
ということになるかもしれません。
そんなときは、あえて「定評のある定番モノで選択肢を狭める」のが有効です。
面白味には欠けるかもしれませんが、失敗して後悔するリスクも減らせると思います。
では、どういった選択肢に絞るのか。
ここでは、ロック~ポップ系ジャンルにオールラウンドに対応できるもの(私自身の個人的評価)として、次の4つのタイプモデルを挙げたいと思います。
- ストラトキャスター
- テレキャスター
- レスポール
- SG
以下、一つずつ大まかな特徴について解説します。
なお、同じタイプモデルでも、ピックアップや木材、その他仕様の違いによって、音が異なる場合も少なくないので、あくまで「全体的、平均的な特徴」とご認識いただければ、と思います。
2-1.ストラトキャスター
1でシングルコイル系の代表的ギターとして紹介しましたが、4つのタイプモデルの中で最も「オールラウンド」に対応できるギターだと思います。
音の特徴としては、カラっとしている、シャープである、といった形容が当てはまることが多いです。
ロック~ポップ系ジャンルで必要となることが多い、
- きれいなクリーントーン
- パンチのあるクランチトーン
- 伸びのあるドライヴトーン
いずれも「この一本で何とかなる」場合がほとんどだと思います。
上記のような特徴は、以下記事で紹介した私のジェフベックモデルのストラトキャスターにも当てはまります。
ちなみにこのジェフベックモデルのストラトキャスター、以下の曲のイントロフレーズ(0:28~あたりのリードギター)で使っていますので、よければご参考に。
2-2.テレキャスター
ストラトキャスターとよく比較され、実際似ているところも少なくないのですが、最大の特徴は「独特のジャキジャキサウンド」。
例えば、こちらの曲で聴けるギターの音。
これは以下の記事でも紹介したテレキャスター「Fender Exclusive Japan Classic 60s Tele USA Pickups」(Fender Japan/TL62US踏襲モデル)を使っています。
ちなみに私は2本のテレキャスターを所有しており、これとは別のタイプのテレキャスター(Fender JapanのTL62B)を使った曲だとこちら(1曲は上でも既に紹介しましたが)。
上の「Clean」に比べると、よりシャープに「ジャキジャキ」していることがわかるかと思います。
なお、ストラトキャスターでもジャキつかせることは可能ですが、テレキャスターのジャキジャキとはまた別物という印象です。
決してストラトキャスターの「ジャキ」が悪い、といっているわけではなく、これはこれで使いどころがあるのですが、
「テレキャスターのジャキジャキはストラトキャスターでは得られない」
というのは確かだと思います。
2-3.レスポール
1で紹介した試奏動画で確認できるように、ストラトキャスターやテレキャスターに比べると丸く、太い音が出ます。
こうした音を出したければレスポールが候補になってくるかと思います。
なお、一般的にレスポールは、他の3タイプモデル(ストラトキャスター、テレキャスター、SG)に比べると、重量的に非常に重いことが多いです。
「レスポールの音が欲しいけど重いのはちょっと・・・」
という場合、次に紹介するSGも検討された方がよいかもしれません。
2-4.SG
こちらはレスポールに近い音を出せて、なおかつレスポールよりも重量的に軽いギターです。
例えばこんな感じの音が出ます。
以下の通り(時間は目安)、クリーン/クランチ/ドライヴの違い、ピックアップ選択の違いの組み合わせで様々な音が確認できます。
- 1:06~:クリーン×リア
- 1:11~:クリーン×センター(リア&フロント)
- 1:19~:クリーン×フロント
- 1:38~:クランチ×リア
- 1:54~:クランチ×センター(リア&フロント)
- 2:02~:クランチ×フロント
- 2:17~:ドライヴ×リア
私はEpiphoneのレスポール、SG(恐らく動画のものとは異なる)の両方を弾いたことがありますが、特に強く感じたのは
- レスポールの方が太い音が出て、SGはそれより軽い音という印象
- SGはボディが非常に軽い
- SGはハイポジションが非常に弾きやすい
といったところです。
SGで気になるのは音の問題ぐらい、基本的には「軽くて弾きやすいギター」という印象なので、個人的には
「ハムバッカー系のギターであれば、SGの音がよければ(問題なければ)SGの一択かなぁ」
と思います。
3.(慎重を期すなら)ギターレンタルまたは楽器店で試し弾きする
ギターをネット通販でそのまま買うことも珍しくない世の中なので「慎重を期すなら」としていますが、基本的には試し弾きすることをおすすめします。
「こんなはずじゃなかった!」という後悔リスクを減らせます。
ですので、候補となるギターが決まったら、早速試してみましょう。
試す方法としてはギターレンタル、楽器店での試し弾きの2つがあります。
一般的、基本的に、
- ギターレンタルは有料
- 楽器店での試し弾きは無料
ですが、楽器店での試し弾きは基本的にギターを買うことが前提(そのために吟味するという意味合い)ですので、特に相応の気持ちが必要です。
ギターレンタルですが、現時点、比較的使いやすいと思われるギターレンタルサービスとしては以下が挙げられます。
ギターを弾く機会が「それほどなさそう」という場合、コスパ的にいえば
「そのままレンタルで突っ走る」
のもアリかと思います。
そうした視点だと、以下記事も参考になるかもしれません。
さて、本題に戻ります。
試し弾きにあたって確認することは何でしょうか?
細かくいえばきりがないですが、最低限これだけは確認しておくと後悔リスクを減らせると思います。
- コードが押さえやすいか
- 生音に問題はないか
- アンプを通した音に問題はないか
3-1.コードが押さえやすいか
コードの押さえやすさは、同じギターでも低音側(ヘッド側)、高音側(ブリッジ側)とで変わってきます。
また、弦を一本ずつ押さえるコードと、指一本で複数の弦をまとめて押さえる(セーハ)コードがあり、それぞれ押さえた感覚が違います。
ですので、これら各々確認しておくことをおすすめします。
「コードをまだ覚えていない」
という場合でも、ネックを握って適当にそれっぽい感じで弦を押さえて、どんな感じかを確認してみるとよいと思います。
3-2.生音に問題はないか
楽器店での試し弾きだと、ギターアンプから音が出るように、店員さんがセッティングしてくれることが多いですが、その前に(後でもいいですけど)。
ギターアンプに通さない生の音を確認しておくことをおすすめします。
よくあるのが「弦のビビり感」。
弦がどこかにぶつかって、響きがイマイチだったり、不快な鳴り方をしたり・・・
なかなか説明しづらいですが、例えば上で挙げたコードを鳴らしたときに「何か引っかかるところがないかどうか」などは確認しておいた方が良いかと思います。
こうした「鳴りの不調」はギターアンプを通してしまうと、よくわからないことが多く、
「買ってから気づく」
というパターンに陥りやすいためです。
「アンプに通して問題なければそれでよいのでは?」
と思われるかもしれませんが、それは「気付かないだけ」かもしれませんし、
「生音で弾いたときに不快なギター」というのは、やはりしっくりこないものだと思いますので・・・
3-3.アンプを通した音に問題はないか
もちろんギターアンプを通した音も確認します。
が、楽器店の場合、セッティングも自分の思い通りのものになっていないことが多いので、音色うんぬんというよりは、
- 過度なノイズがないか
- ギターのつまみやスイッチの切り替えがスムーズにいくか
といった点を中心に確認していくのがよいでしょう。
1つ目の「過度なノイズがないか」という点は、もう少し詳しくいうと
- ギターの弦に指で触れたときにノイズが減るか
- ギターの弦に全く触れなかったときでも過大なノイズがないか
といったところになります。
エレキギターに多少のノイズは付き物ですが、それが自分の観点に照らして問題ないかを確認します。
心配であれば店員さんに「これぐらいのノイズがあるものなのでしょうか?」と尋ねてもよいでしょう。
その場でそうした質問ができるのも、楽器店のメリットですね。
4.最後に
以上、エレキギターの最初の一本で後悔しないために必要な手順と確認ポイントについてお伝えしてきました。
ここで要点をまとめます。
手順としては以下。
- Youtubeで系統別にギターの音を確認する
- (迷ったら)ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール、SGの4タイプモデルの中から選ぶ
- (慎重を期すなら)買う前にはギターレンタル、または、楽器店で試し弾きする
そして3つ目の試し弾きで確認するポイントとしては以下。
- コードが押さえやすいか
- 生音に問題はないか
- アンプを通した音に問題はないか
最初から一生モノのギターに出会うことは難しいかもしれませんが、
以上のポイントを押さえることで、
「最初の一本で後悔するリスク」をかなり減らせるのではないか、と思います。
今回の記事が、
- エレキギター、最初の一本を買う
- 世の中にエレキギターが多すぎて選べず困っている
- やはりエレキギターは音を重視して選びたい
といったあなたのご参考になれば幸いです。