ポップなボイトレ本「DVDで完全学習! 自宅でできる小声ボイス・トレーニング」を読んでみた
(写真はイメージです)
今回は、Kindle本としても入手可能なボイトレ本
「DVDで完全学習! 自宅でできる小声ボイス・トレーニング」
を、実際に読んでみた感想を交えて紹介します。
ズバリ、こんな方に特におススメの内容です。
- 自宅でボイトレする方法を探している
- 発声だけでなく総合的に歌を強化したい
- ミックスボイスを出したい
以前、ベルカントメソッドベースのボイトレ本「禁断のボイストレーニング: 伝説のボイストレーナー達は何を伝えたかったのか」を紹介しましたが、
それに比べると、次のような特徴があります。
- 理論(筋肉など)の話は少なめ
- 発声だけでなく、広く歌に関する事項が解説されている
- トレーニングメニューの種類も豊富
この本に書かれている内容は幅広く、具体的には次のような事項が含まれています。
- 姿勢
- 呼吸
- 準備体操
- 発声
- リップロール
- タングロール
- ミックスボイス
- ピッチ
- リズム
- 日本語の特性
気になる人も多いであろう「ミックスボイス」についてもちゃんと(?)言及されています。
タイトルに「小声ボイス・トレーニング」とあるだけに、自宅でできそうなトレーニングも色々紹介されています(自宅環境によっては、やりにくいメニューもあると思いますが)。
また、この本の大きなメリットの一つとして、
- 本の内容と連動した付属DVDの映像がYouTubeで一般公開されている
ことが挙げられます。
この映像、約1時間45分もあり、本の内容と連動した解説やトレーニング実演が収録されています。
ですので、例えば
「本で緻密な説明を確認し、映像(動画)で実践の様子を探る・・・」
といったように、本と映像(動画)、それぞれの良さを活かしながら学んでいけば、より一層深い理解が期待できるかと思います。
それでは以下、詳しくみていきましょう!
1.この本の特徴
(写真はイメージです)
冒頭でもお伝えしましたが、このボイトレ本の特徴として次の3つのことがいえます。
- 理論(筋肉など)の話は少なめ
- 発声だけでなく、広く歌に関する事項が解説されている
- トレーニングメニューの種類も豊富
以下、それぞれ詳しく説明していきます。
1-1.理論(筋肉など)の話は少なめ
声帯の動きなど、理論面の話は少なく、どちらかといえばトレーニングに特化した本という印象です。
理屈が全く説明されていないわけではありませんが、例え話で説明されている箇所が多く、
わかりやすく感じる一方で、その例えが適切なのかどうかも判断がつきません。
そういうわけで、筋肉の動きなどの理論面をしっかり学びたい人には向かないかもしれませんが、
読みやすい本であるとは言えると思います。
1-2.発声だけでなく、広く歌に関する事項が解説されている
ざっと挙げると、次のような事項が解説されています。
- 姿勢
- 呼吸
- 準備体操
- 発声
- リップロール
- タングロール
- ミックスボイス
- ピッチ
- リズム
- 日本語の特性
これだけカバーされていれば、歌に関して一通りの知識は身につけられると思います。
ただ、解説されている事項について
- 相互に矛盾がないのか?
- 整合はとれるのか?
といった点は私自身確認しきれておらず、これで矛盾のない一貫したトレーニングになるのかどうかは不明です。
トレーニングを進めていて疑問が生じたときは、別の本を調べて深掘りするなど、さらなる探求が必要になるかもしれません(ボイトレ難民になるリスクもありますが)。
1-3.トレーニングメニューの種類も豊富
取り扱う内容が幅広いので、トレーニングメニューの種類も豊富です。
基本的に、トレーニングフレーズなどは本に譜面が載っており、連動YouTube動画で実演もされているので、要領は一通りわかるかと思います。
ただし、全てのメニューに対応しているかどうかまでは確認しきれていません。
少なくとも、連動YouTube動画と本の目次は一致しているので、内容的に連動はしているはずです。
2.この本のメリット
私自身がこの本に感じたメリットは次の2点です。
- ポップなイラストのキャラクターが楽しく、モチベーションが高まる
- 連動YouTube動画の内容が充実している
以下、それぞれ少し詳しく説明していきます。
2-1.ポップなイラストのキャラクターが楽しく、モチベーションが高まる
漫画というわけではないですが、ポップなイラストのキャラクターが何人か登場して、何ターンか会話している部分があります。
バンドや弾き語りをしているという設定のキャラクターも出てきますから、似たような境遇の人にとっては特に共感できる部分も多く、感情移入しやすいのではないでしょうか?
内容に直接影響を与える要素ではないですが、楽しくボイトレしていきたい人にはよく合うと思います。
2-2.連動YouTube動画の内容が充実している
紙の本の付属DVDでありますが、一般公開動画としてYouTubeにもアップロードされています。
限定公開ではありませんので、普通に本の名前「DVDで完全学習! 自宅でできる小声ボイス・トレーニング」で検索して出てきます。
であれば、もうここでURLを貼っておきましょう。
動画の長さは約1時間45分で、解説だけでなく、トレーニングの実演もありますので、大変参考になります。
なお、これだけ長いと
「見たいところがわからない」
といった事態になりそうですが、このYouTube動画の説明ページに、項目ごとの再生位置リンクが貼られており、
見たい項目に対応した再生位置リンクをクリックすれば、その項目の開始位置に飛べるようになっています。
ですので、ある部分をピンポイントで見たい場合の「頭出し」もスムーズに行えます。
その意味で、割と使い勝手のよい動画といえそうです。
3.この本のデメリットなど
私自身がこの本に感じたこの本のデメリットとしては、以下2つが挙げられます。
- 独立した練習用カラオケ音源が見当たらないのでトレーニングしづらい
- 理論面のベースがほとんど示されていない
また、デメリットとは言えないかもしれませんが、懸念点として以下が挙げられます。
- 練習メニューや環境によっては自宅で実施しづらい可能性あり
以下、それぞれ少し詳しく説明していきます。
3-1.独立した練習用カラオケ音源がないのでトレーニングしづらい
YouTube動画で解説やトレーニング実演はあるのですが、トレーニングに専念できるような、独立した(単体で使える)練習用カラオケ音源が見当たりません。
しかし、大半のトレーニングは、音程(ピッチ)も重要になってくるので、カラオケ音源があった方がよい場合が多いです(カラオケ音源を用意するまでもないメニューは別ですが)。
「アカペラ状態で声を出して、ボイスチューナーで音程(ピッチ)を確認」
というスタイルも、それはそれで良い練習になるとは思うのですが、
実際には演奏をバックに歌うことが多いことを考えると「カラオケ音源や楽器に合わせてトレーニング」というスタイルは一定必要だと思います。
3-2.理論面のベースがほとんど示されていない
以前紹介した「禁断のボイストレーニング: 伝説のボイストレーナー達は何を伝えたかったのか」では、ベルカントメソッド(リード、フースラー)の考え方に基づいた論理展開がなされていました。
が、この「DVDで完全学習! 自宅でできる小声ボイス・トレーニング」では、特に何か一貫した理論をベースに話を展開しているわけではない印象です。
それぞれの項目については、理由や例え話も交えて説明がなされているのですが、
権威あるソースなどを紹介したり、特定の理論を引き合いに出したりすることがほとんどないため、
何か特定の理論をベースにやっていきたい人にとっては、とらえどころがなく、モチベーションを維持しづらいかもしれません。
3-3.練習メニューや環境によっては自宅で実施しづらい可能性あり
タイトルに「小声」とある通り、コンセプトとしては自宅でもできるような小声のトレーニングがメインだと思われるのですが、
自宅やその周辺、時間帯などの環境によっては、自宅で実施しづらいメニューがあるかもしれません。
準備体操や姿勢などは問題ないと思いますが、声を出すトレーニングについては、そこそこの大きさの声を出す必要があると思われるメニューもあります。
そのような場合におススメなのが、ウタエットやBELTBOXといった「防音マスク系グッズ」。
この本で特に推奨も紹介もされてはいませんが、個人的にはこうしたグッズがあれば、より安心してボイトレに励めるかと思います(ただし、唇を振動させるリップロールの練習にはあまり適さない感あり)。
もちろん人や環境によっては十分防音しきれないこともあると思いますが、
こうした防音マスク系グッズについては、このブログでも様々な観点で取り上げていますので、興味のある方はご参考にしていただければ、と思います。
例えば防音効果の話なら、
使い方の話であれば、
といったところです。
4.この本の活用方法
これまで述べてきたこの本の特徴、メリット、デメリットを踏まえ、この本の活用方法を考えてみました。
以下に挙げたような活用を行うと良いのではないでしょうか?
- 現状(段階)や弱点を踏まえてルーチンメニューを組む
- 練習用自作カラオケを準備して練習する
以下、それぞれ少し詳しく説明していきます。
4-1.現状(段階)や弱点を踏まえてルーチンメニューを組む
紹介されているトレーニングメニューが多いので、一度に全部やりきるのはおそらく不可能だと思います。
広く浅くやるよりも、自分の現状(段階)や弱点を踏まえてトレーニングメニューを選んで、ルーチンメニューを組み、それを毎日実践する方がよいと思います。
ある程度、進歩しないとできない(難しい)メニューもありますし・・・
時間は限られており、また苦手なところは重点的に反復練習したいものですから、一日にそう多くはメニューを入れられず、もどかしさを感じることも多いと思いますが、
何だかんだいって一つ一つ習熟して積み上げていくのが穏当な気がします。
4-2.練習用自作カラオケを準備して練習する
先ほどお伝えした通り、トレーニングに集中できるような、独立した練習用カラオケ音源が見当たらないので、それならば、
「いっそ自分で作ってしまおう!」
というわけです。
本には練習フレーズの譜面が載っていますし、YouTube動画でもトレーニング実演の音を耳コピすれば、練習に役立つカラオケ音源を作ることができます。
例えば、こんな風に。
「バックはピアノ、ガイドメロディが必要な場合は適当な音色で練習フレーズを打ち込む」
本格的な音楽制作(DTM)と違って、楽器数も少なくて済み、それほど長いトラックも作る必要がありませんので、
DAWソフトに限らず、何か音符入力して再生できるようなソフト(アプリ)を用意すれば、サクッと準備できるのではないでしょうか?
5.最後に
以上、Kindle本としても入手可能なボイトレ本
「DVDで完全学習! 自宅でできる小声ボイス・トレーニング」
を、実際に読んでみた感想を交えて紹介してきました。
最後にもう一度要点を振り返ります。
まず、この本の特徴。
- 理論(筋肉など)の話は少なめ
- 発声だけでなく、広く歌に関する事項が解説されている
- トレーニングメニューの種類も豊富
理論の話は少なめなので、そのあたりを期待する人には物足りないかもしれませんが、
その分、ボイトレ(歌)に必要な要素は幅広くカバーしているので、一通りのことは学んで実践できる本だと思います。
そして、私の感じたメリットは以下2点。
- ポップなイラストのキャラクターが楽しく、モチベーションが高まる
- 連動YouTube動画の内容が充実している
連動映像は、1時間45分という本格的な長さであり、その中に解説とトレーニング実演が収録されていますから、大変参考になることでしょう。
続いて、私の感じたデメリット(及び懸念点)として以下3点。
- 独立した練習用カラオケ音源が見当たらないのでトレーニングしづらい
- 理論面のベースがほとんど示されていない
- 練習メニューや環境によっては自宅で実施しづらい可能性あり
タイトルに「小声」とある通り、確かに自宅でもできそうなメニューが色々あるのですが、自宅環境やメニューによっては、声の大きさが問題になってくる場合もあるように思います。
こうした場合の対策として期待できるのが、ウタエットやBELTBOXといった「防音マスク系グッズ」の使用。
この本で特に推奨も紹介もされてはいませんが、個人的にはどちらも十分な防音効果があり、
「自宅ボイトレにはうってつけではないか」
と思っています(ただし、唇を振動させるリップロールの練習にはあまり適さない感あり)。
こうした防音マスク系グッズについては、このブログで何度か取り上げておりますので、ご興味のある方は以下記事もご参考にしていただければ、と思います。
今回の記事が、
- 自宅でボイトレする方法を探している
- 発声だけでなく総合的に歌を強化したい
- ミックスボイスを出したい
といった方のご参考になれば幸いです。