自宅カラオケ用音源を作成/用意する方法(無料ソフト利用)
一人カラオケもなかなか行きづらい状況が続いていますね。
そんなときは自宅でカラオケするのが一番!
自宅カラオケをするにあたっては、①防音と②カラオケ音源の準備が必要です。
①防音については
で紹介したように、防音マスク系グッズの使用がおススメです。
本ブログでは防音マスク系グッズとして使える「ウタエット プロ」、「BELTBOX」について、いくつかの記事で取り上げています。
さて、②カラオケ音源の方はどのように準備すればよいのでしょうか?
これについては以前、以下記事において「カラオケが楽しめるラジカセ」を使ってカラオケ音源を準備する方法をご紹介しました。
ここで取り上げたラジカセ「TY-CDW990」は、
「外部入力音源に対してボーカルダウン&キー変更が行える」
というスグレモノですが、いかんせんラジカセなので
「大げさでかさばる」
というデメリットもあります。
そこで、今回は無料ソフトを使って「もっと手軽にカラオケ音源を準備する方法」をご紹介していきたいと思います。
ズバリ、こんなあなたにおススメの内容です。
- 一人カラオケが好きだけど、今は行けない(行きづらい)
- 自宅カラオケをしたいけどカラオケ音源がない
- 何にせよなるべく無料で押し通したい
それでは以下、詳しくみていきましょう!
1.無料ソフトでボーカル消去(削減)&キー変更
私が調査したところ、次の2つの無料ソフトが有力だと判断しました。
- 聞々ハヤえもん
- ボーカルリデューサー:ねおん
これらはいずれも「窓の杜」のニュースで取り上げられたことのあるソフトです(必ずしも最新版リリース時点の記事ではありませんが)。
速度・周波数・音程を自由に変更、耳コピ向けプレイヤー「聞々ハヤえもん」v2.76が公開
(「窓の杜」内ニュース記事ページ)再生しながらパラメーターを変更可能になった「ボーカルリデューサー:ねおん」
(「窓の杜」ニュース記事ページ)
ダウンロードも「窓の杜」から可能です。
「聞々ハヤえもん」というのは、様々なファイル形式の音楽ファイルを、様々な形(エフェクトなど)で再生可能な音楽プレイヤー、
「ボーカルリデューサー:ねおん」というのは、名前の通りボーカルをリデュース(=減らす)する、まさに今回の趣旨に特化した処理ソフトです。
最初に「カラオケ音源の生成」という点で大雑把な印象を述べますと、
- 「かなり手軽でソコソコ」なのが「聞々ハヤえもん」
- 「少し緻密でガッチリ」なのが「ボーカルリデューサー:ねおん」
といったところです(「聞々ハヤえもん」はVer.2.76、「ボーカルリデューサー:ねおん」はVer.1.03で確認)。
そもそも「聞々ハヤえもん」は音楽プレイヤーですからね・・・
以降、さらに詳しく説明していきます(「聞々ハヤえもん」はVer.2.76、「ボーカルリデューサー:ねおん」はVer.1.03で確認)。
1-1.2つのソフト共通の特徴と概要比較
ここでは上記2つのソフトに共通する特徴と、ざっとした比較を行った結果をまとめます。
まず両者共通のメリット。
- 手持ち音源を手軽にカラオケ音源化(ボーカル消去(削減)&キー変更)して再生可能
- カラオケ音源化(ボーカル消去(削減)&キー変更)したものを保存可能
両者とも操作方法は簡単で、処理済の音源の保存も可能ですから、PCで処理した音源をスマホに取り込んで「いつでもどこでも歌の練習」といった使い方もできます。
続いて両者共通のデメリット。
- 完全なボーカル消去は難しい
- ボーカル消去に伴って、楽器パートも音色が変わったり消えたりする
- (カラオケ用ラジカセと違って)外部からのリアルタイム入力音源には対応していないため対象音源が限られる
両者とも「音源の中で決まった位置(定位)にある音を消去(削減)」というスタンスの処理になっているようです。
ボーカルは(特に最近の楽曲音源においては)センター(中央)に位置することが多いですが、音源によっては必ずしもそうとは限りませんし、
残響(エコー/リヴァーブなど)成分やコーラス成分が左右に散らばっていたりすることも茶飯事です。
また「ボーカルだけが独立した位置に配置されている」ということもほとんどないので、ボーカル消去(削減)によって、ボーカルと共存している楽器音も何かしらの影響を受けます。
次に、カラオケ音源化にあたって気になるポイントを比較した結果を以下に示します。
項目 | 聞々ハヤえもん | ボーカルリデューサー:ねおん |
---|---|---|
キー変更幅 | ±12 | ±7 |
モノラル音源のボーカル消去(削減) | × | △ |
左右に偏ったボーカル消去(削減) | × | △ |
まず1番上の「キー変更幅」ですが、これは両者とも申し分ありません。
「ボーカルリデューサー:ねおん」の変更幅が狭いように思いますが、±で1オクターブ分をカバーしているので「カラオケ音源化」という意味では十分です。
続いて2、3番目の項目ですが、やはり特化ソフトの「ボーカルリデューサー:ねおん」の方が優れています。
以降でさらに詳しく両者の特徴に触れていきたいと思います。
1-2.音楽プレーヤー「聞々ハヤえもん」の特徴
「聞々ハヤえもん」の特徴として、メリット及びデメリットについて触れていきます。
まずメリットの方。
- 細かな調整に悩むことなくカラオケ音源化が行える
- 複数曲をまとめて再生できる(ボーカル消去(削減)&キー変更設定維持した上で)
- カラオケ音源以外の機能(EQ(イコライザー)など)が充実している
「聞々ハヤえもん」は音楽プレイヤーですから、カラオケ音源化に関する細かい設定などは用意されていません。
その代わり、複数曲をまとめて再生したり、イコライザーで音質を変えて再生したりといったことが簡単にできます。
こういったことは「ボーカルリデューサー:ねおん」でできないので、こうした点は「聞々ハヤえもん」のメリットといえます。
続いてデメリットの方。
- 元がステレオ音源でもボーカル消去(削減)すると音源がモノラル化される
- モノラル音源ではボーカル消去(削減)対応できない(ほとんど全ての音が消えてしまう)
- ボーカルが左右どちらかに偏っていれば偏っているほど、ボーカルが消えにくくなる
「聞々ハヤえもん」のボーカル消去(削減)は、ボーカルが音源の中でセンター(中央)に位置していることが前提のようです。
そのため、全パートがセンターに位置しているモノラル音源に対してボーカル消去(削減)を行うと、ほとんど全ての音が消えてしまいます。
また、この前提だと、ボーカルが左右どちらかに偏っていれば偏っているほど、ボーカル消去(削減)効果が薄くなります。
コーラスが左右に分かれている場合は「コーラスが残ってくれる」という意味でメリットになったりもしますが、
特にビートルズなどの60年代ロックの音源に多い、メインボーカルが左右どちらかに極端に偏っているというパターンにはほとんど対応できません。
1-3.ボーカル消去(削減)ソフト「ボーカルリデューサー:ねおん」の特徴
「ボーカルリデューサー:ねおん」についても、その特徴として、メリット及びデメリットについて触れていきます。
まずはメリットの方。
- 調整次第でクオリティの高いカラオケ音源が作成可能
- 元がステレオ音源の場合はステレオ感がある程度維持される
- モノラル音源でも楽器音をわずかに残してのボーカル消去(削減)が可能
- 左右に偏ったボーカルもある程度消去(削減)可能
「聞々ハヤえもん」に比べると調整パラメータが豊富なので
「楽器音をできるだけ残したままボーカルをうまく消去(削減)」
という絶妙な処理も調整次第で可能です。
また「聞々ハヤえもん」と違って、処理後もステレオ感がある程度維持される(元がステレオ音源の場合)のも嬉しいポイントです。
ボーカル消去(削減)、楽器音もいくらか削れている時点で、音源のミックスバランスはもはや崩れているといってもよく、「そんな音源で、そこまで楽器の音配置にこだわる必要があるのか?」という声もありそうですが、
特にヘッドフォンでカラオケ音源を聞きながら歌う場合、ステレオ感がいくらか残っていた方が歌いがいがあると感じます。
あと、3つ目に挙げたモノラル音源の話。
「ボーカルリデューサー:ねおん」でも、さすがにモノラル音源相手だと、ボーカルも楽器もかなり削られ、それこそ「ほとんどベースだけ」といったような状況に陥りがちです。
ですが、「聞々ハヤえもん」と違って
「ボーカル消去(削減)を妥協して楽器音を残す」という「せめぎあい」ができる余地があるので、1-1で示した比較表では「△」としました。
そして最後の「左右に偏ったボーカル」の話。
「ボーカルリデューサー:ねおん」では消去(削減)ターゲットの定位を設定できるので、例えば「右に偏ったボーカルを消したい場合は、ターゲットを右側に設定する」ことで、ボーカル消去(削減)が行えます。
なお、1-1の比較表ではこの点も「△」としましたが、これは
- 消去(削減)ターゲットの定位を自分で探る必要がある(その精度次第でボーカル消去(削減)効果が変わり得る)
- ボーカルセンターの場合と同等レベルのボーカル消去(削減)は行えなさそう(ソフト同梱の説明書きの内容から推測)
といった点が挙げられるためです。
さて続いてデメリットの方です。
- 複数曲をまとめて再生できない
プレイヤーではないので、1ファイルずつ処理という形になります。
ですが、細かな調整パラメータも、最適を狙うと、曲ごとに変えないといけないことが多いと思うので、
どのみち「1ファイルずつ(読み込んで設定して)再生して歌う」スタイルが一番理にかなっていそうです。
2.(さらにこだわりたいなら)削れた楽器音を追加
上の1ではボーカル消去(削減)、キー変更ができる無料ソフトについてご紹介しました。
これらのソフトを使うだけでも十分、自宅カラオケは楽しめると思います。
ですが、
「ドラムなど他の楽器パートが消えてしまうのが不満」
という方も少なくないのではないでしょうか?
そこで、ここでは「損なわれた楽器パートをある程度補って、よりクオリティの高いカラオケ音源を仕立てるための方法」をご紹介します。
大まかな手順としては次の2ステップ。
- 対象音源とテンポを合わせた楽器パートを用意(演奏録音/打ち込みなど)
- 用意した楽器パートの音を対象音源に重ね合わせる
以下、それぞれ説明していきます。
2-1.対象音源とテンポを合わせた楽器パートを用意
テンポを合わせる方法には次の2つがあります。
- 対象音源を聞きながら演奏録音する
- 対象音源のテンポを確認(検出)して、そのテンポに合わせて演奏録音、またはフレーズパターン打ち込みを行う
1つ目の方法は対象音源のテンポが不明でも「一応合う」楽器パートが用意できる方法です。
「テンポが途中で変わったりするような複雑な曲でも、それに合わせれば対応できる」
というメリットがあります。
しかし、この方法は「リアルタイムでの演奏対応」が基本となるので、
「うまく合わせられないと作業が頓挫する」
というデメリットもあります。
2つ目の方法は、対象音源のテンポをあらかじめ確認しておくもので、これだと必ずしも「音源を聞きながらの演奏」は要らず、
「テンポさえ合わせておけば「打ち込み」(フレーズ入力)という非リアルタイムな手法も使える」
というメリットがあります。
一方、1つ目の方法とは逆に、
「テンポが途中で変わったりするような場合は作業が複雑になる」
というデメリットもあります。
このように、どちらの方法にもメリット/デメリット両方ありますので、対象音源の特性に応じて使い分けるとよいでしょう。
2-2.用意した楽器パートの音を対象音源に重ね合わせる
重ね合わせる方法ですが、次の2つがあります。
- 波形編集ソフトを使って合成
- DAWソフトを使って合成
1つ目の方法は最も素朴で、2つ目の方法に比べると覚えることが少なくて済みます。
が、対象音源と用意した楽器パート音源の音量バランス、重ね合わせのタイミングなどの調整がしづらく、場合によっては作業時間が膨大になる可能性があります。
2つ目の方法は、覚えること(専門用語や特有の概念など)は少々多いですが、音量バランス、タイミングなどの調整作業自体は楽だと思います(私が使用しているDAWソフト「ACID Pro 8」(※)の場合)。
(※)「ACID Pro 8」というDAWソフトがどんなものか、お知りになりたい方は以下記事もご参考になるかと思います。
3.最後に
以上、無料ソフトを使って手軽にカラオケ音源を準備する方法についてお伝えしてきました。
後半(上記2)では「手軽」というところから少々外れて、クオリティ向上の方に話がいきましたが、こちらは必須ではありませんので、このあたりの作業を省いても、自宅カラオケが十分楽しめるレベルの音源は用意できるかと思います。
さて、ここで要点をまとめます。
無料でカラオケ音源を用意できるソフトとして有力なのは次の2つ。
- 聞々ハヤえもん
- ボーカルリデューサー:ねおん
「カラオケ音源の生成」という点で、両者の大雑把な印象を述べますと、
- 「かなり手軽でソコソコ」なのが「聞々ハヤえもん」
- 「少し緻密でガッチリ」なのが「ボーカルリデューサー:ねおん」
といったところです(「聞々ハヤえもん」はVer.2.76、「ボーカルリデューサー:ねおん」はVer.1.03で確認)。
「聞々ハヤえもん」は音楽プレイヤー、「ボーカルリデューサー:ねおん」はいわば専門ソフトなので、この違いはある種必然なのかもしれません。
ダウンロードページはこちら。
なお、元音源の権利(著作権など)の問題などがあるので、加工済の音源も個人利用の範囲にとどめておく必要があることにはくれぐれもご注意を。
今回の記事が、
- 一人カラオケが好きだけど、今は行けない(行きづらい)
- 自宅カラオケをしたいけどカラオケ音源がない
- 何にせよなるべく無料で押し通したい
といったあなたのご参考になれば幸いです。